episode17-2『黒い魔女』

episode17-2『黒い魔女』


[part4]


『深度1・高級住宅街レンガ通りエリア、自然公園エリア』

住宅地は高級エリアに。1つ1つの土地がとても広く、日本で言う田園都市といったところか。街灯や家の屋外照明がオレンジ色でとても暖かみを感じる。

ウミ「まーた探索が大変そうだな……」

ウミは頭を掻きながら言う。

ソラはキョロキョロと周りを見渡す。

ウミ「どうした?」

ソラ「なんか、こういう所見ると……実家みたいで」

ウミ「うえー!マジか!このレベルの家かよ!」

ウミは鳥肌レベルに驚愕する。nullは涼しい顔だ。ソラはなんか申し訳無さそうにする。

ソラ「やっぱり!アレ……ですよね?普通……じゃ……ないですよね?」

ウミ「服とカメラで45万を15に買い与えるのは相当だぞ?」

ソラ「でで、ですよね……」

null「でもソラもウミも戦力的には大差ないんだよね。だからマネーパワーはDDSじゃ影響ないよ」

ウミ「そりゃあ十分わかってるわ……」



ウミは歩きながらふと思ったことを言う。

ウミ「気になったけどよ。想いがデータを肥大化するなら飴野郎(キャンディスペース)より、アベンドになったサヤのが強かったのなんで?」

nullは前を向きながら、ライトを照らしながら答える。

null「集合体のデータ(キャンディスペース等)より、個人でかつグリッチ因子所持者はそれだけ適合レベルが高いからアベンド化したときの被害が大きい。集合体は所詮、不適合の集まりだし」

ウミ「実際、現世で例えるとどれくらいのレベルだ?」

null「まず、現代兵器もとい、異能力だとしてもアベンドに傷すら与えられないから……良くて国家滅亡クラス、数日で人類滅亡」

ウミ「はぁぁぁぁ!!?」

nullは冗談ではなく真面目に話す。

null「いや、実際サヤとの戦闘見たでしょ?」

ウミ「まあそうだけどよ」

そこでソラも疑問をnullに言う。

ソラ「そしたら……子供なのに兵士とかの人が一番過酷な環境故にこの世界では強くなるんじゃないですか?」

null「結局、グリッチ因子の適合力しだい。適合力が特別に高くて強い想いを背負ってる人は強くなるよ。だから、適合レベル最高値の君達のアベンド化が一番ヤバい」

ウミ「ヤバい(笑)……言葉よ……」

null「ヤバいでしょ?DDSの理を狂わせるレベルになると思うよ」



そんな雑談話(一応、住宅の玄関を調べるが開かない)をしていると高級住宅街は通り過ぎてしまう。次は大きな自然公園に辿り着いた。

「オォォォォォン!!」

一同が止まる。犬の遠吠えだ。

ウミ「なんか……変だな。電子音つーか」

ウミは嫌な予感をして剣を生み出す。ソラもカメラを出現。nullはライト担当。


突如、ウミは身の危険を感じて叫んだ。

ウミ「下だ!!」

ザシュ!!!

刹那!null達がいる地面から無数の影の棘が生成!串刺しにしようとする!3人は散らばるように回避!

すぐさま戦闘態勢に入る。

ソラ「ウミ君!よく分かりましたね!!」

ウミ「最近、わかるんだよ……直感で危機がな」

null「なるほど、勘の良さが未来予測まで性質強化されたってことか」

ウミ「ごちゃごちゃ言ってねーで解析しろ!どーせ新種のアベンドだろ!?」

null「うん」

nullは頷く。

影の棘は形態を変化させて細長い物体になる。

顔らしき箇所に白いお面をつけている。

ウミ「気味わりーな」

ソラはすかさず撮影に入る……が。

サッ!!

シャッターと同時に高速移動で回避!そのまま槍を生成してソラに襲いかかる!

ソラ「!?」

ソラは跳躍しながら回避し、追撃でシャッターを切る。しかし、それすらも地面を這うように移動しソラに接近!影から大量の牙を生やして噛み砕こうとする!

ウミ「おい!」

ウミが影に斬りかかると影は瞬時に背後に移動!形態をスライム状になり、ウミを取り込もうとする!

ウミ「なんだよ!クソ!!」

取り込まれるウミとソラは動揺しながらカメラを構える。

ウミ「ソラ!ダメだ!俺が巻き込まれる!」

ソラはすぐに理解し、カメラを下ろす!nullは黒い手を生み出しウミの足を貫いた。

ウミ「いっで!!」

「オォォォォォンン!!!」

お面が付いた影が犬のような雄叫びを上げて怯む!その瞬間にウミは拘束から外れ、隙を付き、剣で斬り裂いた!

ウミはすぐにnull達に近づきnullへの罵倒。

ウミ「ざけんな!この前、肩(episode10参照)で今度は足かよ!!?」

nullは表情を変えない。

null「敵の性質が判明しない内に攻撃するからだよ。まあ、戦犯はソラだけど……」

nullはナイフを構えて、お面の付いた影を様子見する。

null「とりあえず解析結果。
名称『クリーパードッグ』。非実体型。形状を自在に変化させる影のアベンド」

ウミ「で?情報は!!?」

null「待って……今、調べる」

ウミ「いっぺんに調べてから言えよ!」

ウミは怒りと呆れが混じった感情を放つ。

null「エモーショナルだね。ロジカルじゃない……相手への攻撃、正式には『殺意』が可視化されて反射的に即回避行動兼反撃に移る」

ソラ「じゃあ攻撃ってダメなんですか!?」

nullは淡々と答える。

null「そ」

ウミは足を抑えながら言う。幸い傷は再生したようだ。

ウミ「じゃあ倒せねーじゃん!!」

null「まあ、落ち着いて。さっきウミを取り込む隙はその機能は発生しないっぽい。現にダメージ通ったしね」

ウミ「誰かが餌にされろってか?おいおい!」


クリーパードッグはこちらを覗きながら左右に移動している。先程の猛攻に比べると緩やかな動きだ。

null「殺意を感知して条件反射で動いているから、何もしないと大人しいね」

そこでソラは勘づく。

ソラ「これ……私達が別のアベンドに殺意を抱いてもアウトってことですか?」

null「ダメだね。反射的に攻撃してくる」

ウミ「やっかいだな」

するとnullが様子を見ながらソラ達に選択を与える。

null「このまま解析を続ければ、囮以外の手段で倒せるかもしれないけど……」

nullは続ける。


null「いるんだよね……他のアベンド達が」


ソラやウミは辺りを見渡すと人型の影のアベンド(名称スマイル)達がゆっくりとこちらに侵攻している。

null「アベンド達を葬りながらクリーパードッグと戦うとなると……」

ウミ「クソ……!迷惑極まりない!」

ウミが試行錯誤している中、ソラがクリーパードッグに突撃する!

ウミ「ソラ!!」

ソラ「囮になりますよ!!そのかわりに倒してください!!」

クリーパードッグは再び液状化し、ソラを取り込む!!

その状況にウミは戸惑うばかりだ。

ソラ「null君!お願いします!!」

ウミ「バカ!やめろ!!」

nullは少しだけ思考を行ったが、躊躇なくナイフでソラの足を突き刺す!!

ソラ「うっ……!!」

ソラが苦しんでいる間に拘束は解除されて怯んだクリーパードッグをウミとnullが袋叩きにする!!

クリーパードッグは雄叫びと共に消滅した。

ウミ「ああ、もう!!ソラ!?大丈夫か!?」

ソラ「かすり傷程度です!平気ですから!」

nullが傷口を確認。

null「再生中……とりあえず座ってて。ウミと共にモブを蹴散らすから」

nullとウミはスマイル達へ戦闘態勢になる。

ウミ「準備はできた!まとめて消してやる!!」

剣に念を込めて勢いよく地面に突き刺す!するとアベンド達の地面から黒い波動、衝撃波を生み出す!!

ザンザンザン!!!

アベンド達は宙に浮くほどに吹っ飛び、そして消滅する!!

null「追加だよ」

nullの発言と共に奥からアベンドの群れが公園になだれ込んでくる。

ウミ「マジかよ!まだいるか!!」

ウミは歯を食いしばり、剣を構える。勿論nullも。その刹那、nullは上空に違和感を感じた。

null「月に黒い影……いや、人?」

空に輝く月を背景に黒い人がこちらに接近、徐々に近づいてくる!

ソラ「アレ……!箒と帽子……三角帽子……魔女!?」

地上に近づくことでその存在が鮮明になる。黒い三角帽子に金髪ロング、豪華なドレスを纏った少女が髪をなびかせながら、不敵な表情で口を開く。

少女「またコイツら……跪きなさい!」

少女は手をかざすとアベンド達は地面に吸い付くように叩きつけられた!

null「グリッチ因子……重力操作……迷い人が言っていた魔女、コイツだ」

ウミ「なに!?」

少女は地面に着地して箒を空間にしまう。少女は15歳ほどでソラよりやや小さめの身長(148cmぐらい)、ソラ並の小柄だ。

ソラ「魔女……本当に……!」

地面にめり込んだアベンド達か起き上がるが、お構いなしに再び重力でねじ伏せる少女。

少女「無駄ですわ。わたくしの力に叶うとでも?」

勝ち気な少女に対してnullは。

null「重力操作による飛行能力や、過剰攻撃……グリッチ因子の無駄遣い。君、侵食早まるよ?」

少女「なに?わたくしに指図するつもり?」

少女は眉をひそめるがソラやウミを見つめると少し表情を変えた。

少女「わたくしと同じ?人間?」

ウミ「元、人間だ」

ソラ「私達、元人間の魂です。あなたも迷い人ですか?」

少女「迷い人……?まあ、魂かしら」

少女はそう言うと再び不敵な笑みを浮かべる。


少女「跪いて」


少女が手をかざす。するとソラとウミは地面に這いつくばった!!

ウミ「う!!クッソ!!重い!!」

ウミとソラは必死に足掻くが地面から離れられない。

少女「ふふふ!無様なモノね。そうね……わたくし……魔女に……このツカサに服従しなさい」

ソラ「ツカサ……?」

ツカサと名乗る少女は話を続ける。

ツカサ「そう。わたくしが『支配の魔女』……全てを統べる者……」

null「でも君、グリッチ因子耐性ないでしょ?」

ツカサ「耐性?知りませんわ……わたくしには関係ない……話ね」

nullは重力に影響されず、平然と立ち尽くしている。

null「バイアスかかってるね。侵食が進めば君は化け物になる。今の君は死にゆく身体から目を逸らしてエモーショナルになってるだけ」

ツカサ「うるさいですわ!」

ツカサはnullに対しても重力を展開するがナイフで打ち消される。

ツカサ「わたくしの重力が?効かない……?」

nullはため息をする。

null「そろそろ、君達も克服しそうだね」

ツカサ「克服?」

するとソラとウミは無理矢理立ち上がり、カメラや剣を構える。

ウミ「迷い人だろ?こんな所で争ってねーで俺達の拠点に行かないか?」

ツカサは動揺してもう一度手をかざす。

ツカサ「黙りなさい!この庶民共!」

ソラ達に重力攻撃!しかし、ソラもウミも直ぐに適応し、攻撃を躱した!

ソラ「ダメです!お願いです!話を聞いてくれませんか?」

するとnullが。

null「……あー無理だね」

ウミが首を傾げる。

ウミ「なんでさ?」

nullは一呼吸置いてから言う。

null「全員、『固有空間』に落ちるから……だよ?」

ウミ「固有空間!?アベンドが!!?」

ツカサ「!!?」

ソラ「どこ!?どこですか!!?」

全員が辺りを見渡すその刹那、地面が抜けて深淵に飲み込まれた!!


episode17
END
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