episode16『臨時休業』
今まで登場したアベンド(一部紹介)
『スマイル』
・実体型
・人の影のアベンド。顔が笑顔
・最も多いタイプで様々な武器を所持している
『ラジオフェイス』
・実体型
・人の影で顔にラジオが貼り付けられたアベンド
・episode1で登場
『勇気の羽』
・実体型
・人型に昆虫の羽を持つアベンド。光に寄る習性を持つ
・episode5で登場
『スパイダー』
・実体型
・四つん這いの影のアベンド。素早く機動力を持つ
・episode7で登場
episode16
『臨時休業』
[part1]
サヤアベンドをバグフィックス後、4人は休暇の為、臨時休業。店内で食事も個室で休息も自由。マサトも個別の部屋でくつろいでいる。ソラとウミはそれぞれ個室で引きこもっている。
ソラは純白のクラシカルロリィタ服のまま自室の水色のベッドで寝そべっている。丸いキャラクターのぬいぐるみを抱きながらずっと窓を眺めていた。今はSNSも推し等の動画をまったく見ていない。食事も取らず(魂なので必要ない)、ずっと寝込んだままだ。
ソラは想いにふけていた。過去の現世時代は学校に行かず、部屋にひきこもり、カメラ趣味か推し活(Vtuberが多い)をしていた。推し相手にリスナーとしてコメント等に参加はしていたが、推し同士(女性)の百合CPに異様なまで興奮をして、『人間臭い行為』はあらかたおこなった。だが今は……燃え尽き症候群のように無気力だ。理由は明らかだった。迷い人の双子(リミ、フセ)、サヤ等での悲劇や現世の崩壊の事実を直面して生きる意味が薄れてしまったのだ。
確かに生きる意味はある。DDを集めて崩壊した現世を、人類を復元、再建させる使命を果たすつもりである。『しあわせさま』を止めるという動機もある。長い道のりだが元の日常に戻れる可能性も十分承知だ。しかし、生理的欲求などが極めて少ないこの世界では、やりたい事がほとんどなくて、何をするのかが分からない。推し達も家族も過去の産物故に目的が曖昧だ。
ソラは目を閉じ、枕に顔を埋めた。
……時間は夜になっていた。厳密には時間の概念はない世界だが、昼や夜ぐらいはある。
サヤアベンドをバグフィックスしてからはずっとモヤモヤが止まらない。
ソラ「現状……変わらないです……」
ソラは悲しげに呟いた。彼女は考える。この状態を改善するようなぬくもりが欲しかった。
コンコン。
ソラはウミを招き入れた。
ウミ「ソラ……」
ウミは気まずそうにソラ、女の子の部屋に入る。
ウミ「2回目だな。前回はnull含めて3人で話し合ってたな」
ソラ「そうでしたね……」
ソラはゲーミングチェアに座り、ウミはベッドに腰掛ける。ウミは少しそわそわしている。ソラはウミを見つめて言う。
ソラ「襲わないでくださいね……」
ウミ「そんな状況じゃねーよ……第一、生理現象もほぼねーし」
ウミは目線をそらしながら頭を掻く。
ソラ「だからこそ……なんか……ぶっちゃけるような話がしたいんです……」
ウミ「?」
ソラ「ひたすらくだらない話……しません?」
[part2]
ソラは一方的なトークをし始めた。話している内にスイッチが入ってきたのだ。
ソラ「私は推しに愛情を捧げますけど推しと繋がる……物理ですよ?繋がるのは解釈違いだと思ってます!私は観賞、応援がしたいんです!あっ妄想はしますよ?もちろんです……!推し同士が絡んで絡んで……液体のように溶け合うのは!」
ウミ「落ち着け!」
ソラは冷静に反論する。
ソラ「いえいえ、クールですよ?私は!」
ウミ「そーじゃなくてよ!俺、下品な話題苦手なんだよ……」
ソラ「え?そうなんですか……」
とここでソラは引き出しからピンク色のエナジードリンクを取り出し一気飲みをする。
ソラ「……カフェインキマりました!まだ私はいけますよ!!?」
ウミ「おいおい……」
ウミはため息をする。正直ウミも限界なぐらい疲れている為、ソラの暴走は止めなかった。
ウミ「まあ、今回は好きにしなよ」
その後、ソラが推しの相手の素晴らしさをずっと語る。ウミはドン引きながらも聞いてくれたようだ。
ソラ「当時は服の再生能力もありませんでしたから!……色々替えが必要でした!!」
ウミ「ああ!……クリーン要素が……薄れていく……」
ソラは2つ目のエナジードリンク缶を開けて飲んだ。
ソラ「クリーンですか!?私そんな清楚に見えます!?ドロドロ激重感情オタクですよ!?」
ウミ「……いやぁ、あのさ……こういうこと聞くの野暮ってやつだけどよ……やることやってるのか?」
ソラ「やってません!!(断言)ウミ君!デリカシーないんですか!!?大体不登校でこんな格好であらゆる誘いも蹴っ飛ばす私がガバガバなわけがないじゃないですか!!?」
ウミ「お、おう……」
ソラ「あ!ウミ君!ワンチャンとか思いました!?解釈違いですから!!」
ウミ「勝手に拡大解釈するな!」
ウミは呆れながら文句を言う。
ソラ「それじゃウミ君も教えてください!どーゆー動画のジャンルを見てるんですか!?」
ウミ「はぁぁー!?なんでそうなるんだよ!?」
ウミは悪態をつく。
ソラ「フェアじゃないですよ!?フェアじゃない!」
ウミ「あーもううるせーな!わかったよ!制服モノ!」
ソラ「着衣ですか!?」
ウミ「そう!」
ソラ「シチュエーションは!?」
ウミはどんどん赤くなる。
ウミ「の、ノーコメント……」
かなり気まずく言った。
ソラはなるほど、と何故か感心している。
ソラ「アブノーマルなシチュエーションですね。私の予想では……こういうとことか(想像にお任せ)……こういうとこに(想像にお任せ)……」
ウミ「あーー!!やめろって!!」
ウミは沸騰しそうだった。
その後、ウミの性癖暴露は続く。ソラが新たに得た話はコスプレ系は観賞したという情報だった。
[part3]
一方、nullはずっと喫茶店店内で本を読みながらコーヒーをすする。カウンター奥にいる店主recefiaも立ったまま、コーヒーを手にしている。
recefia「何読んでるのかしら?」
null「『鳴かないセミ』、ミステリーモノ」
recefia「推理小説ね。ご感想は?」
null「人間って意志による決定より、外的要因や環境が殆どなんだね」
recefia「そう……」
null「犯人も境遇さえ違えば別の人生を歩んでいた。本人による選択、自由意志ってモノは『血』で決まるんじゃないかな?」
recefiaはコーヒーを飲む手を止める。
recefia「血?」
null「血筋だよ。家系や境遇、環境、地位、教養……もっと専門的に言うとgene とmeme 」
recefia「ジーンとミームね」
nullは砂糖でドロドロになったコーヒーをすする。
null「ジーンとミーム。この2つ目が人生や運命を決めると言ってもいい。自由意志なんて人間が勝手に定義した言い訳だね」
recefia「なら、あなたの自由意志は存在する?」
nullはマグカップをカウンターに置く。そしてしばらく黙り込む。
null「…………痛いトコ突くね」
recefiaは飲みきったマグカップを洗う。
recefia「他人には指摘するのに、自分には甘いのね」
null「僕は良いんだよ……」
nullはぶっきらぼうに答えた。
null「それより、僕自身の情報ってないの?レセフィア……何か隠してない?」
recefia「残念だけど……」
recefiaは無慈悲に即答する。
null「そう……」
目を細める彼。そして再びコーヒーをすする。
会話は終わり、コーヒーブレイクを始めるnull。すると階段から誰かが降りてくる。
マサト「うっす」
null「……」
recefia「今は夜中よ?」
マサト「伝えたいコトあるっスよ。明日には気が変わるかもしんねーし」
null「伝えたいこと?」
[part4]
マサトはソラ、ウミを呼び出す。
ウミ「なんだよ〜」
ウミはあくびをしながら階段を降りる。ソラもついてくる。全員が喫茶店店内に集結した。
マサトの一言。
マサト「俺ェ、帰るっス」
ウミ「え?」
ソラとウミは驚愕の表情を浮かべる。
マサトは続けた。
マサト「俺、思ったんスよ……俺がやることってなんだろうなってよ」
マサト「仲間と戦い合ったり、つえー奴倒したり、世界を救ったりと……色々考えたんスよ」
ソラとウミは黙って聞いている。nullはコーヒーを飲む。
マサト「あっちの世界ってマジキチーし、こっちもこっちでキチー。でもちょっとよ、こっちはおもしれーかなと思ったけどさ……」
マサト「お前らが必死なトコ見てると……俺ができることって……俺がちゃんと生きて帰るコトなんじゃねーかなって」
null「……そうだね。それは正しい」
ウミ「マサト……」
マサトはrecefiaに目を合わせる。
マサト「店主さん、俺ェ、帰れるっスか?」
recefiaはしっかり見つめて返答する。
recefia「その意志があるなら……帰れるわ」
マサト「っしゃ!」
recefia「店の玄関を開ければ、元の世界に戻れるはずよ」
マサト「んじゃ……行ってくるッス」
マサトは席から離れる。
ソラ「ま、待って!」
マサト「ソラちゃん?」
ソラはマサトに近づく。
ソラ「えっと……ご、5年……」
『5年後には世界は滅びる』
その言葉を伝えるか……迷っていたが。
ウミ「ソラ……」
ウミが目配せする。それは真実を伝えてはいけないという合図だった。
ウミ「マサト」
マサト「何ッス?」
ウミ「現世はゴミみてーな場所だけど……」
ウミは真剣な表情で言う。
ウミ「……マジでゴミだよ」
マサトは爆笑する。
マサト「ウケる!だよな!?ウミもそう言うなら……俺は元気出たわ……」
マサトは玄関を開ける。
マサト「お前らもいつか現世 来いよ?そしたら遊ぼーぜ!?」
そう告げると喫茶店から出ていった。
バタン。
玄関を閉める音。静寂が続く。
ウミはずっと玄関を眺めている。
ウミ「やっぱよ……ソラ……」
ソラ「……はい」
ウミ「……やろうぜ?再建」
ソラ「…………」
ソラはしばらく押し黙ったが、やがてゆっくりと頷いた。
nullはウミの方向を向く。
null「意志が固まったようだね……なら」
null「営業……再開」
episode16
END
『スマイル』
・実体型
・人の影のアベンド。顔が笑顔
・最も多いタイプで様々な武器を所持している
『ラジオフェイス』
・実体型
・人の影で顔にラジオが貼り付けられたアベンド
・episode1で登場
『勇気の羽』
・実体型
・人型に昆虫の羽を持つアベンド。光に寄る習性を持つ
・episode5で登場
『スパイダー』
・実体型
・四つん這いの影のアベンド。素早く機動力を持つ
・episode7で登場
episode16
『臨時休業』
[part1]
サヤアベンドをバグフィックス後、4人は休暇の為、臨時休業。店内で食事も個室で休息も自由。マサトも個別の部屋でくつろいでいる。ソラとウミはそれぞれ個室で引きこもっている。
ソラは純白のクラシカルロリィタ服のまま自室の水色のベッドで寝そべっている。丸いキャラクターのぬいぐるみを抱きながらずっと窓を眺めていた。今はSNSも推し等の動画をまったく見ていない。食事も取らず(魂なので必要ない)、ずっと寝込んだままだ。
ソラは想いにふけていた。過去の現世時代は学校に行かず、部屋にひきこもり、カメラ趣味か推し活(Vtuberが多い)をしていた。推し相手にリスナーとしてコメント等に参加はしていたが、推し同士(女性)の百合CPに異様なまで興奮をして、『人間臭い行為』はあらかたおこなった。だが今は……燃え尽き症候群のように無気力だ。理由は明らかだった。迷い人の双子(リミ、フセ)、サヤ等での悲劇や現世の崩壊の事実を直面して生きる意味が薄れてしまったのだ。
確かに生きる意味はある。DDを集めて崩壊した現世を、人類を復元、再建させる使命を果たすつもりである。『しあわせさま』を止めるという動機もある。長い道のりだが元の日常に戻れる可能性も十分承知だ。しかし、生理的欲求などが極めて少ないこの世界では、やりたい事がほとんどなくて、何をするのかが分からない。推し達も家族も過去の産物故に目的が曖昧だ。
ソラは目を閉じ、枕に顔を埋めた。
……時間は夜になっていた。厳密には時間の概念はない世界だが、昼や夜ぐらいはある。
サヤアベンドをバグフィックスしてからはずっとモヤモヤが止まらない。
ソラ「現状……変わらないです……」
ソラは悲しげに呟いた。彼女は考える。この状態を改善するようなぬくもりが欲しかった。
コンコン。
ソラはウミを招き入れた。
ウミ「ソラ……」
ウミは気まずそうにソラ、女の子の部屋に入る。
ウミ「2回目だな。前回はnull含めて3人で話し合ってたな」
ソラ「そうでしたね……」
ソラはゲーミングチェアに座り、ウミはベッドに腰掛ける。ウミは少しそわそわしている。ソラはウミを見つめて言う。
ソラ「襲わないでくださいね……」
ウミ「そんな状況じゃねーよ……第一、生理現象もほぼねーし」
ウミは目線をそらしながら頭を掻く。
ソラ「だからこそ……なんか……ぶっちゃけるような話がしたいんです……」
ウミ「?」
ソラ「ひたすらくだらない話……しません?」
[part2]
ソラは一方的なトークをし始めた。話している内にスイッチが入ってきたのだ。
ソラ「私は推しに愛情を捧げますけど推しと繋がる……物理ですよ?繋がるのは解釈違いだと思ってます!私は観賞、応援がしたいんです!あっ妄想はしますよ?もちろんです……!推し同士が絡んで絡んで……液体のように溶け合うのは!」
ウミ「落ち着け!」
ソラは冷静に反論する。
ソラ「いえいえ、クールですよ?私は!」
ウミ「そーじゃなくてよ!俺、下品な話題苦手なんだよ……」
ソラ「え?そうなんですか……」
とここでソラは引き出しからピンク色のエナジードリンクを取り出し一気飲みをする。
ソラ「……カフェインキマりました!まだ私はいけますよ!!?」
ウミ「おいおい……」
ウミはため息をする。正直ウミも限界なぐらい疲れている為、ソラの暴走は止めなかった。
ウミ「まあ、今回は好きにしなよ」
その後、ソラが推しの相手の素晴らしさをずっと語る。ウミはドン引きながらも聞いてくれたようだ。
ソラ「当時は服の再生能力もありませんでしたから!……色々替えが必要でした!!」
ウミ「ああ!……クリーン要素が……薄れていく……」
ソラは2つ目のエナジードリンク缶を開けて飲んだ。
ソラ「クリーンですか!?私そんな清楚に見えます!?ドロドロ激重感情オタクですよ!?」
ウミ「……いやぁ、あのさ……こういうこと聞くの野暮ってやつだけどよ……やることやってるのか?」
ソラ「やってません!!(断言)ウミ君!デリカシーないんですか!!?大体不登校でこんな格好であらゆる誘いも蹴っ飛ばす私がガバガバなわけがないじゃないですか!!?」
ウミ「お、おう……」
ソラ「あ!ウミ君!ワンチャンとか思いました!?解釈違いですから!!」
ウミ「勝手に拡大解釈するな!」
ウミは呆れながら文句を言う。
ソラ「それじゃウミ君も教えてください!どーゆー動画のジャンルを見てるんですか!?」
ウミ「はぁぁー!?なんでそうなるんだよ!?」
ウミは悪態をつく。
ソラ「フェアじゃないですよ!?フェアじゃない!」
ウミ「あーもううるせーな!わかったよ!制服モノ!」
ソラ「着衣ですか!?」
ウミ「そう!」
ソラ「シチュエーションは!?」
ウミはどんどん赤くなる。
ウミ「の、ノーコメント……」
かなり気まずく言った。
ソラはなるほど、と何故か感心している。
ソラ「アブノーマルなシチュエーションですね。私の予想では……こういうとことか(想像にお任せ)……こういうとこに(想像にお任せ)……」
ウミ「あーー!!やめろって!!」
ウミは沸騰しそうだった。
その後、ウミの性癖暴露は続く。ソラが新たに得た話はコスプレ系は観賞したという情報だった。
[part3]
一方、nullはずっと喫茶店店内で本を読みながらコーヒーをすする。カウンター奥にいる店主recefiaも立ったまま、コーヒーを手にしている。
recefia「何読んでるのかしら?」
null「『鳴かないセミ』、ミステリーモノ」
recefia「推理小説ね。ご感想は?」
null「人間って意志による決定より、外的要因や環境が殆どなんだね」
recefia「そう……」
null「犯人も境遇さえ違えば別の人生を歩んでいた。本人による選択、自由意志ってモノは『血』で決まるんじゃないかな?」
recefiaはコーヒーを飲む手を止める。
recefia「血?」
null「血筋だよ。家系や境遇、環境、地位、教養……もっと専門的に言うと
recefia「ジーンとミームね」
nullは砂糖でドロドロになったコーヒーをすする。
null「ジーンとミーム。この2つ目が人生や運命を決めると言ってもいい。自由意志なんて人間が勝手に定義した言い訳だね」
recefia「なら、あなたの自由意志は存在する?」
nullはマグカップをカウンターに置く。そしてしばらく黙り込む。
null「…………痛いトコ突くね」
recefiaは飲みきったマグカップを洗う。
recefia「他人には指摘するのに、自分には甘いのね」
null「僕は良いんだよ……」
nullはぶっきらぼうに答えた。
null「それより、僕自身の情報ってないの?レセフィア……何か隠してない?」
recefia「残念だけど……」
recefiaは無慈悲に即答する。
null「そう……」
目を細める彼。そして再びコーヒーをすする。
会話は終わり、コーヒーブレイクを始めるnull。すると階段から誰かが降りてくる。
マサト「うっす」
null「……」
recefia「今は夜中よ?」
マサト「伝えたいコトあるっスよ。明日には気が変わるかもしんねーし」
null「伝えたいこと?」
[part4]
マサトはソラ、ウミを呼び出す。
ウミ「なんだよ〜」
ウミはあくびをしながら階段を降りる。ソラもついてくる。全員が喫茶店店内に集結した。
マサトの一言。
マサト「俺ェ、帰るっス」
ウミ「え?」
ソラとウミは驚愕の表情を浮かべる。
マサトは続けた。
マサト「俺、思ったんスよ……俺がやることってなんだろうなってよ」
マサト「仲間と戦い合ったり、つえー奴倒したり、世界を救ったりと……色々考えたんスよ」
ソラとウミは黙って聞いている。nullはコーヒーを飲む。
マサト「あっちの世界ってマジキチーし、こっちもこっちでキチー。でもちょっとよ、こっちはおもしれーかなと思ったけどさ……」
マサト「お前らが必死なトコ見てると……俺ができることって……俺がちゃんと生きて帰るコトなんじゃねーかなって」
null「……そうだね。それは正しい」
ウミ「マサト……」
マサトはrecefiaに目を合わせる。
マサト「店主さん、俺ェ、帰れるっスか?」
recefiaはしっかり見つめて返答する。
recefia「その意志があるなら……帰れるわ」
マサト「っしゃ!」
recefia「店の玄関を開ければ、元の世界に戻れるはずよ」
マサト「んじゃ……行ってくるッス」
マサトは席から離れる。
ソラ「ま、待って!」
マサト「ソラちゃん?」
ソラはマサトに近づく。
ソラ「えっと……ご、5年……」
『5年後には世界は滅びる』
その言葉を伝えるか……迷っていたが。
ウミ「ソラ……」
ウミが目配せする。それは真実を伝えてはいけないという合図だった。
ウミ「マサト」
マサト「何ッス?」
ウミ「現世はゴミみてーな場所だけど……」
ウミは真剣な表情で言う。
ウミ「……マジでゴミだよ」
マサトは爆笑する。
マサト「ウケる!だよな!?ウミもそう言うなら……俺は元気出たわ……」
マサトは玄関を開ける。
マサト「お前らもいつか
そう告げると喫茶店から出ていった。
バタン。
玄関を閉める音。静寂が続く。
ウミはずっと玄関を眺めている。
ウミ「やっぱよ……ソラ……」
ソラ「……はい」
ウミ「……やろうぜ?再建」
ソラ「…………」
ソラはしばらく押し黙ったが、やがてゆっくりと頷いた。
nullはウミの方向を向く。
null「意志が固まったようだね……なら」
null「営業……再開」
episode16
END
