19×17
サンジはウソップになにげに優しい。
ウソップとゾロは意外に仲がいい。
そしてゾロとサンジは、普通に仲が悪い。
よって、ゾロとサンジの間にウソップが入るとわりかし会話になったりするのだが、その事実を本人達はあまり意識したことがない。
ちなみにその話の内容はというと……修学旅行生並みの、恋話だった。
男部屋の掘りごたつ。今日は冬島気候なので暖を取るのに活躍している。
「バラティエにいたころぁ、最高5人のレディとデートしたことあるぜ?」
フフン、と自慢げにタバコを噴かすのは自他共に認める女好き、コックのサンジである。
その隣、
「お、おれなんかなぁ! 村にいたころはひっきりなしに告白されちまって罪な男ナンバー1だったもんさぁ! わーっはっはっはー!」
狙撃手ウソップが長い鼻をつんと天に向けて宣うも、
「ウソだろ、それ」
差し向かいの剣士ゾロにズバリ言い当てられ、「なんでバレたー!?」と丸い目をさらに丸くした。
それをハハハと笑い飛ばしたサンジが、
「見栄張ってなんぼだがな、男ってのは」
とフォローしてやったのだがしかし、
「けどよ、ウソップには村で待っててくれる女いるもんなぁ? どっかのクソコックと違ってよ」
と頬杖を着いたゾロが、左耳の三連ピアスをしゃらり鳴らせて暴露するや、コックさんの目の色が瞬時に変わった。
「なにをー!? そそそんな奇特なレディがお前にいたとは……! やいウソップ! 詳しく聞かせやがれ!!」
「ぅえ!? いや、カヤとはそんな……っ」
「いっちょ前に照れてんじゃねェえええ!!」
「ギャー八つ当たり反対~! ゾロくん笑ってないで助けなさーいっ」
「なんでおれが」
とか素っ気なく言いつつも、「ウソップ死ぬぞ」と庇ってやるゾロとウソップ相手に本気の制裁など加えないサンジである。
その後、ウソップはいつもの饒舌ぶりに反してしどろもどろカヤの話をデレデレとサンジに聞かせ、「ヤったのか」とか言われて真っ赤になって否定したり、なんやかんやとからかわれまくり……。
「もっ、もうおれの話はいいだろ!? サンジはノウスブルー出身だったよな、故郷に待ってる彼女とかいねェのか?」
「いねェよ。おれがいたのはガキんころだからな」
「そっかぁ~。あ、じゃあゾロは……いるわけねェか。ヒヒヒ」
「いるわけねェよな、エロマリモくんは。船長様にゾッコンだもんなぁ?」
「ゾッコン言うな……」
ニヨニヨ笑う二人にゾロが苦虫を噛み潰したような顔になった。
サンウソはともかく、このいかにもストイックそうな男が恋話なんぞに加われてしまうのは、実は船長ルフィと“そういう関係”なのを一味全員知っているからだ。
と言ってもゾロからベラベラ喋ることはないので、向けられる好奇心に当たり障りなく答えるだけだったが。
「ゾロがルフィにゾッコンラブなのは解るけどよォ、よくあのお子様ルフィが応えてるよなぁっておれはたまに不思議になるんだよ。サンジはどうだ?」
「おれに聞くんじゃねェ。おれはまだ認めちゃいねェ!」
「え!? サンジってルフィのこと好きだったのかぁ!?」
「そっちじゃねェよっ」
「まままさかゾゾゾゾ」
「絶対にねェーーっ!! 男同士なんざ認めねェって意味だ!」
「そっちかビックリしたー。けどコイツらが付き合ってるってイマイチ実感わかねェからさ、おれ」
「フン、そりゃウソップが知らねェだけだろう。やることやってるぜそこのエロマリモくんと、うちの船長はよ」
「やややめてくれェェ想像しちまうからぁぁ!!」
顔面蒼白のウソップが、しれっと言うサンジからザザッと離れて耳を押さえた。
「おいぐるぐる、その辺にしとけよ……」
ギロッ。
自分と船長を下ネタにされるのは気分が悪いのだ。特にルフィがよからぬ目で見られるのは……。
「だったらキスマークは見えねェとこにつけやがれ! ケダモノ剣士!」
「見えるとこにつけた覚えはねェ! いつ見たんだてめェ!? まさか無理やり……!」
「あ り え ん だ ろ う! メシ作ってっとまとわりついてくんだよ、見たくて見てるわけじゃねェ!」
「その喧嘩買った」
「売ってねェけど売ったぁ!」
「まーまーまー! この話は終わり終わり~~!!」
すかさずウソップが間に入ったので、どうにかこうにか鎮火。
巻き込まれたらただじゃ済まないのはウソップだと二人とも解っているので。
それよりも、と身を乗り出すウソップにサンジは「なんだなんだ」と食いつき、ゾロはごろんとソファに寝転ぶとさっそくふわぁっと欠伸を一つした。
「魔性の女、って言うじゃねェか。あれってどんな女のことなんだ?」
「ウソップはどんなレディを想像してる?」
「ん~そりゃやっぱあれだろ、美貌とナイスバディを武器に男をタブらかして金品せしめるとか? 男を弄ぶ女だ!」
「…マリモは?」
「あ?ナミみてェな魔女とかか?」
「ナミさんを魔女扱いすんなっ! てめェらわかってねェな~」
知った風なコックにウソップが「じゃあどんなんだ」と詰め寄れば、サンジがしたり顔でタバコの火を灰皿で揉み消し、口を開いた。
「子供みたいに無邪気な笑顔でじゃれついてきて、こっちがその気になったときにゃいなくなってる……そんな女性さ」
「ほーー。へぇ~? なんかイメージと違うな」
「ウソップが言ってんのは悪女つーんだよ、悪女」
「あぁそうか! なるほど!」
と、そのとき。
「お前ら何やってんだ!? あ、ゾロここにいたのか!」
どこを走り回っていたのか船長のルフィが息せき切って飛び込んできて、3人がいるこたつにパタパタ寄ってきた。
外はかなり冷えるのか、鼻の頭が赤い。
それから腰に手を当てるとこてっと首を傾げるので。
「ボーイズトークだ、ボーイズトーク」
「そうそうボーイズトーク」
「なんだそりゃ?」
サンウソの説明に眉根を寄せてゾロも?という目で見てくるルフィに、ゾロが「らしいぜ」と答える。
ルフィは「ふぅん」と下唇を出すもあっさり興味を失ったのか、パッと笑顔になるとソファで横になっていたゾロの胸の上へよじよじうつ伏せに乗っかって、その顔をでっかい目で覗き込んだ。
「近……」
「恋人距離だな」
と呟くサンウソもスルーで。
「それよかあのさゾロ! ブルックがな!! さっき──」
あーだこーだ、あれでこれで、と一気に捲し立て始める。
場の空気なんか、ルフィは読まない。
あひゃあひゃ笑う合間にゾロの頬にデコをぐりぐり、「あったけー!」とまたぐりぐりしてはゾロがイテェからと訴えるのも無視で、挙げ句「あ、そうだ!」と何やら閃いた様子で手を打ったと思ったら、ゾロの顎にちゅうっとキスしてあっという間にいなくなってしまった。
まるで、台風一過。
背中に回そうとしていたゾロの所在なげに浮いた手が、のろのろと下ろされる。
「なんだったんだ……。慌ただしいなー相変わらずルフィは」
「鉄砲玉だからな」
「……」
二人のコメントには反論できないゾロだ。
「おい緑、おめぇたまにモヤッとしねェか? あれの相手してて……」
「……しねェ」
するけど。
「でもさっき何気にチューしたよな! ルフィって積極的なのか!? てことはその、夜も……?」
純情ウソップ君にしては頑張って聞いてみた。
「そうでもねェよ」
と言うのは嘘じゃないが(誘うのはだいたいゾロなので)、理性を飛ばしたルフィはああ見えてむちゃくちゃエロい。けど、教えてやらない。
「それなりに苦労してんのか? ざまみろクソ剣士」
「別に苦労してねェ! やりたきゃ遠慮しねェし」
「うっわ~ゾロだなー」
「なんでおれだよ……」
「あぁ苦労してんのはルフィだよな、こんな筋肉バカの相手してやってんだから……。あんな保障もなんもねェ誓い一つにほだされやがって、ルフィは健気だねェ~」
「誓い? ……あ! もしかしてあんときの!?」
「あぁコイツが──」
シャッキーン!
サンジの喉元に気付けば刀の切っ先が突きつけられていた。
「それ以上言いやがったらぶった斬る……」
ドスの利いたゾロの低音にビビったのはウソップで、ただの脅しだと解っているサンジは「ブレイクブレイク」と両手を挙げるも、ニタニタと締まりがない。
ゾロがすぐに刃を鞘に収めてピリピリした空気を自ら断ち切ったのは、やはり怖がりウソップのためなのだ。
この3人の均衡はやはり、ウソップによって保たれている。
にしてもまさかあの“誓い”を持ち出されるとは思ってなくて、ゾロは歯軋りする。
アレでほだしたつもりも落としたつもりもないが、ルフィが自分の気持ちに気付く取っ掛かりになったと聞いたことがあったので、からかいのネタにはされたくない。
が、その辺の空気を読めるサンウソがアレを茶化してくることも、またコックと喧嘩になることもなかった。
「しっかしルフィが健気って……そりゃねェだろサンジ! わははは!」
「あ~~そうだな、ねェな。どっちかっつーとさっきのルフィってよ……」
“子供みたいに無邪気な笑顔でじゃれついてきて、こっちがその気になったらいなくなっている──”
魔性に囚われてなお一途に想ってるゾロの方こそ、よっぽど健気じゃねェか??
と、サンジもウソップも銘々に思ったが、あぁ今更だったな、と納得すると次の話題を考え始めた。
(おわる)
マリ/リン・モン/ローのことを共演者がそんな風に言ってたと聞いて書いてみた小話でした(笑)
ウソップとゾロは意外に仲がいい。
そしてゾロとサンジは、普通に仲が悪い。
よって、ゾロとサンジの間にウソップが入るとわりかし会話になったりするのだが、その事実を本人達はあまり意識したことがない。
ちなみにその話の内容はというと……修学旅行生並みの、恋話だった。
男部屋の掘りごたつ。今日は冬島気候なので暖を取るのに活躍している。
「バラティエにいたころぁ、最高5人のレディとデートしたことあるぜ?」
フフン、と自慢げにタバコを噴かすのは自他共に認める女好き、コックのサンジである。
その隣、
「お、おれなんかなぁ! 村にいたころはひっきりなしに告白されちまって罪な男ナンバー1だったもんさぁ! わーっはっはっはー!」
狙撃手ウソップが長い鼻をつんと天に向けて宣うも、
「ウソだろ、それ」
差し向かいの剣士ゾロにズバリ言い当てられ、「なんでバレたー!?」と丸い目をさらに丸くした。
それをハハハと笑い飛ばしたサンジが、
「見栄張ってなんぼだがな、男ってのは」
とフォローしてやったのだがしかし、
「けどよ、ウソップには村で待っててくれる女いるもんなぁ? どっかのクソコックと違ってよ」
と頬杖を着いたゾロが、左耳の三連ピアスをしゃらり鳴らせて暴露するや、コックさんの目の色が瞬時に変わった。
「なにをー!? そそそんな奇特なレディがお前にいたとは……! やいウソップ! 詳しく聞かせやがれ!!」
「ぅえ!? いや、カヤとはそんな……っ」
「いっちょ前に照れてんじゃねェえええ!!」
「ギャー八つ当たり反対~! ゾロくん笑ってないで助けなさーいっ」
「なんでおれが」
とか素っ気なく言いつつも、「ウソップ死ぬぞ」と庇ってやるゾロとウソップ相手に本気の制裁など加えないサンジである。
その後、ウソップはいつもの饒舌ぶりに反してしどろもどろカヤの話をデレデレとサンジに聞かせ、「ヤったのか」とか言われて真っ赤になって否定したり、なんやかんやとからかわれまくり……。
「もっ、もうおれの話はいいだろ!? サンジはノウスブルー出身だったよな、故郷に待ってる彼女とかいねェのか?」
「いねェよ。おれがいたのはガキんころだからな」
「そっかぁ~。あ、じゃあゾロは……いるわけねェか。ヒヒヒ」
「いるわけねェよな、エロマリモくんは。船長様にゾッコンだもんなぁ?」
「ゾッコン言うな……」
ニヨニヨ笑う二人にゾロが苦虫を噛み潰したような顔になった。
サンウソはともかく、このいかにもストイックそうな男が恋話なんぞに加われてしまうのは、実は船長ルフィと“そういう関係”なのを一味全員知っているからだ。
と言ってもゾロからベラベラ喋ることはないので、向けられる好奇心に当たり障りなく答えるだけだったが。
「ゾロがルフィにゾッコンラブなのは解るけどよォ、よくあのお子様ルフィが応えてるよなぁっておれはたまに不思議になるんだよ。サンジはどうだ?」
「おれに聞くんじゃねェ。おれはまだ認めちゃいねェ!」
「え!? サンジってルフィのこと好きだったのかぁ!?」
「そっちじゃねェよっ」
「まままさかゾゾゾゾ」
「絶対にねェーーっ!! 男同士なんざ認めねェって意味だ!」
「そっちかビックリしたー。けどコイツらが付き合ってるってイマイチ実感わかねェからさ、おれ」
「フン、そりゃウソップが知らねェだけだろう。やることやってるぜそこのエロマリモくんと、うちの船長はよ」
「やややめてくれェェ想像しちまうからぁぁ!!」
顔面蒼白のウソップが、しれっと言うサンジからザザッと離れて耳を押さえた。
「おいぐるぐる、その辺にしとけよ……」
ギロッ。
自分と船長を下ネタにされるのは気分が悪いのだ。特にルフィがよからぬ目で見られるのは……。
「だったらキスマークは見えねェとこにつけやがれ! ケダモノ剣士!」
「見えるとこにつけた覚えはねェ! いつ見たんだてめェ!? まさか無理やり……!」
「あ り え ん だ ろ う! メシ作ってっとまとわりついてくんだよ、見たくて見てるわけじゃねェ!」
「その喧嘩買った」
「売ってねェけど売ったぁ!」
「まーまーまー! この話は終わり終わり~~!!」
すかさずウソップが間に入ったので、どうにかこうにか鎮火。
巻き込まれたらただじゃ済まないのはウソップだと二人とも解っているので。
それよりも、と身を乗り出すウソップにサンジは「なんだなんだ」と食いつき、ゾロはごろんとソファに寝転ぶとさっそくふわぁっと欠伸を一つした。
「魔性の女、って言うじゃねェか。あれってどんな女のことなんだ?」
「ウソップはどんなレディを想像してる?」
「ん~そりゃやっぱあれだろ、美貌とナイスバディを武器に男をタブらかして金品せしめるとか? 男を弄ぶ女だ!」
「…マリモは?」
「あ?ナミみてェな魔女とかか?」
「ナミさんを魔女扱いすんなっ! てめェらわかってねェな~」
知った風なコックにウソップが「じゃあどんなんだ」と詰め寄れば、サンジがしたり顔でタバコの火を灰皿で揉み消し、口を開いた。
「子供みたいに無邪気な笑顔でじゃれついてきて、こっちがその気になったときにゃいなくなってる……そんな女性さ」
「ほーー。へぇ~? なんかイメージと違うな」
「ウソップが言ってんのは悪女つーんだよ、悪女」
「あぁそうか! なるほど!」
と、そのとき。
「お前ら何やってんだ!? あ、ゾロここにいたのか!」
どこを走り回っていたのか船長のルフィが息せき切って飛び込んできて、3人がいるこたつにパタパタ寄ってきた。
外はかなり冷えるのか、鼻の頭が赤い。
それから腰に手を当てるとこてっと首を傾げるので。
「ボーイズトークだ、ボーイズトーク」
「そうそうボーイズトーク」
「なんだそりゃ?」
サンウソの説明に眉根を寄せてゾロも?という目で見てくるルフィに、ゾロが「らしいぜ」と答える。
ルフィは「ふぅん」と下唇を出すもあっさり興味を失ったのか、パッと笑顔になるとソファで横になっていたゾロの胸の上へよじよじうつ伏せに乗っかって、その顔をでっかい目で覗き込んだ。
「近……」
「恋人距離だな」
と呟くサンウソもスルーで。
「それよかあのさゾロ! ブルックがな!! さっき──」
あーだこーだ、あれでこれで、と一気に捲し立て始める。
場の空気なんか、ルフィは読まない。
あひゃあひゃ笑う合間にゾロの頬にデコをぐりぐり、「あったけー!」とまたぐりぐりしてはゾロがイテェからと訴えるのも無視で、挙げ句「あ、そうだ!」と何やら閃いた様子で手を打ったと思ったら、ゾロの顎にちゅうっとキスしてあっという間にいなくなってしまった。
まるで、台風一過。
背中に回そうとしていたゾロの所在なげに浮いた手が、のろのろと下ろされる。
「なんだったんだ……。慌ただしいなー相変わらずルフィは」
「鉄砲玉だからな」
「……」
二人のコメントには反論できないゾロだ。
「おい緑、おめぇたまにモヤッとしねェか? あれの相手してて……」
「……しねェ」
するけど。
「でもさっき何気にチューしたよな! ルフィって積極的なのか!? てことはその、夜も……?」
純情ウソップ君にしては頑張って聞いてみた。
「そうでもねェよ」
と言うのは嘘じゃないが(誘うのはだいたいゾロなので)、理性を飛ばしたルフィはああ見えてむちゃくちゃエロい。けど、教えてやらない。
「それなりに苦労してんのか? ざまみろクソ剣士」
「別に苦労してねェ! やりたきゃ遠慮しねェし」
「うっわ~ゾロだなー」
「なんでおれだよ……」
「あぁ苦労してんのはルフィだよな、こんな筋肉バカの相手してやってんだから……。あんな保障もなんもねェ誓い一つにほだされやがって、ルフィは健気だねェ~」
「誓い? ……あ! もしかしてあんときの!?」
「あぁコイツが──」
シャッキーン!
サンジの喉元に気付けば刀の切っ先が突きつけられていた。
「それ以上言いやがったらぶった斬る……」
ドスの利いたゾロの低音にビビったのはウソップで、ただの脅しだと解っているサンジは「ブレイクブレイク」と両手を挙げるも、ニタニタと締まりがない。
ゾロがすぐに刃を鞘に収めてピリピリした空気を自ら断ち切ったのは、やはり怖がりウソップのためなのだ。
この3人の均衡はやはり、ウソップによって保たれている。
にしてもまさかあの“誓い”を持ち出されるとは思ってなくて、ゾロは歯軋りする。
アレでほだしたつもりも落としたつもりもないが、ルフィが自分の気持ちに気付く取っ掛かりになったと聞いたことがあったので、からかいのネタにはされたくない。
が、その辺の空気を読めるサンウソがアレを茶化してくることも、またコックと喧嘩になることもなかった。
「しっかしルフィが健気って……そりゃねェだろサンジ! わははは!」
「あ~~そうだな、ねェな。どっちかっつーとさっきのルフィってよ……」
“子供みたいに無邪気な笑顔でじゃれついてきて、こっちがその気になったらいなくなっている──”
魔性に囚われてなお一途に想ってるゾロの方こそ、よっぽど健気じゃねェか??
と、サンジもウソップも銘々に思ったが、あぁ今更だったな、と納得すると次の話題を考え始めた。
(おわる)
マリ/リン・モン/ローのことを共演者がそんな風に言ってたと聞いて書いてみた小話でした(笑)