19×17
「すんっっげー星がいっぱいだな!!!」
草の上に大の字になったら、夜空に満天の星々が瞬いていて、ルフィは大きな目を輝かせる。
その黒い瞳にもたくさんの星が映ってキラキラしているが、本人は知らない。
火の番をしていたレイリーがそんな弟子にくすりと笑い、「ここは無人島だからな」と言うのでああそうかとルフィは思った。
こどものころに住んでいたコルボ山からも星はたくさん見えたけれど、あの国にはグレイターミナルという人が汚した場所もあり大きな街もあったので、人工の光と薄汚れた空気とで、こんなには見えないんだとぼんやり理解した。
でも、輝いていたあのころ。
兄弟と過ごした思い出が今もこの星空のようにキラキラとルフィの記憶に残っている。
あの時期の、ルフィの全てだった。
でも海へ出てかけがえのない仲間に出会ってルフィの世界は瞬く間に広がった。
今は、その仲間達との再会だけを胸に辛くてでも楽しい修業に精を出している。
「アイツらもおんなじ星見てたらいいな……」
この広い空と海は必ず仲間と繋がっている。
「ゾロも見てるかなァ」
ルフィの相棒の前には今、どんな景色が広がっているのだろう。
「ゾロとは……あの鈍そうな男のことか?」
独り言を聞かれ、ルフィはその名を口に出していたことに気が付いた。
「うんそうだ! ゾロはちょっとマヌケだけどな、すっげー強ェんだぞ。2年後はきっともっと強くなってる。楽しみだなぁ~」
くまみたいな奴に消されてから会っていない剣士。
あのときゾロはとても傷ついて動くことすらままならない状態だったのに、そのあとルフィ達の前から忽然と消されてしまった。
蘇る恐怖。
ルフィはぶるりと体を震わせ、レイリーに「寒いのか?」と訊かれたが、首を横に振る。
そして次々に大事な仲間を消されて、なのに自分勝手に寄り道して、とうとうたった一人の兄も失くした。永遠にルフィの前からいなくなった。
順風満帆に駆け上がってきた海賊の高みへの、ほんの数歩で味わうことになった絶望と挫折。
それでもやっぱりルフィを支えたのは、仲間達の存在だった。
大事な大事な仲間。
早く会いたい。
我侭を言って2年も待ってもらうことになったけれど、アイツらとまたたくさん冒険できると信じて厳しい修業に明け暮れている。
それでも。
その名を――ゾロの名を口にすると。
心の真ん中にぽわんと甘い火が灯る。
「ゾロに会いてェ……」
「――好きなのか?」
「へ!? 何がっ?」
「言わなくても解ってるんだろう?」
て、何を……。
自分がゾロを、特別に想っていることだろうか。
「お、おう! そりゃあな!!」
1番目の仲間だから、となぜか言い訳がましくルフィはレイリーの方を見て言って、だけど顔はぶわわっと正直に熱くなってそっぽを向いた。
暗くて見えてないといい。
「なるほどなァ」
「何がなるほど!?」
人の心を読むことに長けているこの師匠のことだから多分すべてお見通しなんだ。
例えばルフィが眠れぬ夜、アイツを思い出して体を熱くしていることとか……。
「もう寝なさい。明日も早くからビシビシしごくぞ」
「うん、おやすみレイリー!!」
瞳を閉じてもちかちか光が瞼の裏に残る。
それはやがて大好きな仲間の笑顔になって、ルフィは口をにんまりさせる。
ぐっすり眠って、いっぱい食べて、また明日も頑張ろう。
兄が命に換えて守ってくれた未来と夢を、再び追いかけ始めるその日の為に――。
(ルフィさんの一人えちーが書けなくてすいません・笑)
***
蛇足のゾロ妄想。
「お前またその記事見てるのかぁ?」
「勝手にひとの部屋に入るな……」
「もうボロボロじゃねェか~」
「うるっせェ!!」
ゾロはガッと牙を剥き、「デカイ声出すな!」と身を竦めるホロホロ女を一瞥するとすっかりくしゃくしゃになったルフィの記事をハラマキの中へ隠した。
日々、血ヘドを吐く程の修業など屁でもないが、一日の終わりにほんの少し、あの存在を感じるくらい多目に見ろってんだ。
ルフィは今どこでどんな修業をしているのだろう。
亡くした兄を想い、仲間を想い。
あの船長のことだから、毎日を全力で生きてるんだろう。
「ま、アイツがそんな柔なわけねェもんな」
ニヤ、と笑う。
「なにニヤニヤしてるんだ気持ち悪い奴だなぁ……」
「てめェまだいたのかよっ。さっさと出てけ!!」
刀の柄に手をかけたらペローナが慌てて部屋を出て行った。
今いるこの元王国は、じめじめ湿気た薄暗い島だ。
本当なら一刻も早く、ルフィの目前に広がっているだろう海賊王への目映い道を、共に見ながら歩みたいと思っている。
誓いは決して違わない――。
ルフィは笑えているだろうか。
早くあのお日さんのような笑顔が見たい。
「ここは星ひとつ見えやしねェ……」
(ゾロくんは見てなかったよ、というオチ;)
トウジさんにレイル書いてって言われて書いてみたけどこれが限界だったね私……(懐かし)
草の上に大の字になったら、夜空に満天の星々が瞬いていて、ルフィは大きな目を輝かせる。
その黒い瞳にもたくさんの星が映ってキラキラしているが、本人は知らない。
火の番をしていたレイリーがそんな弟子にくすりと笑い、「ここは無人島だからな」と言うのでああそうかとルフィは思った。
こどものころに住んでいたコルボ山からも星はたくさん見えたけれど、あの国にはグレイターミナルという人が汚した場所もあり大きな街もあったので、人工の光と薄汚れた空気とで、こんなには見えないんだとぼんやり理解した。
でも、輝いていたあのころ。
兄弟と過ごした思い出が今もこの星空のようにキラキラとルフィの記憶に残っている。
あの時期の、ルフィの全てだった。
でも海へ出てかけがえのない仲間に出会ってルフィの世界は瞬く間に広がった。
今は、その仲間達との再会だけを胸に辛くてでも楽しい修業に精を出している。
「アイツらもおんなじ星見てたらいいな……」
この広い空と海は必ず仲間と繋がっている。
「ゾロも見てるかなァ」
ルフィの相棒の前には今、どんな景色が広がっているのだろう。
「ゾロとは……あの鈍そうな男のことか?」
独り言を聞かれ、ルフィはその名を口に出していたことに気が付いた。
「うんそうだ! ゾロはちょっとマヌケだけどな、すっげー強ェんだぞ。2年後はきっともっと強くなってる。楽しみだなぁ~」
くまみたいな奴に消されてから会っていない剣士。
あのときゾロはとても傷ついて動くことすらままならない状態だったのに、そのあとルフィ達の前から忽然と消されてしまった。
蘇る恐怖。
ルフィはぶるりと体を震わせ、レイリーに「寒いのか?」と訊かれたが、首を横に振る。
そして次々に大事な仲間を消されて、なのに自分勝手に寄り道して、とうとうたった一人の兄も失くした。永遠にルフィの前からいなくなった。
順風満帆に駆け上がってきた海賊の高みへの、ほんの数歩で味わうことになった絶望と挫折。
それでもやっぱりルフィを支えたのは、仲間達の存在だった。
大事な大事な仲間。
早く会いたい。
我侭を言って2年も待ってもらうことになったけれど、アイツらとまたたくさん冒険できると信じて厳しい修業に明け暮れている。
それでも。
その名を――ゾロの名を口にすると。
心の真ん中にぽわんと甘い火が灯る。
「ゾロに会いてェ……」
「――好きなのか?」
「へ!? 何がっ?」
「言わなくても解ってるんだろう?」
て、何を……。
自分がゾロを、特別に想っていることだろうか。
「お、おう! そりゃあな!!」
1番目の仲間だから、となぜか言い訳がましくルフィはレイリーの方を見て言って、だけど顔はぶわわっと正直に熱くなってそっぽを向いた。
暗くて見えてないといい。
「なるほどなァ」
「何がなるほど!?」
人の心を読むことに長けているこの師匠のことだから多分すべてお見通しなんだ。
例えばルフィが眠れぬ夜、アイツを思い出して体を熱くしていることとか……。
「もう寝なさい。明日も早くからビシビシしごくぞ」
「うん、おやすみレイリー!!」
瞳を閉じてもちかちか光が瞼の裏に残る。
それはやがて大好きな仲間の笑顔になって、ルフィは口をにんまりさせる。
ぐっすり眠って、いっぱい食べて、また明日も頑張ろう。
兄が命に換えて守ってくれた未来と夢を、再び追いかけ始めるその日の為に――。
(ルフィさんの一人えちーが書けなくてすいません・笑)
***
蛇足のゾロ妄想。
「お前またその記事見てるのかぁ?」
「勝手にひとの部屋に入るな……」
「もうボロボロじゃねェか~」
「うるっせェ!!」
ゾロはガッと牙を剥き、「デカイ声出すな!」と身を竦めるホロホロ女を一瞥するとすっかりくしゃくしゃになったルフィの記事をハラマキの中へ隠した。
日々、血ヘドを吐く程の修業など屁でもないが、一日の終わりにほんの少し、あの存在を感じるくらい多目に見ろってんだ。
ルフィは今どこでどんな修業をしているのだろう。
亡くした兄を想い、仲間を想い。
あの船長のことだから、毎日を全力で生きてるんだろう。
「ま、アイツがそんな柔なわけねェもんな」
ニヤ、と笑う。
「なにニヤニヤしてるんだ気持ち悪い奴だなぁ……」
「てめェまだいたのかよっ。さっさと出てけ!!」
刀の柄に手をかけたらペローナが慌てて部屋を出て行った。
今いるこの元王国は、じめじめ湿気た薄暗い島だ。
本当なら一刻も早く、ルフィの目前に広がっているだろう海賊王への目映い道を、共に見ながら歩みたいと思っている。
誓いは決して違わない――。
ルフィは笑えているだろうか。
早くあのお日さんのような笑顔が見たい。
「ここは星ひとつ見えやしねェ……」
(ゾロくんは見てなかったよ、というオチ;)
トウジさんにレイル書いてって言われて書いてみたけどこれが限界だったね私……(懐かし)