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140字SSまとめ

【京ヒノキ】

 曇天の空。湿気にまみれた重い空気。家の中でさえ、息をするのも怠い。
「誰か殺してくれればいいのに」
俯せで横たわり、板の間にダイイングメッセージをなぞる。
「……冗談だよ」
 泣きそうな顔。身振り手振りで何かしようとするが、何も出来ていない。
 どうせなら、お前が殺してくれてもいいのに。




【佐伯の初恋】

「ずっとお前が好きだった」

 墓場まで持っていくつもりだったのに。最期になると、欲が出てきた。
「知ってたよ」
 目元が緩んだその表情(かお)は、見たくない。伏し目になると影が身体を覆い、思わず瞳孔が開く。
「ごめんね、好きになれなくて」
 ゆっくりと身体を起こし、俺から離れていく。
 そんな事言う(する)から、嫌いになれないんだろ。莫迦。




【筒香→██】

 恋は盲目とよく言ったもんだ。あいつはオレになんか一切振り向かねぇ。いいよな、好かれてたら何でも思い通り。欲しいものは手に入り、食いたいものは食える。利用しようと思えば出来るのに、全くしねぇ相手にも腹立つ。人間皆お人好しを被った偽善者なんだ、正直に生きた方が気楽なのによ。
 だからこそ、あいつは好かれてるんだろうな。




【京みやび】

時々不安になるけれど。わたしとあなたは血の繋がる、唯一の家族。
 同じ日に生まれたのに、わたしより大きくて、わたしより強くて、わたしより人に好かれてる。少し悪い所はあるけども、それ以上にわたしはあなたの良い所を知っている。誤解をされやすいのだけは、一緒だね。


【高瀬ひゅうが】
いつも不安になるけれど。おれとお前は血の繋がる、唯一の家族。
 同じ日に生まれたのに、おれより小さくて、おれより弱くて、おれより人に馴染めない。悪い所はどこにも無いのに、どうしてそんなに独りでいたがるのか。誤解をされやすいのだけは、一緒だな。




【紡流】

 むせ返るような鉄の臭い。ぐちゃぐちゃと液体と柔らかい固形物が混ざる音。生暖かい温度。弾力のある感触。
 これに興奮しない訳がない。ゆっくり、丁寧に繋がる管を切り離し、両手で掴みかぶり付いた。ぼたぼたと脇から大量の血液が漏れるも、気にせず貪り噛み砕く。

 嗚呼、人はなんて──こんなにも不味いのだろう。
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