gloomy glory

「貴方はどうして天使として生まれたのでしょうね」

無機質な天使達が群がって羽をもぎ取ろうとしている。その痛みは尋常ではなく、声すら上げられない。声を上げるなど、この場神の前では許されない。
掴み所の無い床を必死に掴み、ただ痛みに耐え、神の聞きたくもない説教を耳に入れる。

「汚ならしいのはどちらでしょう。私達神というものは、人間を愛さずにはいられないのです。可愛い子なのです。その子を汚ならしい、と一切見ずに天使の仕事をしていたなんて……嗚呼、可哀想に」

背中からぶち、と嫌な音が響いた。
無機質な天使達は喋らない。しかし、嘲笑っているのはわかる。
そこの痛みは一瞬にして無くなったが、もう一つの羽をまた取ろうと引っ張り、痛みは連続して止まらない。

「貴方は智天使ですからね。取るなら片方二つ、取らなくては。そうでないと飛べてしまいますからね」

ぶち。
再び背中に一瞬の激しい痛みが走ると、ようやく無機質な天使達は去っていった。
──否、二人残っている。

「下界で学んできなさい。どれだけ人間が愛しいか、美しいのか。そのまなこで視てきなさい」

二人の無機質な天使は力の無い私の両腕を掴むと、神殿の外へと放り投げ、私はそのまま下界へと堕ちて行った。
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