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2人の晩ご飯

「ひゃ〜、外はホント冷えますね」
日課のジョギングから帰ってきた九字院が言う。
「なんか、暖まるものがたべたいですねえ」
「……具体的にはどんな感じの料理だ?」
少し考え込む。
「はふはふ言いながら食べるような」
それなら。
「今夜はグラタンだな」

「今日は正崎さんの調理風景を見学していたいんですけど、いいですか?」
「今日は俺の当番の日だからな。構わないぞ」
見るのも勉強のひとつだ。
「野菜から切っていくぞ」
一昨日、九字院が悪戦苦闘していた玉ねぎ。
そしてほうれん草としめじ。
「流石、速いし均等だ」
感嘆の声をあげ、軽く拍手をする。
「お前もそのうちできるようになる」
「そうですかねえ」

野菜の次は鶏もも肉を切る。
「野菜を切った後に肉を切ると洗い物が減るんだ」
間違っても逆の順番で切るなよ。
食中毒の元だぞ。

具材の準備が終わったら、そのまま鍋に入れて小麦粉を加えて炒める。
頃合いを見て、牛乳・コンソメ・マカロニを入れる。
とろみがついたら、耐熱皿によそう。
「チーズかけるか?」
「いいんですかい?」
「ああ。好きなだけかけろ」
鼻歌交じりにチーズを山のようにかけている。
……多くないか?
「大は小を兼ねますからね」
「そういうこと言ってるから燃えるんだぞ」
「あれはフランベですから」

二人分の耐熱皿を、余熱しておいたオーブンに入れる。
焼けるまでの間に調理器具を洗い、付け合わせのサラダを用意する。
ピピッ。
「焼けましたね!」
思わず立ち上がる九字院。
「持ってきますよ」

「「いただきます」」
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