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短編

「九字院!」
夕焼けに染まる都心の空。
屋上の柵の向こう側に、男は立っている。
その紅に吸い込まれそうな男を、落とさないように叫び止める。
「来てくれると思ってましたよ、正崎さん」
「何考えてるんだお前!」
「知ってます?相手の心を自分のモノにして、絶対離さない方法があるんです」
普段の軽いノリからは考えられない雰囲気。
文字通りの崖っぷちに立っているにも関わらず、笑顔。
その笑顔が、怖い。
「いいから早く戻ってこい!落ちたらどうする」
「それはね」
「聞いてるのか!?おい、九字院!」
男は一礼して舞台から降りる。
紅は闇に吸い込まれていった。
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