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2人の晩ご飯

今日の夕飯は何にしようか。
昨日はパスタ、一昨日は麻婆豆腐。
中華と洋食ときたら今日は。
『和食だよな』
帰りの電車に揺られながら、アプリで特売情報を見る。
『これにするか』
軽い足取りで電車を降りて、スーパーへと向かった。

「ただいま」
「おかえりなさい、正崎さん」
風呂上がり、部屋着に着替えた九字院が出迎えてくれる。
荷物持ちますね、とスーパーの袋を持ってキッチンに向かう九字院。
俺もコートをかけて、その後を追った。

「今日は鯖かあ」
ビニール袋の中に入った商品を冷蔵庫に入れながら九字院が言う。
「ちょうど特売だったからな」
「なるほど。今夜も楽しみだなあ」
男の二人暮らし。
気を抜いたらきっと冷凍食品やスーパーの惣菜ばかりが食卓に並んでしまう。
そんな中でも自炊を続けられているのは偏に九字院が美味いと言ってくれるからだ。
「すぐ作る、ちょっと待っててくれ」

「おお、鯖の味噌煮」
感嘆の声。
「あれが短時間で、ここまで美味しそうな姿になるとは」
「意外とすぐできるからな」
味噌汁をよそいながら答える。
「正崎さん、料理の魔法使いみたいですよ」
「うるさい」
馬鹿な事言ってないでご飯をよそえ。

「「いただきます」」
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