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2人の晩ご飯

よだれ鶏
「今日はよだれ鶏を作る」
「はあ」
よだれ鶏と言われ、頭の中で咄嗟によだれをだらしなく垂らしている鳥を想像する。
どういう料理なのかわからなくて、思わず吹き出す。
「何がおかしい。ちなみに『よだれ鶏』とは、考えただけでよだれが出てくるくらい美味しい鳥料理って意味だからな」
「なるほど」
……これはあたしが何考えてたかわかってたやつですね。
「まずは長ネギをみじん切りにする」
「任せてください」
トントントントン。
正崎さんほど早くはないが、最初の頃よりは上達した包丁さばき。
さっと切り終える。
「切れましたよ」
「じゃあ次は鶏肉の皮を取って、フォークで数箇所穴を開ける」
正崎さんが冷蔵庫から出した鶏肉を受け取り、パックを開ける。
「皮は掴んで引っ張るとすぐ剥がれる」
「お、本当だ」
もうちょっと複雑な工程があるのかと思った。
皮を剥がし、フォークで穴を開ける。
「できたな。そしたらボウルに入れて酒と砂糖を加えて馴染ませる」
言われたとおり、作業をする。
一人でこれを手際よく、ほとんどレシピを見ずに作る正崎さんって本当にすごいなぁ。
「ラップをしたらレンジで3分加熱する」
「レンジでいいんですね」
フライパンを使わない料理は失敗する確率も低くていい。
レンジに鶏肉を入れ、3分にセットする。
「この間にタレを作るぞ」
さっき切った長ネギと醤油・酢・砂糖・ごま油・すりおろしニンニクを混ぜる。
うち、にんにくチューブなんて常備してあったんですね……。

ぴーっ。
「レンジ終わったみたいですね」
「肉を裏返してもう3分加熱する」
「わかりました」
現時点でもわかる。これは美味い。
裏はまだ生だから、つまみ食いとかはしねえですけどね。
待ち遠しくて、電子レンジの回転を眺めてしまう。

ぴーっ。
「レンジ、終わりましたね」
「最後に粗熱を取ってから5ミリ幅に切って、盛り付けて完成だ」
「楽ちんですね」
自分の思う5ミリ幅に切り分けながら感心する。
「5ミリってもうちょっと薄くないか?」
「大きい方が美味しいもんです」
「……そうか?」

切り分けた鶏肉を皿に盛り付け、タレをかける。
同時並行で正崎さんが作っていたスープも出来上がったみたいだ。
「じゃあ食べるか」
「そうですね」

「「いただきます」」

外食もいいけれど、やっぱり2人で作ったご飯が一番美味しいですね、せぇざきさん。
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