2人の晩ご飯
ラーメン
『今日はラーメン食べに行きませんか』
終業間際、九字院からメールが届く。
考えてみると、久しく食べていない気がした。
カップラーメンなら食べたりもするが、普通のラーメンは食べていない。
『店の目当てはついているのか』と返すと、『この前、聞き込み中に穴場を見つけたんですよ』とのこと。
仕事中に何考えてるんだ、あいつは。
待ち合わせの時間を決めて、スマホを置いた。
駅からほど近い、細い路地を通った先に目当ての店はあった。
「この前、先輩と寄ったんですよ。美味しかったから今度は正崎さんと一緒に来ようと思って」
そう言いながら、九字院が戸を開ける。
カウンター席だけのこじんまりとした店。
とりあえず、席に荷物を置いて食券を買う。
「おすすめはどれだ」
「あたしは味玉ラーメンですね」
「俺も同じものにする」
出てきた食券を店主に渡す。
「かため少なめ濃いめで」
突然九字院が呪文を言い出した。
「そっちのお兄さんは?」
店主が俺に尋ねる。
未だなんの事だかわかっていない。
「面の硬さと油の量とスープの濃さの話です」
九字院に耳打ちされる。
なるほど。
「全部普通で」
「「いただきます」」
「ラーメンって、いろいろ調節できたんだな」
ラーメンをすすりながらしみじみと呟く。
「正崎さんも知らないことってあったんですね」
「当たり前だ」
「「ご馳走様でした」」
店を出て、歩きながら考える。
出会ったばかりの頃の九字院はこれ程食事に興味があっただろうか。
コンビニ弁当を食べて、スナック菓子を食べて。
食べる暇がない時はウィダーインゼリーやカロリーメイトばかりだった九字院が、今では自分で料理するようになって、オススメのお店を見つけてきて。
なんだか感慨深くなってきた。
「アイスでも買って帰るか」
「お!なんかご機嫌ですね」
何にしようかな、ハーゲンダッツの新作か……と悩む九字院が愛おしくて。
こんな日々がずっと続いてくれたらいいのに。
『今日はラーメン食べに行きませんか』
終業間際、九字院からメールが届く。
考えてみると、久しく食べていない気がした。
カップラーメンなら食べたりもするが、普通のラーメンは食べていない。
『店の目当てはついているのか』と返すと、『この前、聞き込み中に穴場を見つけたんですよ』とのこと。
仕事中に何考えてるんだ、あいつは。
待ち合わせの時間を決めて、スマホを置いた。
駅からほど近い、細い路地を通った先に目当ての店はあった。
「この前、先輩と寄ったんですよ。美味しかったから今度は正崎さんと一緒に来ようと思って」
そう言いながら、九字院が戸を開ける。
カウンター席だけのこじんまりとした店。
とりあえず、席に荷物を置いて食券を買う。
「おすすめはどれだ」
「あたしは味玉ラーメンですね」
「俺も同じものにする」
出てきた食券を店主に渡す。
「かため少なめ濃いめで」
突然九字院が呪文を言い出した。
「そっちのお兄さんは?」
店主が俺に尋ねる。
未だなんの事だかわかっていない。
「面の硬さと油の量とスープの濃さの話です」
九字院に耳打ちされる。
なるほど。
「全部普通で」
「「いただきます」」
「ラーメンって、いろいろ調節できたんだな」
ラーメンをすすりながらしみじみと呟く。
「正崎さんも知らないことってあったんですね」
「当たり前だ」
「「ご馳走様でした」」
店を出て、歩きながら考える。
出会ったばかりの頃の九字院はこれ程食事に興味があっただろうか。
コンビニ弁当を食べて、スナック菓子を食べて。
食べる暇がない時はウィダーインゼリーやカロリーメイトばかりだった九字院が、今では自分で料理するようになって、オススメのお店を見つけてきて。
なんだか感慨深くなってきた。
「アイスでも買って帰るか」
「お!なんかご機嫌ですね」
何にしようかな、ハーゲンダッツの新作か……と悩む九字院が愛おしくて。
こんな日々がずっと続いてくれたらいいのに。