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2人の晩ご飯

2人の晩御飯/肉じゃが
家を出る前、今日の夕飯は何がいいかと九字院に尋ねた。
すると、少し考えたあと
「煮物が食べたいですね」
との意見を貰った。
煮物……と思いつつ、通勤中の電車内でいつものチラシアプリを眺める。
『広告の品 じゃがいも1個30円』
帰りまでこれが残っていてくれと思いつつ、目印をつけ、電車を降りた。

そして。
辛うじて残っていたお目当ての品と、その他食材を引っさげて帰宅。
冷やすものを冷蔵庫に入れ、早速夕食作りを始める。
まずはじゃがいもとにんじんと玉ねぎの皮を剥き、それぞれ切る。
次に水気を切ったしらたきを等間隔に切る。
準備が終わったら、中火で熱したフライパンで野菜を入れ炒める。
油が馴染んだら水と肉を入れて煮込む。
アクを取りながら、肉に火が通るのを待つ。
……そろそろいいな。
調味料を入れ、また煮込む。
じゃがいもが柔らかくなったら、しらたきと醤油を入れ、落し蓋をする。
味が全体に回ったら、火から下ろして肉じゃがの完成だ。

「ただいまです」
「おかえり、九字院」
「なんか、懐かしい匂いがしますね」
おばあちゃんちみたいな。
そう言って九字院は目を細める。
「今日の夕飯は肉じゃがだからな」
「なるほどです」
「夕飯と風呂、どっちにする?」
「風呂入ってからにします」
そっちの方が味が染みて美味しくなるって、ばあちゃんが言ってた気がしますから。

食卓に並ぶ料理たち。
ご飯と肉じゃがとサラダと味噌汁。
「なんか、本当にばあちゃんちの夕飯をおもいだしますね」
「俺、そんな老けてるか?」
「そういうことじゃないですよ。愛されてるなあってことです」

「「いただきます」」
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