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2人の晩ご飯

あれは昼休み。
俺と文緒で弁当を買いに行った時だ。
レジにおにぎりを持っていった文緒がついでにからあげクンを買っていた。
「この前、帰りに食べて以来なんかハマっちゃったんですよね」
正崎さんも一個食べます?
なんて会話をした気がする。

そんなことを思い出したということもあって、気づいたら『唐揚げに最適!鶏胸肉』と書かれたパックを手に取っていた。
まあいいか。
今夜のおかずはこれにしよう。
小麦粉がもうすぐ無くなりそうだったはずだから買わなくては。

帰宅後、とりあえず肉を冷蔵庫に入れる。
それから上着たちを脱いで、キッチンに戻ってくる。
料理は基本的に単純だ。
今回の場合だったら、切って、調味料に絡めて、揚げるだけだ。
九字院は毎度「すごい」「かっこいい」とべた褒めしてくるけれど、慣れてしまえばどうってことは無い。
鶏肉を一口大に切って、調味料達を揉み込む。
あとは油で揚げるだけだな。

「ただいま帰りましたよ〜」
ちょうどいいタイミングで帰ってきたな。
「おかえり、今唐揚げを揚げているところだ」
「そりゃあ楽しみですね」
鼻歌交じりに上着をかけにいく九字院。
唐揚げが揚がるまで、あともう少し。

「すごい、綺麗なきつね色ってやつですな」
お店で売ってるやつみてえですねと目を輝かせる。
「つまみ食いするなよ」
「しませんよ。もうすぐ食べられるじゃないですか」
「それもそうだな」
だがな九字院、その手に持っている小さいものはなんだ?早めに自供した方が身のためだぞ。
「やっぱりバレますよねえ……あんまりにも美味しそうだったからつい……」
「まあいい。唐揚げ、持って行ってくれ」
「合点承知〜!」

「「いただきます」」
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