P3P まとめ
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この恋に戒名を
彼の事が、好きだった。
明るくて、楽しくて、戦うときには勇敢で、傷つくことに臆病で、そのくせ優しかったり、時には八つ当たりだろうそれと思うようなどす黒い憎悪をぶつけられることもあったけれど、いろんな表情を見せてくれる夏の空みたいな彼の事が好きだった。
過去形にするのは、諦めたからだ。
彼は私を好きじゃなかった。いや、友人として好きでいてくれたのかもしれないが、それは私が求める好きではなかったという話なのだ。
私の欲しかった好きは別の女の子に向けられて、それがとても苦しかった。
告白はしなかった。
楽しそうに、幸せそうに笑う彼を見ていれば、そんなこと出来るはずが無かった。
だから、諦めた。
彼を応援することにして、この恋を葬った。
「なんで好きになる人って選べないのかなー」
「えっ何それあんた好きな人とかいるの!?」
「だっ誰ですか!?」
「言いなさいよ今すぐ!」
「なんでそんなに食いつきいいの二人とも」
「そりゃ、今までそんな浮ついた話の一つもしなかったから」
「うんうん。公子ちゃん、校内での人気高いんだからそんな話があってもおかしくないのに」
「いやー、彼好きな人がいるからさー。失恋しちゃったんだよね」
「……それって」
「……あいつしか思いつかないんだけど」
「たぶんそれであってると思う」
「あー、なんて言うか……」
「…………」
「いや、二人ともそんな顔しないでよ」
「するって」
「しちゃうよ」
「いーよー別にー。告白して断られたわけじゃないから、死にたくなるほど辛いとかないし」
「……無理、してない?」
「うん。大丈夫」
「そっか。なら、いいんだ」
「帰りは遊んでいきましょう。ぱーっと、騒ごうよ!」
「賛成! で、ケーキとかお菓子買ってって、今夜は三人で公子の失恋記念パーティーにしよう!」
「え、いや、別に記念とかにしなくても!」
学校が終わってから女の子三人でカラオケに行って、そのあとケーキを食べきれないほど買って寮に帰った。
幸い明日は休みだからと、私の部屋に集まってケーキを食べながら夜明けまで三人で喋った。
気持ち悪くなるまで食べて、苦しさに涙が出ると、それが引き金になって涙が止まらなくなってしまった。
死にたくなるほど辛くはなかったけれど、泣きたくなるくらいには辛かったのだとようやく気がついた。
泣き止まない私をゆかりは抱きしめてくれた。風花は一緒になって泣いてくれた。
みんなが優しかった。その優しさが心に沁みて、涙は更に止まらない。
順平の馬鹿。
2009.11.08
初出
彼の事が、好きだった。
明るくて、楽しくて、戦うときには勇敢で、傷つくことに臆病で、そのくせ優しかったり、時には八つ当たりだろうそれと思うようなどす黒い憎悪をぶつけられることもあったけれど、いろんな表情を見せてくれる夏の空みたいな彼の事が好きだった。
過去形にするのは、諦めたからだ。
彼は私を好きじゃなかった。いや、友人として好きでいてくれたのかもしれないが、それは私が求める好きではなかったという話なのだ。
私の欲しかった好きは別の女の子に向けられて、それがとても苦しかった。
告白はしなかった。
楽しそうに、幸せそうに笑う彼を見ていれば、そんなこと出来るはずが無かった。
だから、諦めた。
彼を応援することにして、この恋を葬った。
「なんで好きになる人って選べないのかなー」
「えっ何それあんた好きな人とかいるの!?」
「だっ誰ですか!?」
「言いなさいよ今すぐ!」
「なんでそんなに食いつきいいの二人とも」
「そりゃ、今までそんな浮ついた話の一つもしなかったから」
「うんうん。公子ちゃん、校内での人気高いんだからそんな話があってもおかしくないのに」
「いやー、彼好きな人がいるからさー。失恋しちゃったんだよね」
「……それって」
「……あいつしか思いつかないんだけど」
「たぶんそれであってると思う」
「あー、なんて言うか……」
「…………」
「いや、二人ともそんな顔しないでよ」
「するって」
「しちゃうよ」
「いーよー別にー。告白して断られたわけじゃないから、死にたくなるほど辛いとかないし」
「……無理、してない?」
「うん。大丈夫」
「そっか。なら、いいんだ」
「帰りは遊んでいきましょう。ぱーっと、騒ごうよ!」
「賛成! で、ケーキとかお菓子買ってって、今夜は三人で公子の失恋記念パーティーにしよう!」
「え、いや、別に記念とかにしなくても!」
学校が終わってから女の子三人でカラオケに行って、そのあとケーキを食べきれないほど買って寮に帰った。
幸い明日は休みだからと、私の部屋に集まってケーキを食べながら夜明けまで三人で喋った。
気持ち悪くなるまで食べて、苦しさに涙が出ると、それが引き金になって涙が止まらなくなってしまった。
死にたくなるほど辛くはなかったけれど、泣きたくなるくらいには辛かったのだとようやく気がついた。
泣き止まない私をゆかりは抱きしめてくれた。風花は一緒になって泣いてくれた。
みんなが優しかった。その優しさが心に沁みて、涙は更に止まらない。
順平の馬鹿。
2009.11.08
初出