ソウルクレイドル まとめ

sss詰め合わせ



この感情は何と言うのか<2007/02/13>
発売前 ギグリベ

「力を貸して。私は、消えたってかまわない」
 消える。
 融合するときにそういう契約を交わした。
 力を貸す代償に、体を明け渡す。
 宿主の自我は、消える。
 女の体は、既に半分以上が俺の支配下で、あと少し、大きな力をもう二、三度使わせればこの体は俺のものになる。
 ようやく、自由の身になれるのだ。
 それは喜ばしいことだというのに、何故この女が消えることが腹立たしく思えるのだ?
「ギグ?」
 反応を示さないを俺を、女が呼んだ。
 消えてしまえば、俺を呼ぶこの声も失われてしまうのか。
 そう思うと、実体のないはずの体に締め付けられるような痛みを覚えた。

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恋をした。<2007/02/13>
発売前 ギグリベ

 虫けら呼ばわりされることに慣れてしまったその瞬間、女は思わず自分の顔を手で覆った。
 傍らにいたダネットがぽかんと見ていると肩が上下し始め、小さな嗚咽と鼻をすする音が聞こえてきた。
「ど、どうしたですか!? あ、またアイツに何か言われたですね!」
 ギグの暴言に傷つけられたと決め付けるダネットに、女は顔を上げずに首を横に振った。
 頭の中にはイライラしているギグの罵詈雑言が嵐の如く渦巻いている。
 こんな時でも優しい言葉はおろか、心配もしてくれないような男なのに。
 どこが良いのか、自分にも分からない。
 それでも、女はギグに恋をしていた。
 あまりにも不毛でどうしようもないその感情に、女の涙は止まらなかった。

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教えて<2007/02/20>
ギグリベ

「なあ相棒」
「なに?」
「お前、オレのこと好きだろ?」
「……きらいじゃ、ない」
 少しの間を置いてから返ってきた答えは、蚊の鳴くような小さな声だった。
 鏡を見なくても、リベアの顔が燃える炎のような髪よりもなお赤くなっている事が、手に取るようにギグには分かる。
 くつくつと満足そうに笑い、それでも直接その様子が見れないことに、ギグは実体がないことをすこしばかり残念に思った。

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やきもち?<2007/02/21>
ギグリベ

「てめ、またソイツとの技かよ!」
 強化の試練、五連戦目。
 五度目のリタリーとの連携技・援爆抄で敵を一掃したところで、それまで押し黙っていたギグが怒りの声を上げた。
「どっどうしたのギグ」
「さっきからずっとその男との連携ばっかじゃねーか! オレの力を使えよ!」
「えーと。ギグそれは」
「ああ?」
「ヤキモチ?」
「なんでそうなんだよー!?」
 ギグは力いっぱい否定するが、リベアはニコニコと笑った。
 もしも実体があればきっと顔を真っ赤にしてるんだろうな、と考えるとそれだけで嬉しかった。
「そっかー。じゃあ、次は派手に使ってあげるね。だから、機嫌直して?」
「違うっつってんだろ! オレ様の話を聞け!」

~後衛~

「ここは、いつもあんななのか?」
「……まあ、概ねは」
「おぬし、苦労しておるのぅ」
「……慣れました」
 ヨードの労いに、リタリーは力なく笑って答えた。

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君色<2007/02/22>
ギグリベ

 日の沈んでいく海と空は、燃える赤に染まっていく。
 東の空は、もう闇が訪れている。
「いつまでこうしてるつもりなんだよ。海なんて磯臭ぇし潮風でべたついて気持ち悪ぃし、最悪じゃねえか」
「うーん。そうかもしれないんだけど、ね。ほら。ね?」
「ああ? はっきり言えよ」
「見たかったんだよ。ギグと」
「……そーかよ」
 リベアの目を通して見る、その目を奪われるほど鮮やかな赤を、ああコイツの色だな、とギグは思った。

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間接ちゅー<2007/02/23>
レビリベ

 部屋を総べるものを倒して、レビンは一息ついていた。
 荷物の中から冷水の入った水筒を取り出し、のどを鳴らして飲む。
 口を離すと、丁度リベアがやってくるところだった。
「お疲れ、レビン」
「ああリベア。お疲れさん」
「このままもう一層行こうと思うんだけど、大丈夫?」
「おう。ぜんっぜん余裕だぜ」
「なら良かった。あ、それ一口もらってもいい? 私ものど渇いちゃった」
「いいぜ。ほれ」
「ありがと」
 あ、と気づいた時には遅かった。
 リベアは何の躊躇いもなく水筒に口をつけた。
(これって間接……っていうか、少しは気にしろよ……!)
 顔を赤くするレビンの、そんな心情をリベアは理解するはずもなく。
「ふー、生き返るね。はい」
「お、おう」
「それじゃ、次の層もよろしくね!」
 にっこりとお日様みたいに笑って、リベアは駆けていった。
 一人残されたレビンは周りに人がいないことを確認してから、少女が口をつけた水筒に口をつけた。

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餌付けは基本<2007/02/25>
リタリベ

「えっ、これリタリーさんが作ったんですか!?」
「はい。……そんなに意外ですか?」
「だって、お屋敷の料理並みに豪華で美味しいですよ!」
「ありがとうございます。そう言っていただけると、作った甲斐があるというものです」
「ん~、この卵、ふわふわ~」
「……気に入って頂けましたか?」
「はい! もう毎日だって食べたいくらいですよ」
「……では、明日も腕を振るうとしますか」
「え?」
「貴女が喜んでくれるのなら、がんばりますよ」
「……はいっ! 楽しみにしてます!」
 その笑顔が見たいから。
 多少の苦労は、なんてことない。

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全て計算しています<2007/02/26>
コーリベ

「それは職権乱用と言うんです!」
「えー」
 金髪の騎士が叱る声と赤髪の少女の不満そうな声が、オステカの街の一角からあがる。
「私とて暇な身ではないのです。戦闘以外で召喚するのは控えて頂きたい」
 しゅん、とリベアはうなだれた。
「だってコーホートさん、お仕事忙しくてお休みできないだろうと思って……」
「……もしかして、私のために、召喚していると?」
 こくんと頷いてから上げられた顔は、涙で目を潤ませていた。上目遣いのおまけ付きで。
 コーホートはにやつきそうになる口元を手で覆い、小さな声で「そのコンボは卑怯だ…」と呟いた。当然、リベアには聞こえない。
 咳払いを一つして、コーホートは手を下ろした。
「そういうことでしたら、好意に甘えさせていただきます」
「ホント!?」
 ぱっと顔を輝かせ、リベアはコーホートの手を取った。
「リ、リベア殿!」
「早く行こう! 時間なくなっちゃう」
 握られた手のぬくもりに、このまま時が止まれば良いのにと、コーホートはこっそりと願った。

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貴方が喜ぶのなら<2007/02/28>
裏ルート リベア→ギグ

 そろり、と耐えがたい眠気が襲ってくる。
 まだ、眠りたくないのに。
「どうした、相棒」
「ちょっと、眠い、かも」
「なら寝とけよ。あとはオレがやっておくぜ」
「でも、まだ寝たくない」
「そうかぁ? 寝てたほうが楽だぜ、イロイロとよ」
 楽だけど、それは楽しくない。……起きていたところで、楽しいことなんてほとんどなかったが。
 壊れているのが自分だけなんて嫌だったから他のものを壊しても、ちっとも空っぽの心は満たされない。それどころか苛々だけが募っていく。
 壊して、殺して、意味があるのだろうか。
「……ねえ、ギグ」
「あん? どうした、相棒」
「ギグは、しあわせ?」
「幸せかどうかはわかんねぇが、楽しいのは確かだな」
「そう。なら、良かった」
「いきなりどうした、相棒?」
 ギグの問いに、リベアはなんでもないわ、と首を振った。
「やっぱり、眠い。あとはよろしく。私、少し眠るわ」
「おう。お休み、相棒」
 満たされない、心。
 それでも、ギグが喜んでくれるならこの行動も無意味でもない。
 そんなことを考えながら、リベアの意識は闇へと落ちていった。

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赤<2007/03/1>
裏ルート リベア←ジンバルト

 濃い血の匂いの中で、それはむせ返ることなく笑っていた。
 たった一人で、一個中隊どころか大隊ですら壊滅させたのは、死神をその身に宿した少女だった。
 白い肌を彩る赤は自身の血ではなく、すべて返り血であるから恐ろしい。
 髪の緋は夕日の緋ではなく、眼の紅は紅玉の紅ではなく、それらはすべて血の赤だったのかと、後ろに控えるジンバルトは思う。
 その赤が美しいと、彼女に良く似合うと感じる自分が狂っているのを、彼は冷静に受け止めた。
 いつか、自分も彼女を彩る赤の一つになるのだろうかと思うと肝が冷えたが、まあそれもいいかと男は薄く笑った。

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知りたい?<2007/03/5>
ED後? 教えての続き ギグリベ

「ねえ、ギグ」
「あん?」
「私の事どう思ってるの」
 唐突な質問に、ギグは口に含んでいたホタポタを噴き出しそうになった。
 見れば、リベアはにやにやと笑っている。
「あっはは、今の顔面白い!」
「……なんのつもりだ」
「この前の仕返し」
 この前、と言われてもそれがいつの何のことなのかすぐには思いつかなかった。
 少し考えてようやく思い出したのは、まだ融合していた頃に聞いた「お前、オレのこと好きだろう」とからかったことで、それは一年以上も前の話だ。
 まだそんなものを根に持っているのかと呆れ、コケにされたことに対してわずかばかりの怒りを覚える。
 ギグは立ち上がり、リベアのすぐそばに立つ。
「教えてやるよ」
「え」
 体をかがめ、顔をリベアの耳に寄せる。
「ギギギグ!?」
「知りたいんだろう?」
 背中がゾクリとするような声で囁かれ、リベアは顔を真っ赤にして口をぱくぱくさせるしかなかった。
 それで少し溜飲の下ったギグは喉の奥で笑い、とびきり低い声で一言だけ囁いた。

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喰われた、のは<2007/03/6>
裏ルート リベア←ジンバルト

 ロドの去っていく後姿を、ジンバルトは黙って見送った。
 その様子を不思議そうに眺めていたリベアは、開戦直前にジンバルトに尋ねた。
「いいの? 行かなくて」
「行って欲しいのか」
「私はどっちでもいいけど。ナカマなんでしょ、あの人」
「アンタにとって、オレは仲間じゃないのか」
「さあ?」
「酷いな。少しは考えたらどうだ」
 間髪入れない少女の答えに、ジンバルトは可笑しそうに笑った。
 リベアの小さく細い顎に手をそえ、軽く上を向かせた。
 抵抗するでもなく、なすがままにされたリベアは長身のジンバルトと、そうすることでようやくまともに視線が絡んだ。
 少女の赤い眼に、己の姿が映る。
「喰われたのさ。俺の心とか言うものは、アンタに」
「……いくら私が全てを喰らうものとか呼ばれてても、そんなもの食べてないよ」
「分からないなら、それでいいさ」
 ふ、と笑ってジンバルトはリベアの顎から手を離した。
「俺は、アンタといたい。それだけだ」
 戦闘配置につく男に、リベアはやはり不思議そうな顔を返すだけだった。

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無冠の王<2007/03/7>
裏ルート

 少女は一面の花畑に座っていた。
 近くに生えている花を手折り、花冠を作っていく。
 風が吹くたびに、花びらがひらひらと舞う。その風景は幻想的であった。
「変なものね」
「何がだ?」
「花冠なんて作ったことないのに、手が勝手に動いていくの」
「ふうん」
「レナ様が作ってくれるのを見てたのを覚えているのかな」
「さあな」
 くすくすと少女は笑う。
「変なの」
「何がだ?」
「血と死に染まったこの手でも、こうして何かを作ることが出来る」
「……戻りてえ、ってか?」
 少女はギグの問いに答えず、微笑んだまま手を動かしていく。
 やがて完成した花冠を、少女は頭に乗せるのではなく空高く放り投げた。
 傍らに置いていた黒剣を掴み、無造作に振るう。
「そろそろ時間だね。皆が待ってるし、行こう」
 立ち上がり、少女はその場を後にした。
 ぱさりと軽い音を立てて、切り捨てられた花冠は無残に地面に散った。
 それが少女の、答えだった。

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狂気。それすらも愛<2007/03/9>
裏ルート崩壊ED ギグリベ

 ギグの恐怖する感情に背筋を震わせ、断末魔の叫びに目眩がする。
 自分に見せてくれる初めての側面が嬉しくて仕方なかったのだ。
 そして、少女はギグを喰らってひどく安心した。
 いつギグと自分の融合が解けてしまうのかと不安だった。
 一つの体で全ての感覚を共有するだけじゃ足りなかった。
 離れたくなかった。
 もっともっと、深く一つになりたかった。
 だから、喰った。
 これなら融合が解けることはない。
 死ですら、二人を分かつことはできないのだ。
「これで、私とギグはずっと一緒だよ」
 幸せそうに笑う少女に応える声は、もうこの世にはいなかった。
 それでも、少女はこの上なく幸せだった。

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好きなもの。<2007/03/18>
ギグリベ ED後?

「ねえ、ギグ」
「あん?」
「ギグはさ、ホタポタと私、どっちがすき?」
「ホタポタ」
「あっはっは即答はひどいよね」(ちゃき)
「おい待てなんでそこで剣を出すんだてめ待てって言」
「なめこー!(大邪巌斬)」

「てめえ……なら、てめえはどうなんだよ」
「どうって?」
「オレとホタポタ、どっちがいいんだよ!?」
「聞きたい?」
「おう。是非教えてもらいてーな」
「じゃあ耳貸して?」
「おう」
「あのねー……ふぅ」
「$%&’☆ー!? あにすんだ耳に息を吹きかけるんじゃねー!」
「あっはっはー秘密に決まってるじゃない恥ずかしい」(テレテレ)
「……」(脱力)





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