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06 デルガドとユーリスの眠れない日々
年齢の衰えを感じさせない屈強な体のドワーフの男と、おっとりとした雰囲気と星を浮かべた少女のような目をした妙齢の女が真剣な表情で机を挟んで向かい合っていた。
二人ともあまり睡眠を取っていないのか、目の下には黒い隈が出来ている。
魔道の粋を学び、新たな魔道技術をいくつも確立してきたユーリス。
金属を知り尽くし、当代一と謳われる鍛冶師デルガド。
二人の持つ知識と技術で新たな魔法金属の設計が行われているが、なかなか芳しい結果が出ない。
深いため息と共にデルガドが重い口を開いた。
「まったく、ふざけた話だわい」
「同感です」
うんうんとユーリスが頷いた。
竜の爪と炎、如何なる魔法にも耐え得る物質をもって檻を製作されたし。
そうエンシャントとロストールから要請があったのが四日前だ。
一体何の目的でそんなものが必要なのかと訝しんだが用途を聞いて驚愕し、同時に深く納得した。
「レティシア様を捕まえておける物質なんて、どうやって精製しろっていうんでしょうか」
「現存せんから、わしらにお鉢が回ってきたんじゃろう」
「天才っていうのも良し悪しですねぇ」
「わしはそんなものになった覚えはないんじゃがの」
「またまたぁ。当代一の名工が言ったんじゃ説得力ないですよぉ」
「弟子たちもなかなかの腕なんじゃぞ。老体に鞭を打ちおって」
「まだ現役のくせに。それも説得力ないですって。って言うか、そもそも何も言わないでどこかに行っちゃったくせに、急に戻ってきたあの方が全面的に悪いと思います」
「同感じゃ」
会話をしながらも二人は目を合わせない。
その手は淀むことなく魔法金属の配合比率の計算や設計図、必要となる材料の手配書などを書いており、顔を上げている余裕などないのだ。
疲労は確実に溜まってきている。それでも睡眠時間を削ってまでして作業を続ける理由はただ一つだ。
薄情者の彼女に腹が立って仕方がない。
今夜もデルガドとユーリスは眠れない。
「絶対に捕まえてさし上げましょうね」
「応ともさ」
2011.04.27
初出
年齢の衰えを感じさせない屈強な体のドワーフの男と、おっとりとした雰囲気と星を浮かべた少女のような目をした妙齢の女が真剣な表情で机を挟んで向かい合っていた。
二人ともあまり睡眠を取っていないのか、目の下には黒い隈が出来ている。
魔道の粋を学び、新たな魔道技術をいくつも確立してきたユーリス。
金属を知り尽くし、当代一と謳われる鍛冶師デルガド。
二人の持つ知識と技術で新たな魔法金属の設計が行われているが、なかなか芳しい結果が出ない。
深いため息と共にデルガドが重い口を開いた。
「まったく、ふざけた話だわい」
「同感です」
うんうんとユーリスが頷いた。
竜の爪と炎、如何なる魔法にも耐え得る物質をもって檻を製作されたし。
そうエンシャントとロストールから要請があったのが四日前だ。
一体何の目的でそんなものが必要なのかと訝しんだが用途を聞いて驚愕し、同時に深く納得した。
「レティシア様を捕まえておける物質なんて、どうやって精製しろっていうんでしょうか」
「現存せんから、わしらにお鉢が回ってきたんじゃろう」
「天才っていうのも良し悪しですねぇ」
「わしはそんなものになった覚えはないんじゃがの」
「またまたぁ。当代一の名工が言ったんじゃ説得力ないですよぉ」
「弟子たちもなかなかの腕なんじゃぞ。老体に鞭を打ちおって」
「まだ現役のくせに。それも説得力ないですって。って言うか、そもそも何も言わないでどこかに行っちゃったくせに、急に戻ってきたあの方が全面的に悪いと思います」
「同感じゃ」
会話をしながらも二人は目を合わせない。
その手は淀むことなく魔法金属の配合比率の計算や設計図、必要となる材料の手配書などを書いており、顔を上げている余裕などないのだ。
疲労は確実に溜まってきている。それでも睡眠時間を削ってまでして作業を続ける理由はただ一つだ。
薄情者の彼女に腹が立って仕方がない。
今夜もデルガドとユーリスは眠れない。
「絶対に捕まえてさし上げましょうね」
「応ともさ」
2011.04.27
初出