長編
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苗字名前は出会った時から変わった子だった
小学校は別だった、時々公園で一人でいるのをよく見かけた
ひたすらすべり台の階段を駆け上がったり降りたり
ベンチから隣のベンチへジャンプしたり
女の子なのにめちゃくちゃパワフルな子だなと思った
日を追う事にやることは過酷になっていて
そいつが鉄棒に足をかけて腹筋をしていた時、ルナが興奮気味に駆けて行ってすごいすごいと大はしゃぎして話すようになった
「もっとやってもっとやって!」
「えー?んふふ…うしっ、じゃあ今のよりもっとすごいの見せたげる!」
そいつはそのまま振り子のように体を振ってり鉄棒から飛び降りた
「どや」
くるりと綺麗に回って着地したそいつにきゃーきゃー騒ぐルナの隣で目を剥いた
いや、ほんと…まじですげえの
「私苗字名前、君らは?」
「俺は三ツ谷隆、こいつがルナでこっちがマナ。お前すげえな」
家は案外近い方で、会えば一緒に遊んだりして行くうちにルナマナもすごく懐いて
名前の家庭もうちと似たようなもんで家族ぐるみで仲良くなった
俺が何もかも嫌になって家出したとき
帰宅途中の名前と会った
「隆くんじゃん、こんな時間にどしたの?」
「あー…っと……」
誤魔化そうとしたけど言葉が出なかった
こんな時間に俺一人で家とは逆方向に向かうのを見て、こいつはどうやって止めるだろうか
そのまま黙り込む俺に一瞬表情を崩したかと思うとすぐ微笑んで
「……そっか…思う存分遊んできなよ」
「え」
「じゃ、ばいばーい!」
ルナマナのことを聞かれるかと思えばそれも無く
びっくりするくらい優しい顔で手を振り帰って行く背中を見て暫く動けなかった
帰って母さんにぶん殴られた後聞いた話だが
あの後名前は家出した俺の代わりに二人のことを見ていてくれたらしい
次の日謝りに行ったら「なんてええ子や…」と頭を抱えていた
いや、どっちかというと悪い子だろ俺……
「隆くん私よりしっかりしてるから、気づけなくてごめんね」
「な…んでお前が謝んだよ……」
「んっふふ、そのほっぺおばさんにやられたんでしょ?勝手に解釈してた私も悪いし、今回はおあいこね、今度から勝手にルナマナ見に行くからよろしくー」
それから名前は宣言通りよくうちに来て家事を手伝ってくれた
お前の家も片親で大変だろ?って聞いたら「うちのはあんなんでもしっかりしてるから大丈夫」なんてまるで自分が親のようなこと言うから笑った
俺が不良になった時もすごかったな
「やっほー隆くん、イメチェン?かっこいいね」
それだけ
その次には「そういや前体育でさ〜」と世間話を始めるもんだから
流石にもっとなんかあるだろ?とこっちから聞いた
「なんかってなに?」
「刺青だぞ?頭こんなだし、怖くねえの?」
「あー…そういうの久々に見たな〜ってくらい?あ、でも頭にしてる人は初めて見たかな」
そういうのって…どういうのだよ
逆にこっちが名前のコミュニティにびびるんだけど
「はぁ……」
「わぁ…でっかいため息、今ので一週間分くらいの幸せ逃げたんじゃない?」
「ふっ、なんだそりゃ」
いろいろ考えてるうちに馬鹿らしくなってやめた
めちゃくちゃ大人らしいと思えば急に子供っぽくなったり、ほんと変なやつだ
それでいて心地良い
「んで、体育がなんて?」
「ふふん…聞いて驚け、遂に体力測定全部門の記録更新してやった」
「おぉ…すげえな」
何を目指してんのかよく知らないけど
いっつも体鍛えてるから運動神経もすこぶるいいんだろう
体操選手でも目指してんのかと思ったが、そうでは無いらしい
「大分身長も伸びてきたし、そろそろ本格的に腹筋割れるレベルに鍛えようかと思ってね」
「…程々にな……」
そういや風の噂で二小の怪力女とか熊だかワニだかを倒しただの、人の皮被った宇宙人だのいろいろ聞いたことがあるけど
……十中八九こいつのことだろうな
実際近所のガキ大将も名前を見て逃げていくのを何度か目にしたことある
多分喧嘩も強いんだろうけど仮にも女の子だし、ここはおれがビシッと言った方がいいのか…?
中学に入って、名前が噂の"不良狩り"だと知った時は今までで一番驚いたしめちゃくちゃ怒った
もっと早くに手を打つべきだったなぁ…
「隆くーん!見て見て!うっすら腹筋出てきたよー!!ほら!!」
「!?!?ばっかお前!ばか!!服捲るな腹仕舞え!!」
「美少女の腹なんてそうそう見れないんだから遠慮すんなって」
「美少女なら自分から腹出したりすんなって」