長編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「おいコラテメェ聞こえてんのか!?」
「なんとか言えやクラァ!!」
まずった
学校帰り、夕飯の買い出しにスーパーに寄ろうと小石を蹴りながら歩いてたら運悪く蹴った小石が不良にクリーンヒットしてしまった。なんたる偶然
すまんかったと思ってる…
ちゃんと謝ったんだが「ゴメンナサイで済んだら
もう…えぇ?たかが小石よ?いや私が悪いんだけどさ
心狭すぎでは?こっからどうしろと?
「どぉーしても許してくれってんなら誠意見せてもらわんと」
「ネェチャン可愛いからちょっと体貸してだけでいいぜ?」
「ま、とりあえず脱げや」
ふむ、狙いは私の体か
しかし「脱げ」だと?せっかく今の私セーラー服着てんのに?セーラー服っていうブランドあるんだぞ?
着衣の良さがわからんとは…まだまだケツの青いガキよの
なんてズレた思考が頭を巡るが、近場で聞こえたバイクの排気音で我に返る
襟元に手が伸びていて一歩下がった
正直こんなやつら5分もあれば片付けれるけど今回はこっちに非があるから、逆ギレみたいて後味悪いな
バキ
「ぐぇっ」
鈍い音と男の短い悲鳴が聞こえた時には見知った顔が二つ
「やっほー名前、無事?」
「あっマイキー、無事無事」
集会に行くのかな、特攻服を身に纏ったマイキーとドラケンがいた
ドラケンに殴られた不良は怯えながら去っていった
「お前ならすぐノせんだろ?なんで反撃しなかった?」
「元はと言えば私が悪いから出しずらくて」
「お前変なとこ謙虚だよな」
この二人は隆くんのいる東卍の総長と副総長だ
中一の頃不良と乱闘してたら加勢してくれて隆くんと知り合いというのもあり仲良くなった
「不良ホイホイも大概にしねぇと、三ツ谷が心配してんぞ」
「どうか今あったことはご内密に…朝も似たようなのあったんだわ」
「どうしよっかなー」
「マイキーくん、たい焼きいくつ欲しい?買ってあげるヨ」
背に腹はかえられぬ
こういう時大体2~3個で黙っててくれるから私はいつもたい焼き代を持ち歩いてるのさ、フフ
「買う必要無ぇからちょっと俺とお話しような」
「ア、ヒェッ」
ぽん、と肩に置かれる手と聞き慣れた声に全てを理解した
いつの間に…気づいてたら早く言って欲しかったな
「少し目を離すとこれだもんな」
「…ドラケンがあと2秒遅けりゃ私流『
勿論見様見真似なので即死効果は無い
でも普通のチンピラは吹っ飛ぶ威力だった、バフ盛り状態だけど
なんて私の言い訳を「はいはい」と頷きながら妹を諭すかのように頭を撫でてきた
精神年齢は三十路を超えるというのにこの扱いはどうなんだ
「ってことで俺こいつ送ってくから遅れてもいいか?」
「え"っ、いいよ別に買い物もあるし」
来るならトコトン付き合わせるぞ、荷物持ち
あとトイレットペーパー安くなってたからそれも買うぞ
「いいよ、二度あることは三度あるって言うしねー」
「ははっ、確かにな!ゆっくりしてこいよ」
流石に今日はもう絡まれんだろ、マジ勘弁
ほんと笑い事じゃねえんだわ
「サンキュー、ほら乗れよ名前」
私の意見は総スルーされヘルメットを寄越される
二人は「後でなー」とバイク吹かしながら行ってしまった
「私結構強いから一人でも平気だけど」
この子はもっと自分の時間を大切に使わないかな
中学生なんてあっという間なんだから、一日一日が尊いだろうに
って、大人になってみないとわかんないか
「お前が強いのはとっくの昔に知ってる」
「なら」
「それでも俺がいないとこで危険に突っ込んでほしくねーの、心配するこっちの身にもなれよ」
隆くんは自分の事を棚に上げて時々よくわからないことを言う
以前喧嘩でボロボロになった拳を見た時、泣きべそかく父に変わってすごく怒られたことがある
それ以来なるべく拳を傷つけないようグローブを付けたりして工夫した
本当にヤバいやつは滅多に自分から絡まないし、そんなやつに立ち向かうほど馬鹿じゃない
怪我しなければ無問題だろう
「…善処する」
とはいえ、今のように自分は大丈夫だと言うといつも悲しそうな顔で微笑んで「俺が大丈夫じゃない」と止められる
見えないけど今もきっとあんな顔なんだろう
「ん」と短い返事をする隆くんの背中に軽く頭突きしながら今日の夕飯は何がいいか尋ねた