長編
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時は少し遡り、とある研究機関
「なんとなく分かってるだろうけど敢えて言おう、微小特異点を発見した」
ダ・ヴィンチちゃんに呼び出され開口一番に言われた言葉に「あ、はい」と真顔で返事をする
食堂では可愛らしい顔がくり抜かれたかぼちゃが置いてあるし
つい先程エミヤにスイーツの試作品を貰ったばかりだ
何が言いたいかというとハロウィンだ
「話が早くて助かるが、今回の特異点はどうやら少し変わっていてね」
「変わってる?」
まずひとつ、今回はカルデア内部の犯行(エリちゃんとかエリちゃんとか)では無いらしい
現に彼女は今年のリサイタルに向けて忙しなく動いているし、エリザ粒子とかいう物も反応には無いという
次が問題
発見された微小特異点は2つの全く異なる世界が合わさって出来たようだ
原因は定かではない
偶然が重なってそうなってしまったか、はたまた何者かの故意によるものか…
「前者は考えにくいから後者だろう、それも聖杯によるものだと考えると納得がいく」
「2つの世界って…そんな荒業して大丈夫なんですか…?」
「放っておくと大変な事になる、とだけ言っておこう」
調べて分かっているのは自分が産まれ育った故郷で、時代もほとんど変わらないらしい
「まあそんな深く考えずに里帰り程度に思ってくれたらいいよ」
「里帰り」
「特異点と言ってもまだ出来たてだし、パパっと行って事が大きくなる前に聖杯を回収すれば万事OK!というわけさ!」
「パパっと」
という流れでレイシフトした訳だが、着いた先は東京の渋谷だった
「ふーん、ここがマスターの生まれ故郷か…なんつーか賑やかだな!」
「派手な格好の人も多いし、そんな目立たなそうだね僕ら」
「いやアンタらはスーツだかジャケットだかで普通だが俺らは別だろ」
「あん?んなもん見てくるやつ全員ぶっ殺しゃいい話だろ?」
「マスター、まずは静かな場所へ移動しよう、勿論情報収集も兼ねて」
上からモードレッド、斎藤一、アキレウス、森長可、エミヤ
とりあえずヒャッハーしてる森くんを宥めエミヤの言う通り移動する
ざっと街中を見渡してみて分かったことがひとつ
「あんだテメェ!?」
「やんのかクラァ!」
所謂"不良"と呼ばれる人達が多い気がする
右を見ても左を見ても不良不良だ
遠くの方ではバイクのエンジン音が鳴り響いている
「流石に不良と言えども街中で白昼堂々喧嘩する訳ないよね?何か関係が……」
そこで2人でいがみ合っていた内一人の不良と目が合う
途端ものすごい形相でこっちに向かってきた
「おうおうアンちゃん何ガンたれとんじゃコラぶっ殺すぞ!」
「理不尽すぎない?」
なんとなく目が合った
それだけで不良の世界では戦闘開始のゴングとなるらしい
それにしてはいささか大袈裟な気もするけども
「あ?テメェこそマスターに近づいてんじゃねえよ、殺すぞ」
「ステイ、森くんステイステイ」
不良にとって挨拶のぶっ殺すもうちのバーサーカーからすれば言葉通りの意味になってしまう
確実に流血沙汰になる
「いや、待てマスター…何かおかしい」
『先輩!突然の事で申し訳ないですが、適正反応がその男性から!!』
「な、こんなことって…!とにかく戦闘開始!!」
突然の戦闘にもあまり被害は無く無事終了した
不良は「覚えてやがれ〜!」と捨て台詞を吐いて何か落としていった
「これは…キャンディ…?」
「…ただのキャンディじゃなさそうだぜ」
僅かだが魔力が篭ってる、と付け加えるアキレウスに頷いた時だった
「あんた"マスター"ってやつか?」
緩くウェーブのかかった黒髪に袖に金の刺繍文字が施された黒い服を纏った男がこちらを見ていた