長編
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衝撃的な誕生から早いもんで十数年
あれからの記憶は朧気で4~5歳くらいまで記憶は無いに等しいけど前世の記憶は依然残ったまま
物心着く頃には母親がいなくなってて驚いたけど、前世で両親に売られた身としては父親だけでも居てくれて万々歳だ
お父さん優しい、すっごいどんくさいけど
「名前〜!聞いてくれ!今日のゴールドシップは強かったぞ〜!!」
「また競馬行ったの!?しかもゴールドシップて」
父は時々競馬に行っては大金に替えてきたり全て失ってきたりする
「今日はご馳走だぞ」なんて子供みたいな笑顔を向けられるから強く出れないのだ
けどせめてもうちょい振れ幅狭めの馬に賭けてくれ
魔術とは無関係の、ごく普通の暮らし
世界は終わることなく滞りなく続いている
「行ってきまーす」
「行ってらっしゃい、今日も遅くなるけど暗くなる前に帰るんだぞ」
「はーい」
父がこう言うのは私が女の子だから、という理由だけではない
時代が時代だからか、この辺はヤンキーやら暴走族が多いのだ
バイクのブォンブォンいう音がよく聞こえてくる
「いってー、テメェのせいで肩が折れちまったわ、治療費寄越せや」
「え、さっき自分から……」
「あ"?何ぶつぶつ言ってんだ?聞こえねーよボウズ」
絶賛三対一で絡んでるガキンチョもそうだ
こういう危ないのがいるから幼い頃から万が一のため体を作ってきた
幸いにも私には沢山師匠がいたから格闘に関しては自慢できるぞ
バリバリ前線出てたから(怒られてたけど)
筋肉が付きすぎると身長止まったりするらしいからその辺も考えながら適度に友達と遊んだりしてたけど、私の身体は以前の姿を取り戻しつつある
もう普通の男の子よりも強い自信がある
「何見てんだネェチャン、一緒に遊びてえの?」
「学校あるからちょっとしか無理かな、そこの路地でいい?」
偽善なのは承知の上だけどシンプルにカツアゲするようなカスは嫌いなので見つけたら軽く捻ってる
師匠直伝のパンクラチオンなら誰にも負けない
肩がどうたら言ってたから捻挫するくらい技決めといた
あとオマケで片足ずつ、追ってこられても面倒だし
「ありがとうございます…!」
「いいから、君も早く行きな」
こんな事してるからか、一部では「不良狩り」なんて呼ばれてるらしい
誰彼構わず狩ってるわけじゃないから訂正してほしいもんだ
「おい名前またやってんのかよ、危ねぇからやめろって」
「やあやあ隆くん、おはよーそしてさよなら」
「どうせ同じ学校なんだし逃げても意味ねーぞ」
隆くんとは小学生からの仲だ
公園の鉄棒で腹筋してたら可愛い妹2人引き連れてんのよく見た
妹の一人が凄い凄いと目をキラキラさせて話しかけてくれたのがキッカケで話すようになった
昔はあんな可愛かったのに…
「いつの間にこんな大きくなって…」
「誤魔化すんじゃない…ったく、誰目線なんだよ……」
「まぁまぁ、そういや今日集会あるでしょ?」
「おう、定期のだけどな。てか話はまだ終わってないぞ」
ほんと、昔は可愛かったのに…!
いつからか頭に刺青入れたり喧嘩したりヤンチャしだしたこの男、暴走族である
しかも隊長だってよ、いろいろと大変だろうに
隆くんはほっといたら若くして過労死しそうだな
「今日うちの父さんも遅いからルナマナ連れてきてよ、ついでにおばさんと隆くんの分もご飯作ったげるから」
「まじか、いつもありがとな、助かる」
「てことでお説教はチャラー!」
「はぁ…怪我ねえならいいけど……」
暴走族でも素直にお礼も言えるいい子なのは変わりない
もし人様に迷惑かけるような奴らだったらぶっ潰して説教しようかと思ったけど
隆くんの所属する東京卍會(略して東卍)は悪いチームじゃないからひとまず安心だ
「んじゃまた後でな」
「はーい、じゃあね」
正直中学生2回目だから勉強余裕とか思ってたけど普通に基礎しか覚えてない、数学まじわからん
成績は良くて中の上くらいだ
ただ歴史だけはめちゃくちゃ得意だ、ドンと来い