長編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「……あ?」
気づけば見慣れた街中に立っていた
背中や腹部に痛みは無く、最初から傷など無かったようだ
何故こんなところにいるのか
途端に自分の状況について脳が、"エーテルで造られた身体"が理解する
「…めんどくせぇな……」
男は気だるげに頭をかきながら歩き出す
___
「……っぶはぁ!」
突然、電気のような何かが身体中を駆け巡る感覚に飛び起きた
咄嗟に手の甲を見たがそれらしい"赤い痣"は見当たらない
_気のせい…久々に夢でも見たのか……?
薄暗い部屋に置いてある時計を見れば短い針は4を指している
まだ起きるには早すぎる時間だ
「……つっても、寝れる気がしない…」
夢見が悪かったからか、いつもとどこか違うような気がしないでもない
ただの気にしすぎかもしれないけど…
けど、なんとも言えぬ不気味な違和感が確かにあるのだ
「あ、たかしくんはよー」
「おう名前…今日はまた随分眠そうだな、寝不足か?」
結局あれから目が冴えてしまって二度寝は出来なかった
朝の準備やらで体を動かしていると家を出る頃になって眠気が襲ってきた
感じた違和感は相変わらず健在で調子は出ないが、別に体調が悪いわけじゃないから問題無い
「最近何かと物騒だから気をつけて帰れよー」
放課後
ぼんやりしたまま一人帰路に着いていたはずが気づけば関係ない道を歩いていた
何処にいるかは分かるから迷子ではない、が
こんなこと初めてで嫌な予感しかしない
ほんと、今日はどうしたんだろう…
「まあいいか」
折角だから寄り道しようと思った矢先だ
前から歩いてくる如何にもな輩に気づいて避けたはずなのにわざと向こうからぶつかってきた
…なんだこいつ
「い………ってぇな嬢ちゃん、肩折れちまったじゃねえかよぉ…」
「…あ?」
モヒカンにグラサン、といった風貌の男が2~3人
未だにこんな絡み方する奴がいるとは驚きである
「ちょっとそこ行こうか」と路地裏に連れて行かれる
これはおかしい
「肩折れてんならそんな動かねえと思うんすけど」
「あ"ぁ"!?うるっせぇな黙って慰謝料寄越せや!」
漫画やドラマにしたってもうちょいマシな導入だろう、ナメてやがんな
胸ぐらを掴まれた所で反射的に手首を捻る
あ、やべつい…まあ正当防衛か
「なんだなんだぁこの状況は」
一人に蹴りを入れ、別の一人には肘鉄を入れているところで新たな人物が入ってきた
デカイな、ドラケンと同じくらいか
緑のツンツン頭
特に目を引くのはその服装だ
…なんでこの人鎧着てんの……?
少し悩んで既に伸びていたモヒカンを一発殴る
「う"っ…」
「ふむ、夢では無いか」
「嬢ちゃん、そういう時は普通自分殴るんじゃねえの…?」
仕方ない…私の体は痛みわかんないし
ならば他者で試すのみ……
ってそんなことはどうでもいいんだ
こいつはやばい
戦場で生きてる奴だとすぐにわかった
なんでこんなとこにいるのか理解できない
「"マスター"には襲われてる人がいたら助けろって言われてたが…この場合どっちだ?」
「…マスター?」
今朝の妙な夢や不気味な違和感
目の前の男の存在
そんな馬鹿な話しあるわけない、のに
そう考えると全てに納得がいく
…いや待て、まだそうと決まった訳じゃない
「_ねぇ緑のお兄さん、その"マスター"ってやつの所に案内してよ」
ピリ、と空気が変わる
久方ぶりに感じる威圧感に少しだけ後ずさりしてしまった
「見たところ一般人だが、訳アリか…?嫌だと言ったら?」
「虱潰しに探し回る」
私の読みが正しければこいつは英霊だ
日が出ている内に堂々と姿を晒しているということは聖杯戦争の線は薄い…はず…
まあただの強いやつって線も無くはないけど…これは単なる期待か……
とにかく今は情報が欲しい
他の英霊の有無、マスターの存在
そして何より大事なのは私にとって"敵"か"味方"か