長編
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「途中で死んだから」
なんてことの無いように笑う目の前の幼馴染に胸がざわついた
「人生二週目なんて言うけど、21で死んだから実質一週目と変わんないよねー」
「んな呑気に言うことじゃねえだろ…」
「そんな顔しなくても、元々長く生きれない体だったし…ちょっとだけ死期が早まっただけよ…」
なんでそんなこと言うんだ
自分を大事にしないのは昔からなのか
言いたいことはクソほどあるのにこいつの"前世"とやらは話を聞いただけじゃ想像出来ないくらい壮絶で
俺みたいなガキの言葉なんかじゃ救うことは出来ないんだろう
「私にとっては贖罪の旅だったのに、最後まで見届ける事さえも叶わなかった……16歳の少年一人に背負わせた…もっと他に助ける方法があったんじゃないかって、何も目の前で身代わりになるなんて心に大きな傷を作ったかもしれない」
頭を抱えて苦しそうに眉をひそめながらブツブツと呟く名前の姿はこっちまで胸が苦しくなった
正直こんな姿は初めて見る
そうか…いつもヘラヘラと笑っていたのはこうゆって自分を誤魔化すため
ずっと罪悪感に苛まれてるから
「…だからその体は罰だって言いてぇの?」
ハッとした後すぐに口端を上げて「そうだよ」と小さく肯定した
「私は何処まで行っても人殺しだ」
ガシャン!
突然した大きな物音はどうやら自分が原因なようで
掌がヒリヒリとする感覚で頭が冷えた
「…すみません」
目を丸くして「どうどう」なんていつもの調子で宥める名前を見て頭を抱える
ずっとおちゃらけているようで実は誰よりも大人びていて、口にすると恥ずかしいが尊敬していた
でもそれは外側でしかなくて
心の奥の方はこんなにも弱い人間だったのかと思い知った
「ごめんごめん、軽蔑したでしょ?これからはなるべく関わらないよう__」
「は?ふざけんな、何勝手に逃げようとしてんだ」
「……へ?」
「さっきも言ったけど魔術師だとか人理なんたらとか訳分かんねーし、今のお前は人なんか殺してないだろ?」
前世がなんだって?
目の前のこいつはちょっと馬鹿で普通より喧嘩が強いただの女の子だぞ
「俺は前世の名前なんて興味無えよ、わかったらそれ早く飲み干せ…お前のせいで恥かいてんだぞこっちは……」
言いたいこと全部言って落ち着いた途端さっき机叩いてデカい音たてた事を思い出しさっさとこの店から立ち去りたくなった
「……でもこれから先で殺しちゃうかもしれな……ぅあだっ!」
まだ舐めた事言ってる名前にデコピンしてやった
ほんとは一発ぶん殴ってやりたかったが…
仮にも一応は女だしな、本気のデコピンで許してやろう
罪悪感で今にも死にそうな顔してるやつがそんなことするわけない
話を聞く限りやりたくてやってた訳じゃないのはわかるしな
まあでも
「仮にそうなったら俺がお前を殺して俺も死ぬ」
「…怖いなぁ、隆くんの為にもルナマナの為にも正気を保つとするか」
やっといつもの調子を取り戻したか
空元気じゃないことを祈るか…