長編
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強引にステゴロに持ち込んだはいいけど量が多くて上手く動けないな
「名前さん後ろ!」
目の前から来た拳を避けてカウンターを仕掛けようとしてタケミっちの声が聞こえた
殴られた衝撃で体が倒れないよう足を踏ん張ったがあまり意味は無かったようだ
「「溝中五人衆参上!」」
助っ人が4人、タケミっちの仲間らしい
それにしてもいいタイミングで来てくれた
「オレらに任せろ!」
「女の子に手は出させないぞ!」
「オレらだってやる時はやるんだ!」
仲間のピンチに駆けつけるこの子らは性根の良い奴なんだろう
これで救急車が到着するまでの時間稼ぎはバッチリだ
「クソっ、さっきからうざってぇな!」
「女の顔狙ってくるやつに言われたくないな」
時間が来れば自分の足で帰って貰えるようなるべく足の方は手を出さないよう気をつけた
かといって手加減するほど私の性格は宜しくないのでギリギリの所まで追い詰めるつもりだ
しかもこいつ殴る時思い切り腕を伸ばしてくれるからカウンターが入りやすくて助かる
動きが単調ですぐに防御できるが一つ一つの攻撃がそれなりに重い
防御に出した腕がブレる分攻撃を受けてしまうのは厄介だな…防ぐより避ける方を頭に入れるか
他の子達は…と視線を向ける
大丈夫、とは言いきれない状況……
まああと少しで救急車とついでに警察も来るだろうからほっといてもなんとかなるかな、男の子だし
_____…ポー…ピーポー
救急車のサイレンが聞こえ始めた
直ぐにパトカーのそれも聞こえてくる
「タケミチ君!救急車来たよ!」
「警察も!」
ヒナちゃんとエマちゃんが誘導してくれたようだ
ドラケンはさっきよりも辛そうだがまだ意識はある、大丈夫、間に合うはず
「バックレんぞテメーら!!」
「オッ、オウ!」
さっきまで楽しそうに暴力振ってた奴らが血相変えて逃げてった
よっぽど捕まるのが嫌なのか、キヨマサ君は!?ほっとけ!なんて仲間を置いてく始末だ
あいつらが持ってた刃物はそのままにしとく訳にも行かないし、かと言って持って帰ったらめんどくさい事になるし
とりあえず置いていかれたキヨマサクンの懐に入れといた
「名前さんも早く行こ!」
「そうね、向こうでドンパチやってる子らにも警察は行ってるだろうし」
救急車にはドラケンと付き添いにタケミっちが乗った
行先は世田谷病院らしい
遅くなりそうだから父さんに一言メールして病院に向かう
…前世の自分は腹に大穴空けて呆気なく死んだ
あの時とは傷の大きさも状況も何もかも違うのはわかっているのに考えれば考えるほど鼓動は激しくなる
胸とお腹の間当たりが息苦しくてせり上がってくる何かを飲み込みながらドラケンはきっと大丈夫だと言い聞かせた
__________
俺達が病院に着いた頃、ドラケンは手術中だった
タケミっちから心肺停止した事を聞いた
「タケミっち」
「マイキー!」
クソっ、なんて言えば…
いつも何処か大人びた名前ならこういう時状況説明を出来るんじゃないかと思ったけど間違いだった
怖いくらいに無表情で、ぼうっと床を見つめる姿が目に入りゾッとした
マイキーの「静かにしろ」という叱責で我に返ったみたいだけどあんな顔初めて見た
「アイツ、オレと天下獲るって約束したからな」
マイキーの「ケンチンを信じろ」という言葉に少しだけ心が軽くなった
やっぱりすげえな、俺らの総長は
それから静かに時間が過ぎて行った
外から聞こえる雨音だけが鳴り響く
何度も時計を見てはぐるりと廊下を見渡して、また時計を見ての繰り返し
そんな時少し水色がかった廊下についさっきまで無かったはずの赤い点を見つけた
それは一つ二つと増えていて……
「おい名前、力抜け」
「…!隆くん?あぁ…」
力み過ぎて震えている名前の拳からゆっくりと鮮血が垂れていた
握り込みすぎて爪がくい込んでるのに気づかなかったのか…?
「あ、はは…テンパリすぎてわかんなかったや、教えてくれてありがとう」
床汚しちゃった…と痛々しい掌を後ろに隠しながら困ったように眉を下げる彼女に違和感を覚えたところでとある噂が頭を過る
『苗字さんって痛み感じないんだって』
中学に入ってすぐくらいに立ったそれは名前と同じ小学校から出てきた女子が言っていた
怪力女だの言われてたくらいだしそれの延長戦だろうと思ってた、こういう噂は大体膨れ上がって元の原型を留めてないもんだ
実際「逆剥けって地味に痛いよね」なんて言って無理やり引っ張ったのか少し血の滲んだ人差し指を差し出し絆創膏を片手にやってきたのを覚えてる
「手、洗うついでにティッシュかなんか持ってくるね」
「…おう、一人で大丈夫か?」
「大体の場所はわかるから平気」
彼女なりに普段通りのように振舞っているつもりなんだろう
無理矢理口角を上げて「すぐ戻るね」と言い残し去っていく背中を見つめる
……せめて"痛い"くらい言えよ馬鹿野郎
「名前さん後ろ!」
目の前から来た拳を避けてカウンターを仕掛けようとしてタケミっちの声が聞こえた
殴られた衝撃で体が倒れないよう足を踏ん張ったがあまり意味は無かったようだ
「「溝中五人衆参上!」」
助っ人が4人、タケミっちの仲間らしい
それにしてもいいタイミングで来てくれた
「オレらに任せろ!」
「女の子に手は出させないぞ!」
「オレらだってやる時はやるんだ!」
仲間のピンチに駆けつけるこの子らは性根の良い奴なんだろう
これで救急車が到着するまでの時間稼ぎはバッチリだ
「クソっ、さっきからうざってぇな!」
「女の顔狙ってくるやつに言われたくないな」
時間が来れば自分の足で帰って貰えるようなるべく足の方は手を出さないよう気をつけた
かといって手加減するほど私の性格は宜しくないのでギリギリの所まで追い詰めるつもりだ
しかもこいつ殴る時思い切り腕を伸ばしてくれるからカウンターが入りやすくて助かる
動きが単調ですぐに防御できるが一つ一つの攻撃がそれなりに重い
防御に出した腕がブレる分攻撃を受けてしまうのは厄介だな…防ぐより避ける方を頭に入れるか
他の子達は…と視線を向ける
大丈夫、とは言いきれない状況……
まああと少しで救急車とついでに警察も来るだろうからほっといてもなんとかなるかな、男の子だし
_____…ポー…ピーポー
救急車のサイレンが聞こえ始めた
直ぐにパトカーのそれも聞こえてくる
「タケミチ君!救急車来たよ!」
「警察も!」
ヒナちゃんとエマちゃんが誘導してくれたようだ
ドラケンはさっきよりも辛そうだがまだ意識はある、大丈夫、間に合うはず
「バックレんぞテメーら!!」
「オッ、オウ!」
さっきまで楽しそうに暴力振ってた奴らが血相変えて逃げてった
よっぽど捕まるのが嫌なのか、キヨマサ君は!?ほっとけ!なんて仲間を置いてく始末だ
あいつらが持ってた刃物はそのままにしとく訳にも行かないし、かと言って持って帰ったらめんどくさい事になるし
とりあえず置いていかれたキヨマサクンの懐に入れといた
「名前さんも早く行こ!」
「そうね、向こうでドンパチやってる子らにも警察は行ってるだろうし」
救急車にはドラケンと付き添いにタケミっちが乗った
行先は世田谷病院らしい
遅くなりそうだから父さんに一言メールして病院に向かう
…前世の自分は腹に大穴空けて呆気なく死んだ
あの時とは傷の大きさも状況も何もかも違うのはわかっているのに考えれば考えるほど鼓動は激しくなる
胸とお腹の間当たりが息苦しくてせり上がってくる何かを飲み込みながらドラケンはきっと大丈夫だと言い聞かせた
__________
俺達が病院に着いた頃、ドラケンは手術中だった
タケミっちから心肺停止した事を聞いた
「タケミっち」
「マイキー!」
クソっ、なんて言えば…
いつも何処か大人びた名前ならこういう時状況説明を出来るんじゃないかと思ったけど間違いだった
怖いくらいに無表情で、ぼうっと床を見つめる姿が目に入りゾッとした
マイキーの「静かにしろ」という叱責で我に返ったみたいだけどあんな顔初めて見た
「アイツ、オレと天下獲るって約束したからな」
マイキーの「ケンチンを信じろ」という言葉に少しだけ心が軽くなった
やっぱりすげえな、俺らの総長は
それから静かに時間が過ぎて行った
外から聞こえる雨音だけが鳴り響く
何度も時計を見てはぐるりと廊下を見渡して、また時計を見ての繰り返し
そんな時少し水色がかった廊下についさっきまで無かったはずの赤い点を見つけた
それは一つ二つと増えていて……
「おい名前、力抜け」
「…!隆くん?あぁ…」
力み過ぎて震えている名前の拳からゆっくりと鮮血が垂れていた
握り込みすぎて爪がくい込んでるのに気づかなかったのか…?
「あ、はは…テンパリすぎてわかんなかったや、教えてくれてありがとう」
床汚しちゃった…と痛々しい掌を後ろに隠しながら困ったように眉を下げる彼女に違和感を覚えたところでとある噂が頭を過る
『苗字さんって痛み感じないんだって』
中学に入ってすぐくらいに立ったそれは名前と同じ小学校から出てきた女子が言っていた
怪力女だの言われてたくらいだしそれの延長戦だろうと思ってた、こういう噂は大体膨れ上がって元の原型を留めてないもんだ
実際「逆剥けって地味に痛いよね」なんて言って無理やり引っ張ったのか少し血の滲んだ人差し指を差し出し絆創膏を片手にやってきたのを覚えてる
「手、洗うついでにティッシュかなんか持ってくるね」
「…おう、一人で大丈夫か?」
「大体の場所はわかるから平気」
彼女なりに普段通りのように振舞っているつもりなんだろう
無理矢理口角を上げて「すぐ戻るね」と言い残し去っていく背中を見つめる
……せめて"痛い"くらい言えよ馬鹿野郎