えみごシリーズ
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「今日ちょっと外食してくるから、ごめんけどご飯用意できない」
「あいよ、迎えはどうする?」
「食べたらすぐ帰るからいいよ」
こういう時は大体遅くても9時前には帰ってくる名前が、今日は10時になっても帰ってこない
確か新都のイタリア料理店だったか?
「いいです」
「いやでもさ、女の子一人だと危ないでしょ?」
例の店の近くまで来たところでなにやら揉めてる男女が目に入る
案の定女の方は俺が探している張本人で、やっぱ来て正解だったとため息をつく
気に入らない状況にふつふつと怒りが込み上げ
この男にはちょっとばかし痛い目見てもらおうと思った
ガンッと思いっきり壁をぶっ蹴る音でその考えは消え去った
「しつこい」
先にあいつの我慢の限界が来たらしい
男の急所にすれすれの場所狙ってんのは流石だ
相当酔ってるんで素で外したか意図して外したか定かじゃないが
「あっ、らんさー!」
目が合うなりタックルされるわ引っ張られるわで先程まであった感情は完全に消え去った
合コンだと言ったら絶対来ないだろうから、と友達に騙されたらしい
こいつは意外にも懇願されると断れない性格だからな
居てくれるだけでいいから、とでも言われたんだろう
「あいつずっと話しかけてくるし飲んでたジュース取り替えるしでほんとさいてー、何度ガンド撃ちそうになったか」
「お前さんガンド撃てねえだろ…っと、あぶね」
段差に躓いたのか倒れそうになる体を抱き起こした
が、一向に起き上がろうとしない
「どした名前?立てねえのか?」
「…おんぶ」
「あー…お前さんね……」
両手を広げて「ん」と抱っこ待ちのポーズで待ってるのを見て頭を抱える
そりゃどっちだ、と言いたいのに言葉が出てこない
「うーん……れーじゅを持って命ずる、おんぶしろらんさーあはは」
しびれを切らしたのか、ありもしない令呪まで使い始める始末だ
「はー…ったく、おら」
少し屈んで背中を差し出せば
どすん、と俺の背中にほとんど飛びつくように乗ったのを確認してそのまま歩き出す
「スゥゥーーー……っぷはぁ」
「こら、嗅ぐな」
野郎の項なんざ嗅いだっていい事ねえだろうに
あと擽ってぇ
そんな俺を無視して「煙草と潮気を感じる…釣りかな」と分析しだすアホ
「そろそろ寝とけって、明日記憶残ってても知らねえぞ」
「……ねぇ、ランサー…」
俺の話を聞いているのかいないのか、恐らく後者だが
突然雰囲気がガラリと変わった声音
なんとなく寂しそうなそれに「なんだ?」とできる限り優しく聞き返した
「……いつもごめん…」
「謝れるようなことされた覚えは無ぇな」
だって…と魔術のことやら生活のことやらポツポツと続ぐ言葉を黙って聞いた
確かに人よりは劣っているかもしれないが、ちゃんと誇れる所だってある
だというのにこいつは自分のダメな部分しか見ようとしない
魔術師の家庭なんざ知ったこっちゃねえが、自己肯定感が低いのはそういった幼い頃の経験からだろう
「お前はもっと自信持て、俺がこうして不自由なく現界してんのは名前、お前さんの膨大な魔力のおかげだ。十分すげえよ」
「…でもそれ以外…なんの役にも、たってない」
「いいんだよ、それだけで。足りねぇ分は俺が補ってやるから問題無ぇだろ?」
段々意識が薄れつつあるのか、眠そうな声が後ろから聞こえる
この会話は確実にこいつの中には残らない
弱音を吐くのが嫌いなこいつにゃ丁度いいか
「……ありがと、らんさー……すき…」
「おう…俺も好きだぜ名前」
それきり完全に寝てしまったのか、規則正しい呼吸音が聞こえてくる
「ったく、意識がハッキリしてる時に言って欲しいもんだねぇ」
後日、前半の記憶は残っていた彼女が布団から出なかったのは言うまでもない
「え、あれ夢…?だよね?きっとそうよ…」
「さてね、だがまあ昨日の嬢ちゃんは随分」
「っあー!やめて!いい!言わんでいい!忘れなさい!!」
「あいよ、迎えはどうする?」
「食べたらすぐ帰るからいいよ」
こういう時は大体遅くても9時前には帰ってくる名前が、今日は10時になっても帰ってこない
確か新都のイタリア料理店だったか?
「いいです」
「いやでもさ、女の子一人だと危ないでしょ?」
例の店の近くまで来たところでなにやら揉めてる男女が目に入る
案の定女の方は俺が探している張本人で、やっぱ来て正解だったとため息をつく
気に入らない状況にふつふつと怒りが込み上げ
この男にはちょっとばかし痛い目見てもらおうと思った
ガンッと思いっきり壁をぶっ蹴る音でその考えは消え去った
「しつこい」
先にあいつの我慢の限界が来たらしい
男の急所にすれすれの場所狙ってんのは流石だ
相当酔ってるんで素で外したか意図して外したか定かじゃないが
「あっ、らんさー!」
目が合うなりタックルされるわ引っ張られるわで先程まであった感情は完全に消え去った
合コンだと言ったら絶対来ないだろうから、と友達に騙されたらしい
こいつは意外にも懇願されると断れない性格だからな
居てくれるだけでいいから、とでも言われたんだろう
「あいつずっと話しかけてくるし飲んでたジュース取り替えるしでほんとさいてー、何度ガンド撃ちそうになったか」
「お前さんガンド撃てねえだろ…っと、あぶね」
段差に躓いたのか倒れそうになる体を抱き起こした
が、一向に起き上がろうとしない
「どした名前?立てねえのか?」
「…おんぶ」
「あー…お前さんね……」
両手を広げて「ん」と抱っこ待ちのポーズで待ってるのを見て頭を抱える
そりゃどっちだ、と言いたいのに言葉が出てこない
「うーん……れーじゅを持って命ずる、おんぶしろらんさーあはは」
しびれを切らしたのか、ありもしない令呪まで使い始める始末だ
「はー…ったく、おら」
少し屈んで背中を差し出せば
どすん、と俺の背中にほとんど飛びつくように乗ったのを確認してそのまま歩き出す
「スゥゥーーー……っぷはぁ」
「こら、嗅ぐな」
野郎の項なんざ嗅いだっていい事ねえだろうに
あと擽ってぇ
そんな俺を無視して「煙草と潮気を感じる…釣りかな」と分析しだすアホ
「そろそろ寝とけって、明日記憶残ってても知らねえぞ」
「……ねぇ、ランサー…」
俺の話を聞いているのかいないのか、恐らく後者だが
突然雰囲気がガラリと変わった声音
なんとなく寂しそうなそれに「なんだ?」とできる限り優しく聞き返した
「……いつもごめん…」
「謝れるようなことされた覚えは無ぇな」
だって…と魔術のことやら生活のことやらポツポツと続ぐ言葉を黙って聞いた
確かに人よりは劣っているかもしれないが、ちゃんと誇れる所だってある
だというのにこいつは自分のダメな部分しか見ようとしない
魔術師の家庭なんざ知ったこっちゃねえが、自己肯定感が低いのはそういった幼い頃の経験からだろう
「お前はもっと自信持て、俺がこうして不自由なく現界してんのは名前、お前さんの膨大な魔力のおかげだ。十分すげえよ」
「…でもそれ以外…なんの役にも、たってない」
「いいんだよ、それだけで。足りねぇ分は俺が補ってやるから問題無ぇだろ?」
段々意識が薄れつつあるのか、眠そうな声が後ろから聞こえる
この会話は確実にこいつの中には残らない
弱音を吐くのが嫌いなこいつにゃ丁度いいか
「……ありがと、らんさー……すき…」
「おう…俺も好きだぜ名前」
それきり完全に寝てしまったのか、規則正しい呼吸音が聞こえてくる
「ったく、意識がハッキリしてる時に言って欲しいもんだねぇ」
後日、前半の記憶は残っていた彼女が布団から出なかったのは言うまでもない
「え、あれ夢…?だよね?きっとそうよ…」
「さてね、だがまあ昨日の嬢ちゃんは随分」
「っあー!やめて!いい!言わんでいい!忘れなさい!!」