短編
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タンッ
弾みよくエンターキーを叩き、思い切り伸びをする
「っ〜〜〜!終わったぁ〜……!」
カチコチに固まった体を解しながら時計を見れば日付を跨いで1時間は優に超えている
すぐに休んだ方がいいのだろうけど、今は睡眠欲よりも食欲の方が勝っている
何しろ今日の夕食は栄養満点バー一本とゼリー飲料だけだったから
「…前もやったし…いい……よね?」
以前同じようなことがあり食堂を勝手ながら使用した
このことが弊デアのママ軍団(主に赤い弓兵)に見つかったら軽く2時間は説教されるだろう
が、サーヴァント達も夜は大抵自室で大人しくしているか霊体化しているかなのでバレることは無かった
ただ一人目撃者はいたが口止め料として食料を分けると無事事なきを得た
まあそんな事しなくても彼は黙っているだろうけど、念の為だ
ぐぎゅるるる……
うだうだと迷っていても仕方ない
人間欲には耐えられないもの…
毎日やってる訳じゃないし今回も大丈夫大丈夫
なんて自分に言い聞かせながら扉を開き、一歩踏み出した瞬間異変は起きた
「へぁっ!?」
とん、と何かに躓きそのまま体は地面にぶつかりそうになる
覚悟を決め目を瞑るが予想していた衝撃はいつまで経っても来なかった
代わりに腹部に感じる妙な圧迫感
「おい」
「ウヒッ!?」
低い声がすぐ近くから聞こえて反射的にそちらを見ると至近距離に例の彼、オルタのクー・フーリンさんがそこに居た
転びそうになった所を彼が助けてくれたらしい
「え、…っと、ありがとうございます…その……」
「……」
…ん?
よく見ると私が躓いたのは彼の長い尾だった
これは、どう捉えればいいのだろうか…
謝った方がいい感じ…?
いやでも、なんでこんな所にいるんだろ…
「おい」
再度呼ばれさっきまで考えていた事が全て消え去る
できるだけ声を抑え「なんでしょう」と聞き返すと
「食堂に行くのか」
「へ…?」
何を言われるのかと身構えていると予想外の質問で固まった
訳が分からず頷くと私を抱えたまま歩き出した
「まっ、ちょっ…」
本当に訳が分からない
そういえば最初に助けられてから地に足を付けていない気がする
重くないのだろうか…
あぁ、そういえばこの前シュミレーターで重装備の仮想敵をぽんぽん投げ飛ばしてたな、私くらい余裕か
なんて考えているうちに食堂に着いたらしい
厨房の手前で意外にも丁寧に降ろされた
オルタのクー・フーリンさん(長いからクーオルタさんでいいか)は一番近くのカウンター席に腰を下ろした
これは…
「前と同じものでも……?」
「あぁ」
どのようにして彼に食べさせたか記憶が定かではないけど、どうやら私の作ったお夜食はお気に召したらしい
とりあえず冷蔵庫を開いて中身を物色する
前と同じ、太めの魚肉ソーセージを見つけて一本だけ拝借する
調理用はさみで適当な薄さにカットしていきアルミホイルに並べる
黒胡椒をまぶしてトースターにIN
時間は…あー……適当だ、とにかくカリカリになるまで焼く
「……」
チラリとクーオルタさんの方に振り向けば目が合った
ゆらゆらと揺れる尻尾がなんとなく猫のように思えて不覚にも可愛いと思った
「…あ、そろそろですよ」
多めに引いていたレバーをギュッと0に合わせ強制終了する
鍋つかみを付けてトレーを引っ張り出した
「ぅあちちっ、ふー…できましたよ〜っと」
お皿を出すのは面倒なので鍋敷きを敷いて熱々のトレーごと置いた
洗い物も減るしね
「熱いんで気をつけ__」
そう言って爪楊枝を渡そうとすると素手で摘んでそのまま食べてしまった
…熱くないのだろうか、真顔でもぐもぐと咀嚼し飲み込むと次をぱくり
爪楊枝でひとつ刺して口元に運んだ、が
当たってもいないのに熱気が凄くて大人しく冷ましながらゆっくり食べることにする
あっという間に無くなったお夜食
アルミホイルを丸めゴミ箱に捨て、トレーを洗って元の位置に置いておいた
「じゃあクーオルタさん、おやすみなさ…わひゃっ!?」
挨拶をしようと頭を下げると来た時と同じように担がれた
無言でノシノシと歩いていき私の部屋の前で降ろされる
送ってくれたのだろうか…
「あ、はは…ありがとうございます、じゃあ今度こそおやすみなさい」
「…ん」
私が部屋に入るのを見届けたからか、扉の向こうから彼の足音が聞こえてきた
…それにしても今日のあれはなんだったのだろうか…
次の日、昼食を食べ終えまだ少し昼休みがある時間帯
立香ちゃんが次のシュミレーションの編成を一人で考えていた
聞きたいこともあったし丁度いいと思いカフェオレと珈琲を手に一緒にどうかと誘った
「あ、昨日もいたんですか?」
「ん?昨日"も"?」
昨夜の出来事を食堂からトイレにすり替えて話すと興味深い答えが返ってきた
なんでもある日を境にクーオルタさんは夜、私の自室の前に居座っているらしい
彼女も何度か見ているというのでほぼ毎日では無いだろうかということだ
…なんとなく理由がわかる気がする
試しに今夜、昨日より早めの時間に確認することにしよう
_____
「……」
「……」
深夜、時計の針が全て真上を指す頃
半信半疑に外を確認すれば昨日と同じように尾が見えた
「……?今日は行かないのか?」
「あー…とりあえず中に入ってください」
怪訝そうな顔をしながらも大人しく私の言うことに従ってくれた
さて、どう話すか…
「あのですね…一応聞きますけど、毎日ここで待ってたりします…?」
「あぁ」
さも当然かのように即答するクーオルタさん
何が彼をここまでさせるのか、サーヴァントに飯は必要ないとか言う人じゃないか貴方は
睡眠も取らないんだろうけど、暇なのか
「もう…あのお夜食が気に入ったのか知らないですけど、次からはちゃんとノックしてください。いつまでもそこで待ってても私は気づけませんよ?」
「お前が食うタイミングに合わせてるだけだ、行かないなら行かないでいい」
つまりそこまで強く欲しいわけじゃないが、私が食べるのならついでに俺にもくれ、というわけか
「それにしたって外で待たれるのはちょっと…いたたまれないというか…」
それに立香ちゃんのように他の人は不審に思うだろう
なんだってずっと人の部屋の前で居座ってるのだろうかと
「それで」
今日はどうするんだ?
小言を言おうと口を開いたのだがそれは叶わなかった
今日はちゃんと夕食を食べたし、残業も無い
本当ならゆっくりベッドでおやすみしてたところなのだが
「……行きましょう」
お夜食のことを話しているとお腹が空いてきた
それ以前にこの時間帯はお腹が空くものなので仕方ない
昨日今日と連続だが背に腹はかえられない
「次からはちゃんと部屋の中で待機してくださいよ、私のものなら好きに使っていいですから」
「………了解」
少し不服そうだがなんとか了承を得た
私も彼が暇つぶしに読書などするとは思わないが、外で待たれるよりかはいい
こうして話してみると、最初の頃抱いていた恐怖心は消えていた
今はなんとなく可愛いとも思っている、本人には絶対言えないけど
その後
連続でやったのが悪かったのだろう
目敏く異変に気づき見張りをしていたエミヤさんに現行犯であっさり捕まった
弾みよくエンターキーを叩き、思い切り伸びをする
「っ〜〜〜!終わったぁ〜……!」
カチコチに固まった体を解しながら時計を見れば日付を跨いで1時間は優に超えている
すぐに休んだ方がいいのだろうけど、今は睡眠欲よりも食欲の方が勝っている
何しろ今日の夕食は栄養満点バー一本とゼリー飲料だけだったから
「…前もやったし…いい……よね?」
以前同じようなことがあり食堂を勝手ながら使用した
このことが弊デアのママ軍団(主に赤い弓兵)に見つかったら軽く2時間は説教されるだろう
が、サーヴァント達も夜は大抵自室で大人しくしているか霊体化しているかなのでバレることは無かった
ただ一人目撃者はいたが口止め料として食料を分けると無事事なきを得た
まあそんな事しなくても彼は黙っているだろうけど、念の為だ
ぐぎゅるるる……
うだうだと迷っていても仕方ない
人間欲には耐えられないもの…
毎日やってる訳じゃないし今回も大丈夫大丈夫
なんて自分に言い聞かせながら扉を開き、一歩踏み出した瞬間異変は起きた
「へぁっ!?」
とん、と何かに躓きそのまま体は地面にぶつかりそうになる
覚悟を決め目を瞑るが予想していた衝撃はいつまで経っても来なかった
代わりに腹部に感じる妙な圧迫感
「おい」
「ウヒッ!?」
低い声がすぐ近くから聞こえて反射的にそちらを見ると至近距離に例の彼、オルタのクー・フーリンさんがそこに居た
転びそうになった所を彼が助けてくれたらしい
「え、…っと、ありがとうございます…その……」
「……」
…ん?
よく見ると私が躓いたのは彼の長い尾だった
これは、どう捉えればいいのだろうか…
謝った方がいい感じ…?
いやでも、なんでこんな所にいるんだろ…
「おい」
再度呼ばれさっきまで考えていた事が全て消え去る
できるだけ声を抑え「なんでしょう」と聞き返すと
「食堂に行くのか」
「へ…?」
何を言われるのかと身構えていると予想外の質問で固まった
訳が分からず頷くと私を抱えたまま歩き出した
「まっ、ちょっ…」
本当に訳が分からない
そういえば最初に助けられてから地に足を付けていない気がする
重くないのだろうか…
あぁ、そういえばこの前シュミレーターで重装備の仮想敵をぽんぽん投げ飛ばしてたな、私くらい余裕か
なんて考えているうちに食堂に着いたらしい
厨房の手前で意外にも丁寧に降ろされた
オルタのクー・フーリンさん(長いからクーオルタさんでいいか)は一番近くのカウンター席に腰を下ろした
これは…
「前と同じものでも……?」
「あぁ」
どのようにして彼に食べさせたか記憶が定かではないけど、どうやら私の作ったお夜食はお気に召したらしい
とりあえず冷蔵庫を開いて中身を物色する
前と同じ、太めの魚肉ソーセージを見つけて一本だけ拝借する
調理用はさみで適当な薄さにカットしていきアルミホイルに並べる
黒胡椒をまぶしてトースターにIN
時間は…あー……適当だ、とにかくカリカリになるまで焼く
「……」
チラリとクーオルタさんの方に振り向けば目が合った
ゆらゆらと揺れる尻尾がなんとなく猫のように思えて不覚にも可愛いと思った
「…あ、そろそろですよ」
多めに引いていたレバーをギュッと0に合わせ強制終了する
鍋つかみを付けてトレーを引っ張り出した
「ぅあちちっ、ふー…できましたよ〜っと」
お皿を出すのは面倒なので鍋敷きを敷いて熱々のトレーごと置いた
洗い物も減るしね
「熱いんで気をつけ__」
そう言って爪楊枝を渡そうとすると素手で摘んでそのまま食べてしまった
…熱くないのだろうか、真顔でもぐもぐと咀嚼し飲み込むと次をぱくり
爪楊枝でひとつ刺して口元に運んだ、が
当たってもいないのに熱気が凄くて大人しく冷ましながらゆっくり食べることにする
あっという間に無くなったお夜食
アルミホイルを丸めゴミ箱に捨て、トレーを洗って元の位置に置いておいた
「じゃあクーオルタさん、おやすみなさ…わひゃっ!?」
挨拶をしようと頭を下げると来た時と同じように担がれた
無言でノシノシと歩いていき私の部屋の前で降ろされる
送ってくれたのだろうか…
「あ、はは…ありがとうございます、じゃあ今度こそおやすみなさい」
「…ん」
私が部屋に入るのを見届けたからか、扉の向こうから彼の足音が聞こえてきた
…それにしても今日のあれはなんだったのだろうか…
次の日、昼食を食べ終えまだ少し昼休みがある時間帯
立香ちゃんが次のシュミレーションの編成を一人で考えていた
聞きたいこともあったし丁度いいと思いカフェオレと珈琲を手に一緒にどうかと誘った
「あ、昨日もいたんですか?」
「ん?昨日"も"?」
昨夜の出来事を食堂からトイレにすり替えて話すと興味深い答えが返ってきた
なんでもある日を境にクーオルタさんは夜、私の自室の前に居座っているらしい
彼女も何度か見ているというのでほぼ毎日では無いだろうかということだ
…なんとなく理由がわかる気がする
試しに今夜、昨日より早めの時間に確認することにしよう
_____
「……」
「……」
深夜、時計の針が全て真上を指す頃
半信半疑に外を確認すれば昨日と同じように尾が見えた
「……?今日は行かないのか?」
「あー…とりあえず中に入ってください」
怪訝そうな顔をしながらも大人しく私の言うことに従ってくれた
さて、どう話すか…
「あのですね…一応聞きますけど、毎日ここで待ってたりします…?」
「あぁ」
さも当然かのように即答するクーオルタさん
何が彼をここまでさせるのか、サーヴァントに飯は必要ないとか言う人じゃないか貴方は
睡眠も取らないんだろうけど、暇なのか
「もう…あのお夜食が気に入ったのか知らないですけど、次からはちゃんとノックしてください。いつまでもそこで待ってても私は気づけませんよ?」
「お前が食うタイミングに合わせてるだけだ、行かないなら行かないでいい」
つまりそこまで強く欲しいわけじゃないが、私が食べるのならついでに俺にもくれ、というわけか
「それにしたって外で待たれるのはちょっと…いたたまれないというか…」
それに立香ちゃんのように他の人は不審に思うだろう
なんだってずっと人の部屋の前で居座ってるのだろうかと
「それで」
今日はどうするんだ?
小言を言おうと口を開いたのだがそれは叶わなかった
今日はちゃんと夕食を食べたし、残業も無い
本当ならゆっくりベッドでおやすみしてたところなのだが
「……行きましょう」
お夜食のことを話しているとお腹が空いてきた
それ以前にこの時間帯はお腹が空くものなので仕方ない
昨日今日と連続だが背に腹はかえられない
「次からはちゃんと部屋の中で待機してくださいよ、私のものなら好きに使っていいですから」
「………了解」
少し不服そうだがなんとか了承を得た
私も彼が暇つぶしに読書などするとは思わないが、外で待たれるよりかはいい
こうして話してみると、最初の頃抱いていた恐怖心は消えていた
今はなんとなく可愛いとも思っている、本人には絶対言えないけど
その後
連続でやったのが悪かったのだろう
目敏く異変に気づき見張りをしていたエミヤさんに現行犯であっさり捕まった