短編
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「名前は今年何描くの?」
「うーん…海、とか?」
サボり部、なんて言われてるこの美術部だがやることはやっている
毎年新都の美術館に出品するための油絵を描かなければならない
作品が良ければ賞だって貰える
去年は近所によく出る野良猫の絵を描いた
「海かー、いいじゃん!てっきり花でも描くのかと」
「花…?まあいいや、早速今日写真取りに行こうかと思うんだけど一緒にどう?」
私の誘いに二つ返事で了承する友達
彼女は今年も飼い犬を描くらしいからあとは写真を選ぶだけだという
「この辺の海といえばどこだろ、とりあえず近くの防波堤でも行ってみる?」
「防波堤かー…今からじゃ遠出も出来ないし、イメージ作るだけでもできるか」
欲を言うなら浜辺とか見たかったんだけど…
まあ休日にでも行こうかな、帰るの遅くなっちゃうし
それにあそこには白い灯台といういいモデルもある
候補として写真を撮っておくのもいい手だ
_____
「着いたー!確か灯台はあっちの奥の方だっけ?」
心地よい潮風の中、目的を果たすためにカメラ片手に見回していると人影が目につく
黄色のアロハシャツによく見ると青い長髪が目に映える
「も、もしかして…」
「ん?お、名前の嬢ちゃんじゃねえか、奇遇だな」
私達の声が聞こえたのかこちらに振り返った彼は絶賛片思い中のランサーさんだった
「え?なになに?知り合い!?」
「あっ、と…ほら、前に話してた商店街のお兄さん、ランサーさんだよ」
「そっちは友達か?よろしくな」
ランサーさんはよくここで釣りをしているらしく、バケツの中には魚が一匹
なんて偶然なのだろうか
エプロン姿以外のランサーさん初めて見た…かっこいい……
てか煙草吸うんだ…吸殻結構入ってる……
煙草吸ってる人かっこいいよねって言ってた子の気持ちがすごくわかった
なんて考えながらぼーっとしてると友達による爆弾投下によって一気に我に返った
「そうだ、ランサーさんこの子の絵のモデルになってくれません?」
「ん"っ!?」
「モデル?」
急に何を言い出すんだこの肉食パリピ野郎!
いきなりそんなこと言われちゃ誰だって引くでしょ!断られたら心が折れる!
ほぼ半泣きになりながら必死に彼女を止めるが話はどんどん進んでいく
「俺なら構わねえぜ?むしろ俺でいいのか?」
「…へっ?」
「だってさ、どうすんの?」
「ぜ、是非…描かせてください…」
勢いで色々なことが決まり正直まだ信じられない
「俺にも見せてくれ」というのを条件に了承を得た
あの後友達は「用事出来たから」と一足先に帰ってしまった
今はどういう構図にしようか写真を撮りながら考え中だ
「本当に何もしなくていいのか?」
「はい!自然体の、魚釣りしてる人を描きたいので」
後ろから撮ったり遠くの方から撮ったり
出来心からついこっそりランサーさんメインに撮ったりもした
段々日も暮れてきてそろそろ引き上げることにした
彼も今日はあまり釣れなかったらしく今日は帰るらしい
「ありがとうございました!おかげでいい写真いっぱい撮れましたよ、今度何かお礼させてください!」
「おーそりゃよかったな、お礼っつっても…そうさな〜……」
ランサーさんの好きな物を聞けるチャンスだ…!
お礼ってことにすれば違和感なく渡せる!
私ってば賢い!さすが!!
「じゃあ、今度俺とデートでもしてくんね?」
「はい!デー………」
で、でででっででデデデート!?!?!?
デートって…デートってなんだ!?あれか!?
男女がショッピングしたり映画見たり水族館行ったり……
そのデート!?え!?ランサーさんと?私が!?
「なんだ?嫌か?」
「そっ、嫌っ、とかでは、無く…その…」
え?本当にあのデートです?
他にどのデートがあるんだ?
なんてアホな質問にもきちんと答えてくれる
というか…お礼、になるのかな?
ただただ私が嬉しいことになるだけでは…?
「ほ、本当に私なんかでいいんですか…?」
「あー?んなの嬢ちゃんだから誘ってんだろ?で、どうすんだ?」
正直どう答えたのかあまり覚えてない
「まあ絵が出来てからでいいからよ、詳しいことはまた話そうや」
じゃあな、と最後に頭を人撫でしてランサーさんは去って行った
これは夢か?