短編
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「う…?」
背中の痛みで目が覚める
寝ぼけ眼で当たりを見回すと真っ白い部屋の床に雑魚寝した状態だった
そりゃ体の至る所が痛いはずだ
「やっと起きたか」
「……?」
背後からかかる声に振り返ると片膝を立てて座りこんだランサーのクー・フーリンがそこに居た
確かに私は昨日自室のベッドで寝たはずだし、そこに彼は居なかったと思う
「えっと…いまいち状況がわかんないんですけど…ここは?」
「さあな、誰がどうやったか知らんがどうやら俺たちはこの部屋に閉じ込められたらしいぜ」
「えぇ…なんでそんな…」
首を傾げているとカシュン、と何かの開く音が聞こえてきた
閉じられた扉の上に出てきた文字を見て言葉を失った
【一緒に寝ないと出られない部屋】
「「……」」
いや、なにこれ
いつの間に置かれていたのか、キングサイズのベッドまで用意されている
「だってよ、ヤるか」
「まてマテ待て、ちょっ、一旦落ち着きましょ?」
「俺は落ち着いてるが?」
なぜ私と彼なのか
そりゃ同じカルデアにいるから時々廊下ですれ違ったり食堂で見かけたりはするけど、彼は私のことなど知らないだろうし……
大体こういうのは彼のマスターである立香ちゃんとかの方がいいのでは…?いや、自分でも最低なこと言ってるのはわかるけど
「ていうかヤるってなんですか!?指示通り素直に"寝る"だけでいいでしょ!?」
「あ?一緒に寝るってのはそういうことだろ?」
「なんでそうなるんです…ていうかよく知りもしない相手にそんな軽く…その、嫌じゃないんですか?」
こんな事になって混乱してはいるが私は別に嫌というわけではない
こういうことがなければ一生関わることなど無いであろう憧れの大英雄とこうして会話が出来ているのだから
けど一方的な感情というもの程厄介なものはない
あまり近づきすぎると抑えが効かなくなるし
「そうさなぁ、あんま関わりは無いが知らないなんてことは無いぜ」
俺が気づいてないとでも思ったか?
全てを見透かすような赤い目で見下ろされ息が止まる
「いっつも熱い視線送りやがって、そのくせこっちから行けば逃げるんだもんな」
「まっ、はっ!?」
「俺もあんたとは話してみたかったしよ、俺好みの顔に俺好みの性格ときた、この状況利用して抱いちまおうってこった」
私は今何を聞かされているのだろうか
ずっと秘密にしておきたかったのに本人にバレてしまっていた
それに抱い…いやいや
「正気ですか!?い、いくら好意を持っていようと互いに初めて会話したような相手とは無理です!断固拒否します!!」
「頭の固ぇ野郎だな、いいじゃねえか別に」
「い や で す!」
それから扉を開けようと奮闘したもののビクともしない
どうやら指示通り寝ないと本当に出れないらしい
「いいですか、この枕の境界線からこっち側が私の陣地です。入ったら如何なる手を使っても強制退去してやりますからね」
「わぁったわぁった、おっかねーな」
結局2人で用意されたベッドに入ることになった
せめてもの抵抗で端っこのギリギリまで寄って背中を向けた
そうしないと私の心臓も持たない
無理やり寝ようと目を瞑ったところで「なあ」と声が掛かる
振り返らずになんですか?と聞き返した
「さっきのアレはそれなりに仲良くなりゃ抱いていいってことだよな?」
「それなりにって……そりゃ段階踏んで互いの了承を得ればいいんじゃないですか…?」
「そうか、確かに聞いたぜ」
「…?とにかく早く帰りたいので寝ますよ」
目が覚めると何事も無かったのように扉は開いていた
(犯人はなんとなくわかるので割愛する)
これで元通りかと思いきやそうは行かなかった
「よう名前、一緒に食おうぜ」
「……まあ、いいですよ」
こうして何かと彼と話すようになった
…のは嬉しいのだが
「で?そろそろいいか?いつまで待たせんだ?」
「やっ……ぱりそれですか!!」
こうして毎日のように誘ってくるようになった
この攻防は私が折れるまで続いた