長編
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あの後変な爺さんはアシリパちゃんの和名を聞いてきたけど杉元さんもその存在を初めて知ったらしく
当の本人は夢の中に入ってしまってるため結局わからないままだった
その後知人の話をしたと思えばヨチヨチと帰っていった
「あの爺さん一人で大丈夫かな?送って行った方が良さそう?」
「来る時も一人だったんだから大丈夫だろう」
今は無事朝を迎えコタンに帰る最中だ
私達の持ってる刺青人皮は五人分
それ以外で確認しているのは鶴見中尉の着ている一枚だ
あとは土方歳三が囚人を集めて仲間にしてる可能性もあるらしいからそこも視野に入れとかなきゃだ
「土方歳三ってどんな人なの?」
「とても70を超えてるようには見えねぇ…人魚の肉でも食ったんじゃないかと言われてたよ」
人魚、とは上半身が人間で下半身が魚のバケモノのことらしい
八百比丘尼っていう伝説があるけど、一人残されたまま生き続けるなら不老不死ってのも考えものだよね
コタンに帰る道すがらオヒョウの木の皮をはいだ
雪の下から花が咲いていたり春の訪れを感じた
「私達はイトウの花と呼んでいる」
「イトウも結構美味いらしいな」
この花が咲くとイトウが川を登ってくる合図らしい
そうと決まれば狩の時間だ
「私は何をすればいい?」
「(名前)ちゃんヨダレ出てるよ」
ラウォマプって罠で捕れるらしいのだが…
「どんなに大きなラウォマプでも…イワン・オンネチェプ・カムイは捕れないんだろうな」
「なんだい?それは」
イトウは大きくなると七尺(約2m)を超えるという
川に落ちた子供を飲み込んだという話もあるらしい
その昔、然別湖を泳いで逃げたヒグマが水面から消えたので見に行くと巨大なイトウがいて、口からクマの前足が見えてたそうだ
そのイトウは25間(約45m)はあったという
それがイワン・オンネチェプ・カムイだ
「25間…!?」
「だからヨダレヨダレ」
川沿いを進みながら話していると釣り場に人影を見つけた
白石さんが言うにはその男が獲ってるのが今まさに話しに出ていたイトウではないかとのこと
すると何かに気づいたのかアシリパちゃんが声を出した
「キロランケニシパ!」
「アシリパか?」
どうやらアシリパちゃんの知り合いらしい
なんでも父の昔の友人なんだとか
「なあアンタ、そのイトウ一匹分けてくれよ!飴と交換でどうだい?」
「正気?」
一体どれほどの飴を渡すのか、まず魚一匹相当の飴持ってるのかなこの人
「こっちに来て自分で獲ったらいい」
そう言ってキロランケさんはタモ網を貸してくれた
テシというヤナギの枝を編み込んでせき止められた魚を網ですくいとればいいらしい
「面倒だな」
「がんばれよ」
「白石さんでもできるって」
バキャッと音を立てて足場が崩れた
その拍子に白石さんの体は川にドボンする
「何やってんだこのバカは」
「ここまできたら奇跡だね、さすが」
アシリパちゃんが火を起こしに行き、私は杉元さんと白石さんを助けに近寄った
「ここすげえ深い!助けて冷たい!!」
「こっちに捕まれ役立たず」
「あんま暴れると余計に溺れ…」
突然川の中に引きずり込まれたかと思えば白石さんは大きな魚影に吸い込まれてしまった
「ぎゃぁぁあーーああ!!」
「イワンオンネチェプカムイだッ!」
「白石が食われた〜〜〜っ!」
キロランケさんがすぐさま助けに行ってくれたけど…
熊をも食べたと言われる程だから……
「白石さんのことは忘れない…」
感傷に浸っているとキロランケさんが自身の倍のイワンオンネチェプカムイと一緒に戻ってきた
「シライシはどうなった!?」
打ち上げられた魚に駆け寄れば口から白石さんの上半身がはみ出していて、なんとか生きていることが確認できた
「人魚だ」
「うわぁ…見たくなかった」
当の本人は夢の中に入ってしまってるため結局わからないままだった
その後知人の話をしたと思えばヨチヨチと帰っていった
「あの爺さん一人で大丈夫かな?送って行った方が良さそう?」
「来る時も一人だったんだから大丈夫だろう」
今は無事朝を迎えコタンに帰る最中だ
私達の持ってる刺青人皮は五人分
それ以外で確認しているのは鶴見中尉の着ている一枚だ
あとは土方歳三が囚人を集めて仲間にしてる可能性もあるらしいからそこも視野に入れとかなきゃだ
「土方歳三ってどんな人なの?」
「とても70を超えてるようには見えねぇ…人魚の肉でも食ったんじゃないかと言われてたよ」
人魚、とは上半身が人間で下半身が魚のバケモノのことらしい
八百比丘尼っていう伝説があるけど、一人残されたまま生き続けるなら不老不死ってのも考えものだよね
コタンに帰る道すがらオヒョウの木の皮をはいだ
雪の下から花が咲いていたり春の訪れを感じた
「私達はイトウの花と呼んでいる」
「イトウも結構美味いらしいな」
この花が咲くとイトウが川を登ってくる合図らしい
そうと決まれば狩の時間だ
「私は何をすればいい?」
「(名前)ちゃんヨダレ出てるよ」
ラウォマプって罠で捕れるらしいのだが…
「どんなに大きなラウォマプでも…イワン・オンネチェプ・カムイは捕れないんだろうな」
「なんだい?それは」
イトウは大きくなると七尺(約2m)を超えるという
川に落ちた子供を飲み込んだという話もあるらしい
その昔、然別湖を泳いで逃げたヒグマが水面から消えたので見に行くと巨大なイトウがいて、口からクマの前足が見えてたそうだ
そのイトウは25間(約45m)はあったという
それがイワン・オンネチェプ・カムイだ
「25間…!?」
「だからヨダレヨダレ」
川沿いを進みながら話していると釣り場に人影を見つけた
白石さんが言うにはその男が獲ってるのが今まさに話しに出ていたイトウではないかとのこと
すると何かに気づいたのかアシリパちゃんが声を出した
「キロランケニシパ!」
「アシリパか?」
どうやらアシリパちゃんの知り合いらしい
なんでも父の昔の友人なんだとか
「なあアンタ、そのイトウ一匹分けてくれよ!飴と交換でどうだい?」
「正気?」
一体どれほどの飴を渡すのか、まず魚一匹相当の飴持ってるのかなこの人
「こっちに来て自分で獲ったらいい」
そう言ってキロランケさんはタモ網を貸してくれた
テシというヤナギの枝を編み込んでせき止められた魚を網ですくいとればいいらしい
「面倒だな」
「がんばれよ」
「白石さんでもできるって」
バキャッと音を立てて足場が崩れた
その拍子に白石さんの体は川にドボンする
「何やってんだこのバカは」
「ここまできたら奇跡だね、さすが」
アシリパちゃんが火を起こしに行き、私は杉元さんと白石さんを助けに近寄った
「ここすげえ深い!助けて冷たい!!」
「こっちに捕まれ役立たず」
「あんま暴れると余計に溺れ…」
突然川の中に引きずり込まれたかと思えば白石さんは大きな魚影に吸い込まれてしまった
「ぎゃぁぁあーーああ!!」
「イワンオンネチェプカムイだッ!」
「白石が食われた〜〜〜っ!」
キロランケさんがすぐさま助けに行ってくれたけど…
熊をも食べたと言われる程だから……
「白石さんのことは忘れない…」
感傷に浸っているとキロランケさんが自身の倍のイワンオンネチェプカムイと一緒に戻ってきた
「シライシはどうなった!?」
打ち上げられた魚に駆け寄れば口から白石さんの上半身がはみ出していて、なんとか生きていることが確認できた
「人魚だ」
「うわぁ…見たくなかった」
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