「急げ急げ！もっと漕ぐんだ杉元！」

「なんで俺たちが…」



ところ変わって海の上
海岸に辿り着いた時はみんなでおててをつないで飛んで喜んだ

漁師以外にニシンをその場で加工する人間もいるから今回私達が探す囚人、辺見和雄という男はその中に紛れている可能性が高い
とのことでニシン漁場に行こうと言う話になった

が、アシリパちゃんの叔父さんに連れられクジラ漁に参加することになった



「私もアシリパちゃん達の船が良かった…」

白石さん頼りないし

「え〜、名前ちゃんそれどういう意味〜？」



アシリパちゃんと杉元さん、白石さんと私とで二手に別れて船に乗ったはいいけど…
戦力的に差がありすぎでは？

なんて残念がっていると海面からクジラが顔を出す


「首の皮膚が柔らかいからそこを狙え！」

「どこが首かわかんねえよ」


先に毒を塗った槍に縄を繋げ船で引っ張るらしい
見事三本の槍がクジラに命中


「うおぉっすげえ勢いで引っ張り出した！」

「ぅわっぷ！ちょ、白石さん重い！」



海に落ちてしまえば冷たさで死んでしまう可能性もある


「って、やばい！これあそこの漁船に向かってない！？」

「オーイ！突っ込むぞ！」



必死の忠告も虚しく、一人の漁師が落ちてしまった
早く引き上げないと死んでしまう…！

漁船は大きいから引き上げたとしても低体温症で死んでしまうかもしれない
ということで杉元さん達の船で助ける事になった



「白石！名前！！頼んだぞ！クジラの分け前をしっかり貰ってこい！」

「えぇぇっぶ」

「任せとけ！杉元さん達も気をつけてね！」


弱音を吐く白石さんの口を抑えてガッツポーズで見送る
縄を切った船はどんどん離れていく



「いつまで乗ってりゃいいんだ！？」

「フンペ(鯨)が毒で弱まるまでだ！」


と言っても長いと二日かかる場合もあるらしい
自分で岸に突っ込むというのもあるが、それは運試しだ


「帰っていい！？」

「ダメに決まってるでしょ！白石さんはクジラ食べたくないのかーッッ！？」

「名前ちゃんのその食への執着何ぃ〜？」