改造の土台
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大総統就任パーティーが行われ、軍人達が会場に集まっていた。
人造人間の大総統はマスタング隊の手によって亡き者にされ、新たな大総統にはグラマン元将軍が就任。
グラマン将軍の計らいでロイを始めとする、マスタング隊に処分は下らなかった。
ロイはすべて自分が責任を取るつもりだったので驚いた。
だが、グラマン将軍には敵わずに丸め込まれてしまった。
(…これからどうするべきなんだろう。
グラマン将軍が、今は大総統か。
改革もしていて…
私が大総統にならなくともいいみたいだし、軍を辞めてもいいかもしれん。
あんだけ野望と言ってたのにな。
少し飲み過ぎたかもしれん)
グラスのワインを見つめ、ロイは苦笑いした。
(結局、未だに誰1人として部下を取り戻せていない。
中尉はもちろん、異動させられたまま…)
グラマン大総統の側にいるリザを見つめ、すぐに目を反らした。
(‥‥私なんかといるよりも安全だし。
ほかの部下達は心配だが。
こんな時にアイツが居たら、どう言われるのだろうか)
そう思っても唯一の親友はもういない。
信頼していた仲間を奪われ、ロイの心はボロボロだった。
上官からの妬みの嫌味に自分を信頼しない陰口ばかり言う部下、こんな環境で仕事をしていてストレスが溜まらないはずもない。
(…東方司令部に戻りたい。
中央司令部に居たってもう意味がない)
視線を落とし、ロイは会場から出て行く。
「…気になる?」
「えっ?」
「マスタングくんのこと。
彼、限界みたいだね。
いつから笑ってないだろうね?」
「…大総統?」
「彼の笑顔、ワシは結構好きなんだけどね。
中央司令部に異動して来てから、心が休まらないんだろうね」
(そういえば‥‥)
無表情のことが多くなったとリザは気づいた。
側に居れないと気づいてあげれず、リザは悔やんだ。
「リザ、マスタングくんのところに戻りたい?」
「それは‥‥。
私は命令に従うまでです」
「君の本心は?」
「………。」
困惑したように黙り込んだ。
グラマン大総統がマイクの前に立つと、話し声が止んで静まり返る。
不思議なくらいに言葉が耳に入って来ず、ロイはぼんやりとしていた。
「ロイ・マスタング大佐」
「はっ、はい!」
突然名前を呼ばれ、ハッとした。
「こちらに」
「…はい」
何を言われるんだろうと思いつつ、前に行く。
会場はザワつき、好奇な視線が痛いくらいだ。
「ロイ・マスタング大佐、君の活躍がなければこの国はどうなっていたか分からん。
化け物が飛ばした部下達を君に返そう」
「…っ!?」
驚きでロイは目を見開く。
「部下達も君もそれを望んでいる。
そして、大佐から中将に昇進」
「ま、待ってください!
私は昇進させてもらうようなことは…」
「君が昇進を受け入れないなら、ワシは大総統を辞める」
「なっ!?」
「大総統!
なに脅しているんですか!!」
そのやりとりに軍人達は唖然とする。
(…なるほど。
私は何を馬鹿なことを考えていたのだろう)
ロイは口元を緩め、久々に笑みが溢れた。
グラマン大総統は満足そうに笑う。
「君が引き受けてくれないと、困るんだよね。
ワシは次の大総統の椅子には君を座らせるつもりだから。
ワシはあの化け物みたいにずっと居座ってるつもりもないし」
「はっ、はい?」
「君は大総統になりたいんでしょう?
改革するにも君の考えは甘いからワシが土台を作ってあげるよ」
その問題発言に会場はザワつく。
次期大総統までも決まってしまったのだから。
ちなみにグラマン大総統が言ってる化け物とは人造人間だったキングのことだ。
「仮にも前大総統を化け物と言うのは…」
「化け物でしょ?
ねぇ、マスタングくん」
「…化け物というよりは醜い人間の皮を被った悪魔ですね。
本音を言えば、炭になるまで焼き殺したかったですよ。
でも、それは私の感情に過ぎません」
ロイから殺気が放たれ、それほどに奪われた仲間が大切なのだろう。
それを引き止めたのも、また仲間だった。
ロイから殺気は嘘のように消えた。
「大総統、引き受けさせてもらいます。
ですが、中尉は貴方の元に置いといてください」
「大佐‥‥」
「中尉は私の実力で取り返したいので。
必要な時には貸して頂きますが…」
「よかろう」
ロイはリザを見て微笑んだ。
「もうしばらく待っていてくれ、中尉」
「はい」
「心配しなくても毎日呼んであげるから安心していいよ。
仕事はマスタングくんがするんだし」
「「はい!!?」」
「だって、忙しいのは嫌だし。
大総統になる前の練習だと思って」
「…東方司令部の時とは違うと思うんですが」
「大丈夫、責任はワシが取るから」
一生この人には敵わないだろうとロイは悟った。
「中尉‥‥更に振り回される気がするのは気のせいだろうか」
「いえ、同感です」
顔を見合わせ、ロイとリザはため息をついた。
人造人間の大総統はマスタング隊の手によって亡き者にされ、新たな大総統にはグラマン元将軍が就任。
グラマン将軍の計らいでロイを始めとする、マスタング隊に処分は下らなかった。
ロイはすべて自分が責任を取るつもりだったので驚いた。
だが、グラマン将軍には敵わずに丸め込まれてしまった。
(…これからどうするべきなんだろう。
グラマン将軍が、今は大総統か。
改革もしていて…
私が大総統にならなくともいいみたいだし、軍を辞めてもいいかもしれん。
あんだけ野望と言ってたのにな。
少し飲み過ぎたかもしれん)
グラスのワインを見つめ、ロイは苦笑いした。
(結局、未だに誰1人として部下を取り戻せていない。
中尉はもちろん、異動させられたまま…)
グラマン大総統の側にいるリザを見つめ、すぐに目を反らした。
(‥‥私なんかといるよりも安全だし。
ほかの部下達は心配だが。
こんな時にアイツが居たら、どう言われるのだろうか)
そう思っても唯一の親友はもういない。
信頼していた仲間を奪われ、ロイの心はボロボロだった。
上官からの妬みの嫌味に自分を信頼しない陰口ばかり言う部下、こんな環境で仕事をしていてストレスが溜まらないはずもない。
(…東方司令部に戻りたい。
中央司令部に居たってもう意味がない)
視線を落とし、ロイは会場から出て行く。
「…気になる?」
「えっ?」
「マスタングくんのこと。
彼、限界みたいだね。
いつから笑ってないだろうね?」
「…大総統?」
「彼の笑顔、ワシは結構好きなんだけどね。
中央司令部に異動して来てから、心が休まらないんだろうね」
(そういえば‥‥)
無表情のことが多くなったとリザは気づいた。
側に居れないと気づいてあげれず、リザは悔やんだ。
「リザ、マスタングくんのところに戻りたい?」
「それは‥‥。
私は命令に従うまでです」
「君の本心は?」
「………。」
困惑したように黙り込んだ。
グラマン大総統がマイクの前に立つと、話し声が止んで静まり返る。
不思議なくらいに言葉が耳に入って来ず、ロイはぼんやりとしていた。
「ロイ・マスタング大佐」
「はっ、はい!」
突然名前を呼ばれ、ハッとした。
「こちらに」
「…はい」
何を言われるんだろうと思いつつ、前に行く。
会場はザワつき、好奇な視線が痛いくらいだ。
「ロイ・マスタング大佐、君の活躍がなければこの国はどうなっていたか分からん。
化け物が飛ばした部下達を君に返そう」
「…っ!?」
驚きでロイは目を見開く。
「部下達も君もそれを望んでいる。
そして、大佐から中将に昇進」
「ま、待ってください!
私は昇進させてもらうようなことは…」
「君が昇進を受け入れないなら、ワシは大総統を辞める」
「なっ!?」
「大総統!
なに脅しているんですか!!」
そのやりとりに軍人達は唖然とする。
(…なるほど。
私は何を馬鹿なことを考えていたのだろう)
ロイは口元を緩め、久々に笑みが溢れた。
グラマン大総統は満足そうに笑う。
「君が引き受けてくれないと、困るんだよね。
ワシは次の大総統の椅子には君を座らせるつもりだから。
ワシはあの化け物みたいにずっと居座ってるつもりもないし」
「はっ、はい?」
「君は大総統になりたいんでしょう?
改革するにも君の考えは甘いからワシが土台を作ってあげるよ」
その問題発言に会場はザワつく。
次期大総統までも決まってしまったのだから。
ちなみにグラマン大総統が言ってる化け物とは人造人間だったキングのことだ。
「仮にも前大総統を化け物と言うのは…」
「化け物でしょ?
ねぇ、マスタングくん」
「…化け物というよりは醜い人間の皮を被った悪魔ですね。
本音を言えば、炭になるまで焼き殺したかったですよ。
でも、それは私の感情に過ぎません」
ロイから殺気が放たれ、それほどに奪われた仲間が大切なのだろう。
それを引き止めたのも、また仲間だった。
ロイから殺気は嘘のように消えた。
「大総統、引き受けさせてもらいます。
ですが、中尉は貴方の元に置いといてください」
「大佐‥‥」
「中尉は私の実力で取り返したいので。
必要な時には貸して頂きますが…」
「よかろう」
ロイはリザを見て微笑んだ。
「もうしばらく待っていてくれ、中尉」
「はい」
「心配しなくても毎日呼んであげるから安心していいよ。
仕事はマスタングくんがするんだし」
「「はい!!?」」
「だって、忙しいのは嫌だし。
大総統になる前の練習だと思って」
「…東方司令部の時とは違うと思うんですが」
「大丈夫、責任はワシが取るから」
一生この人には敵わないだろうとロイは悟った。
「中尉‥‥更に振り回される気がするのは気のせいだろうか」
「いえ、同感です」
顔を見合わせ、ロイとリザはため息をついた。