透明な音色
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マダムが知るはずもないのに話すなんてもう酔ったかなとロイは苦笑いする。
「…その人達の髪色は?」
「えっ?
あぁ、男性の方は私と同じ黒髪。
女性は栗色のパーマが掛かったような胸辺りまである長い髪だった」
「‥‥それはあんたの両親だ」
「えっ!!?」
ロイの両親は幼少期に亡くなり、ロイは両親の記憶がない。
幼い頃に“僕は愛されていたの?”と聞いてマダムを驚かせたくらいだった。
今のように感情が豊かではなく、無表情が多かった。
士官学校でヒューズに出会い、ロイは変わった。
「両親…?
それでは、あれは‥‥」
「あんたの忘れた記憶だろうな」
「そっ、か…
あれが私の両親‥‥」
泣きそうになり、ロイは涙を堪えた。
ウィスキーを飲み、カウンターで酔い潰れた。
「まったく、誰が運ぶって言うんだい。
…今日くらいは大目に見てやるか」
「マダム、ロイさんの御両親って…」
「亡くなったよ、ロイ坊が幼少期にね。
両親の記憶が何もないんだよ。
愛された証も…
だから、尚更、嬉しいんだろうね。
自分が愛されていた証拠の記憶が…」
眠っているロイを見つめた。
連絡を受けてリザが店にやって来た。
「大佐、大佐っ!
起きてください!!
家に帰りますよ」
「ん~…君は?」
「大佐を送ったら帰ります」
「‥‥泊まって行かないの?」
「何を言ってるんですか」
「君が泊まらないなら帰らない」
「何を子供みたいなことを…」
「あの夢、記憶だった。
君の言ってることは当たってたよ」
「…そうですか。
分かりました、泊まりますから」
「よし、帰ろう」
酔い潰れていた形跡もなく、ロイは立ち上がる。
「大佐‥‥騙しましたね?」
「騙すなんて人聞きの悪い。
それに、酔い潰れたなんて私からは言ってないが?」
リザは言葉が出ず、不機嫌そうにロイを見る。
「そんなに見つめるならキスするが?」
「大佐、いい加減に…っ」
「ご馳走様##4X##」
素早くキスし、ロイは楽しそうに笑う。
「‥‥もう。
あなたという人は」
「じゃあね、マダム。
これ、お勘定ね。
お釣りはいらないから」
リザの手をひいて店から出て行く。
「‥‥見せつけに来たのかい?ι」
その後ろ姿に思わず、呟いたマダムであった。
透き通るようなピアノの音色と共に蘇る幼少期の記憶…。
切なくも優しさが包み込む‥‥。
-END-
「…その人達の髪色は?」
「えっ?
あぁ、男性の方は私と同じ黒髪。
女性は栗色のパーマが掛かったような胸辺りまである長い髪だった」
「‥‥それはあんたの両親だ」
「えっ!!?」
ロイの両親は幼少期に亡くなり、ロイは両親の記憶がない。
幼い頃に“僕は愛されていたの?”と聞いてマダムを驚かせたくらいだった。
今のように感情が豊かではなく、無表情が多かった。
士官学校でヒューズに出会い、ロイは変わった。
「両親…?
それでは、あれは‥‥」
「あんたの忘れた記憶だろうな」
「そっ、か…
あれが私の両親‥‥」
泣きそうになり、ロイは涙を堪えた。
ウィスキーを飲み、カウンターで酔い潰れた。
「まったく、誰が運ぶって言うんだい。
…今日くらいは大目に見てやるか」
「マダム、ロイさんの御両親って…」
「亡くなったよ、ロイ坊が幼少期にね。
両親の記憶が何もないんだよ。
愛された証も…
だから、尚更、嬉しいんだろうね。
自分が愛されていた証拠の記憶が…」
眠っているロイを見つめた。
連絡を受けてリザが店にやって来た。
「大佐、大佐っ!
起きてください!!
家に帰りますよ」
「ん~…君は?」
「大佐を送ったら帰ります」
「‥‥泊まって行かないの?」
「何を言ってるんですか」
「君が泊まらないなら帰らない」
「何を子供みたいなことを…」
「あの夢、記憶だった。
君の言ってることは当たってたよ」
「…そうですか。
分かりました、泊まりますから」
「よし、帰ろう」
酔い潰れていた形跡もなく、ロイは立ち上がる。
「大佐‥‥騙しましたね?」
「騙すなんて人聞きの悪い。
それに、酔い潰れたなんて私からは言ってないが?」
リザは言葉が出ず、不機嫌そうにロイを見る。
「そんなに見つめるならキスするが?」
「大佐、いい加減に…っ」
「ご馳走様##4X##」
素早くキスし、ロイは楽しそうに笑う。
「‥‥もう。
あなたという人は」
「じゃあね、マダム。
これ、お勘定ね。
お釣りはいらないから」
リザの手をひいて店から出て行く。
「‥‥見せつけに来たのかい?ι」
その後ろ姿に思わず、呟いたマダムであった。
透き通るようなピアノの音色と共に蘇る幼少期の記憶…。
切なくも優しさが包み込む‥‥。
-END-