雨と仔猫
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空を見て大佐はため息をついた。
(…帰ったら怒られそうだな)
身震いし、クシャミが出た。
雨に濡れてこのままでは風邪をひくだろうと決意して飛び出す。
雨に混じり、鳴き声が聞こえ、大佐は立ち止まる。
汚れた段ボールが捨ててあり、そこには小さな命。
木の下に移動させ、大佐はコートを脱ぎ捨てた。
「すまない、飼ってはやれないから…
死ぬなよ?」
近場の店でミルクを買って与え、コートで少しは寒さと雨から守れるようにと段ボールに被せた。
安易に拾えないが、せめて今の自分に出来ることをした。
死なないようにと願いを込めて。
司令部に着いた頃は雨でビジョ濡れ。
「大佐っ!
どこに行って…っ」
「中尉‥‥」
「コートはどうしたんですか?」
「…なくした」
「とにかく、シャワーを浴びて着替えて来てください」
中尉は嘘だと気づいたが、追及はしなかった。
シャワーを浴び、予備の軍服に着替えた。
執務室に入ると自分よりも小さな可愛らしいクシャミが聞こえた。
「ん?」
振り向くと先程の段ボールを抱えたフュリーの姿。
「大佐、コーヒーをどうぞ」
「あ、あぁ…」
微かに動揺しながらも中尉からカップを受け取る。
「大佐、ちょっと失礼します」
「何だ?」
「前髪が跳ねていたので」
「あぁ、すまないね…」
(あんたらは夫婦か!?)
相変わらずの光景だが、思わずハボックはため息をつく。
「あら?
それは…」
「す、すみません…
雨の中にいたので‥‥」
「またなの?」
呆れたように中尉がフュリーを見る。
「すみません…
里親を探しますから!!」
「あら…?
そのコートは?」
ギクリと大佐は肩を揺らし、中尉達から離れて窓の外を見る。
「誰か知りませんが、コートを掛けてミルクを与えてくれたみたいで…
雨に濡れないように木の下に移動もさせてくれてたらしいです」
「これ、大佐のコートね」
「「えっ!!?」」
一斉に視線が大佐に向かう。
耐えきれずに大佐は目を反らす。
「コート、なくしたんではなかったんですか?」
「そ、それは…」
「優しいところがあるじゃないっスか」
からかうような口調に大佐は微かに頬を赤らめ、気まずそうにしていた。
「とりあえず、濡れた軍服同様にコートもクリーニングに出しときますよ。
コートは家に予備がありましたよね?」
「‥‥ハイ」
中尉には敵わず、結果的に認めた。
「別に助けようとした訳じゃないからな!!
鳴いてるし、死んだら可哀想だから…っ」
「はいはい、分かりましたよ」
「仕事するっ!」
逃げるように立ち去ろうとする大佐に追いかけるように段ボールから飛び出す。
トコトコと大佐の足元に行き、スリスリと甘える。
「あらあら、懐いてますね」
「‥‥っ‥」
「どうするんスか、大佐」
「飼ってもらえませんか?」
「う‥‥
いや、仕事が…」
「おとなしいみたいですから、連れて来ても構いませんよ」
「中尉~!」
「ほら、中尉公認ですから…」
「デートが‥‥」
「僕が預かります」
悲しそうな鳴き声が足元から聞こえる。
大佐はため息をつき、財布を取り出す。
「フュリー、仔猫に必要な一式を買って来い」
「はい!!」
大佐からお金を手渡され、嬉しそうな笑顔でフュリーが執務室から出て行った。
「まったく、慣れないことはするもんじゃないな…」
言葉とは裏腹にその声色は優しく、屈んで大佐は穏やかな微笑みを浮かべて仔猫をなでていた。
「中尉、蒸しタオルを用意してくれ。
仔猫の身体を拭いてやろう」
「はい」
クスッと笑い、中尉が執務室から出て行った。
「…寒いのか?」
「そのわりには震えてませんぜ?」
「ブレダ少尉、猫は平気なんですな」
「猫はいいんだ、猫は!」
ブレダの言葉に笑い出す。
「もしかして、ハボック少尉の煙草が原因では?
耳や鼻が人間の数倍も利くと言いますから…」
ファルマンの言葉に一理はあると、頷いてハボックに視線を送った。
文句を言いながらもハボックが煙草を揉み消した。
(…帰ったら怒られそうだな)
身震いし、クシャミが出た。
雨に濡れてこのままでは風邪をひくだろうと決意して飛び出す。
雨に混じり、鳴き声が聞こえ、大佐は立ち止まる。
汚れた段ボールが捨ててあり、そこには小さな命。
木の下に移動させ、大佐はコートを脱ぎ捨てた。
「すまない、飼ってはやれないから…
死ぬなよ?」
近場の店でミルクを買って与え、コートで少しは寒さと雨から守れるようにと段ボールに被せた。
安易に拾えないが、せめて今の自分に出来ることをした。
死なないようにと願いを込めて。
司令部に着いた頃は雨でビジョ濡れ。
「大佐っ!
どこに行って…っ」
「中尉‥‥」
「コートはどうしたんですか?」
「…なくした」
「とにかく、シャワーを浴びて着替えて来てください」
中尉は嘘だと気づいたが、追及はしなかった。
シャワーを浴び、予備の軍服に着替えた。
執務室に入ると自分よりも小さな可愛らしいクシャミが聞こえた。
「ん?」
振り向くと先程の段ボールを抱えたフュリーの姿。
「大佐、コーヒーをどうぞ」
「あ、あぁ…」
微かに動揺しながらも中尉からカップを受け取る。
「大佐、ちょっと失礼します」
「何だ?」
「前髪が跳ねていたので」
「あぁ、すまないね…」
(あんたらは夫婦か!?)
相変わらずの光景だが、思わずハボックはため息をつく。
「あら?
それは…」
「す、すみません…
雨の中にいたので‥‥」
「またなの?」
呆れたように中尉がフュリーを見る。
「すみません…
里親を探しますから!!」
「あら…?
そのコートは?」
ギクリと大佐は肩を揺らし、中尉達から離れて窓の外を見る。
「誰か知りませんが、コートを掛けてミルクを与えてくれたみたいで…
雨に濡れないように木の下に移動もさせてくれてたらしいです」
「これ、大佐のコートね」
「「えっ!!?」」
一斉に視線が大佐に向かう。
耐えきれずに大佐は目を反らす。
「コート、なくしたんではなかったんですか?」
「そ、それは…」
「優しいところがあるじゃないっスか」
からかうような口調に大佐は微かに頬を赤らめ、気まずそうにしていた。
「とりあえず、濡れた軍服同様にコートもクリーニングに出しときますよ。
コートは家に予備がありましたよね?」
「‥‥ハイ」
中尉には敵わず、結果的に認めた。
「別に助けようとした訳じゃないからな!!
鳴いてるし、死んだら可哀想だから…っ」
「はいはい、分かりましたよ」
「仕事するっ!」
逃げるように立ち去ろうとする大佐に追いかけるように段ボールから飛び出す。
トコトコと大佐の足元に行き、スリスリと甘える。
「あらあら、懐いてますね」
「‥‥っ‥」
「どうするんスか、大佐」
「飼ってもらえませんか?」
「う‥‥
いや、仕事が…」
「おとなしいみたいですから、連れて来ても構いませんよ」
「中尉~!」
「ほら、中尉公認ですから…」
「デートが‥‥」
「僕が預かります」
悲しそうな鳴き声が足元から聞こえる。
大佐はため息をつき、財布を取り出す。
「フュリー、仔猫に必要な一式を買って来い」
「はい!!」
大佐からお金を手渡され、嬉しそうな笑顔でフュリーが執務室から出て行った。
「まったく、慣れないことはするもんじゃないな…」
言葉とは裏腹にその声色は優しく、屈んで大佐は穏やかな微笑みを浮かべて仔猫をなでていた。
「中尉、蒸しタオルを用意してくれ。
仔猫の身体を拭いてやろう」
「はい」
クスッと笑い、中尉が執務室から出て行った。
「…寒いのか?」
「そのわりには震えてませんぜ?」
「ブレダ少尉、猫は平気なんですな」
「猫はいいんだ、猫は!」
ブレダの言葉に笑い出す。
「もしかして、ハボック少尉の煙草が原因では?
耳や鼻が人間の数倍も利くと言いますから…」
ファルマンの言葉に一理はあると、頷いてハボックに視線を送った。
文句を言いながらもハボックが煙草を揉み消した。