穏やかな休日
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ロイは宝石店で立ち止まる。
「リザ、ちょっと」
「どうしたの?」
「あのピアス、よくないか?
リザによく似合いそうだ」
「そんな、悪いわ。
あんな高いの付けられないわよ!」
「似合うかと思ったんだが…」
残念そうにロイはリザの耳に触れる。
「ロイ、くすぐったいわ」
「君が嫌がるなら諦めるよ。
また今度、記念日にでも贈るとしよう」
「‥‥もう」
何かと記念日と理由をつけてはプレゼントしているのだ。
記念日だからと言われて受け取らない訳にはいかない状態を作ればリザだって受け取るとロイは分かっているのだ。
すぐに遠慮してしまうリザの性格を分かってこその行動だ。
「少し休まないか?
随分と歩いたし」
「何だよ、もう疲れたのかよ」
「馬鹿者、私ではない。
ロックベル嬢、慣れない場所を歩き回って疲れただろう?
丁度喉が渇いたところだ。
あの店は紅茶が美味しいんだ」
「美味しいケーキもあるわよ」
「奢ってあげよう」
ロイとリザがよく行く喫茶店に入る。
ついでに少し遅めのランチにした。
「まったく、遠慮というものがないね」
「別にいいだろ。
奢りなら遠慮はしない!」
「ハボックといい勝負だな」
「よく食べるわりには背は伸びないけどね~」
「うるせぇ!
今から伸びるんだよ、今から!!」
「それ、去年も聞いたわよ」
「う゛…」
ウィンリィにまでからかわれる始末だ。
「でも、ケーキが本当に美味しい」
「でしょう?」
「紅茶も美味しいし、素敵ですね」
「ロイに連れて来てもらわなかったら私も知らなかったわ。
本当にこういう情報に関しては速いから」
「君がいるからだよ、リザ」
(ケーキ以上に甘い2人だわ。
でも、幸せそうでいいなぁ…)
ロイとリザを見てウィンリィは微笑む。
「ご馳走様でした。
今日は本当にありがとうございました」
「どういたしまして。
気をつけて帰るんだよ?」
「はい」
「私達も楽しかったわ。
ウィンリィちゃん、エドワードくん、またね」
「はいっ!」
「じゃあ、また」
手を振って別れた。
現在の時刻は午後3時。
意外と長く一緒に居たようだ。
「久々のデートだったのに、すまないね」
「構いませんよ。
本当に楽しかったですから。
息抜きになったし」
「そうか。
それなら良しとしよう。
また今度、デート出来るのはいつかな」
「…貴方の仕事次第ですよ」
「ははっ!
買い物して帰ろう。
ブラハが待ってるだろうから」
「そうですね」
「ブラハの土産も忘れずにな」
普段でもどうしても敬語が出てしまう。
ロイに言われて直そうとしているのだが、長年の癖はなかなか抜けない。
今はまだ敬語も抜けた方らしい。
名前を呼んでもらえるようになったのも随分と時間かかった。
最初はプライベートでも大佐と呼ばれ、次にマスタングさん、そして、ロイさんとなり、今はロイと呼ばれるようになった。
生活用品と共に夕食の食材を買う。
「歯みがき粉もなくなりそうだから買わないと」
「シャンプーは?」
「買い置きがまだあるから」
「そうか」
2人揃って休日の時はリザの家に泊まることが多い。
リザの部屋にはロイの用品も増えて来た。
予備の軍服も置いてあるくらいだ。
「今日の夕食は何がいいですか?」
「リザの手料理はどれもうまいからな。
君のお得意のビーフシチューはどうだい?
あの頃と変わらない懐かしい味を久しぶりに食べたい」
「そうね、最近は忙しくて外食で済ましていたものね」
あの頃とはロイが士官学校入学前に師匠の家で暮らしていたのを示している。
ブラックハヤテ号の土産も買って家路に着いた。
半同棲のような生活でもある。
「ブラハ、遅くなってごめんね」
「ただいま」
今ではすっかりブラックハヤテ号もロイに懐いていた。
ロイに買ってもらった洋服などを片付け、リザは料理する。
ロイはブラックハヤテ号と遊んで待っている。
「ブラハ、土産買って来たぞ。
うっわ! こ、コラ…っ」
ロイに飛び乗るブラックハヤテ号。
「ブラハ、ダメよ。
危ないでしょう?」
「くぅ~ん…」
「ロイもきちんと叱ってください。
あまり甘やかしてはダメです」
「だが、まだ子犬だぞ?」
「ダメです。
子犬の頃からきちんとしつけないと」
「わ、分かった。
気をつけるよ」
リザにロイは苦笑いする。
「料理中なのではなかったか?」
「あ…っ!!」
ハッとしてリザはキッチンに戻って行く。
「…自分が軍人だと忘れてしまいそうだよ。
なぁ、ブラハ」
ブラックハヤテ号を腕に抱き、優しく微笑んだ。
ブラックハヤテ号はまるでロイとリザの子供のようだ。
穏やかな休日は忙しい日々を忘れさせてくれる…。
些細なことが幸せだと想える‥‥。
-END-
「リザ、ちょっと」
「どうしたの?」
「あのピアス、よくないか?
リザによく似合いそうだ」
「そんな、悪いわ。
あんな高いの付けられないわよ!」
「似合うかと思ったんだが…」
残念そうにロイはリザの耳に触れる。
「ロイ、くすぐったいわ」
「君が嫌がるなら諦めるよ。
また今度、記念日にでも贈るとしよう」
「‥‥もう」
何かと記念日と理由をつけてはプレゼントしているのだ。
記念日だからと言われて受け取らない訳にはいかない状態を作ればリザだって受け取るとロイは分かっているのだ。
すぐに遠慮してしまうリザの性格を分かってこその行動だ。
「少し休まないか?
随分と歩いたし」
「何だよ、もう疲れたのかよ」
「馬鹿者、私ではない。
ロックベル嬢、慣れない場所を歩き回って疲れただろう?
丁度喉が渇いたところだ。
あの店は紅茶が美味しいんだ」
「美味しいケーキもあるわよ」
「奢ってあげよう」
ロイとリザがよく行く喫茶店に入る。
ついでに少し遅めのランチにした。
「まったく、遠慮というものがないね」
「別にいいだろ。
奢りなら遠慮はしない!」
「ハボックといい勝負だな」
「よく食べるわりには背は伸びないけどね~」
「うるせぇ!
今から伸びるんだよ、今から!!」
「それ、去年も聞いたわよ」
「う゛…」
ウィンリィにまでからかわれる始末だ。
「でも、ケーキが本当に美味しい」
「でしょう?」
「紅茶も美味しいし、素敵ですね」
「ロイに連れて来てもらわなかったら私も知らなかったわ。
本当にこういう情報に関しては速いから」
「君がいるからだよ、リザ」
(ケーキ以上に甘い2人だわ。
でも、幸せそうでいいなぁ…)
ロイとリザを見てウィンリィは微笑む。
「ご馳走様でした。
今日は本当にありがとうございました」
「どういたしまして。
気をつけて帰るんだよ?」
「はい」
「私達も楽しかったわ。
ウィンリィちゃん、エドワードくん、またね」
「はいっ!」
「じゃあ、また」
手を振って別れた。
現在の時刻は午後3時。
意外と長く一緒に居たようだ。
「久々のデートだったのに、すまないね」
「構いませんよ。
本当に楽しかったですから。
息抜きになったし」
「そうか。
それなら良しとしよう。
また今度、デート出来るのはいつかな」
「…貴方の仕事次第ですよ」
「ははっ!
買い物して帰ろう。
ブラハが待ってるだろうから」
「そうですね」
「ブラハの土産も忘れずにな」
普段でもどうしても敬語が出てしまう。
ロイに言われて直そうとしているのだが、長年の癖はなかなか抜けない。
今はまだ敬語も抜けた方らしい。
名前を呼んでもらえるようになったのも随分と時間かかった。
最初はプライベートでも大佐と呼ばれ、次にマスタングさん、そして、ロイさんとなり、今はロイと呼ばれるようになった。
生活用品と共に夕食の食材を買う。
「歯みがき粉もなくなりそうだから買わないと」
「シャンプーは?」
「買い置きがまだあるから」
「そうか」
2人揃って休日の時はリザの家に泊まることが多い。
リザの部屋にはロイの用品も増えて来た。
予備の軍服も置いてあるくらいだ。
「今日の夕食は何がいいですか?」
「リザの手料理はどれもうまいからな。
君のお得意のビーフシチューはどうだい?
あの頃と変わらない懐かしい味を久しぶりに食べたい」
「そうね、最近は忙しくて外食で済ましていたものね」
あの頃とはロイが士官学校入学前に師匠の家で暮らしていたのを示している。
ブラックハヤテ号の土産も買って家路に着いた。
半同棲のような生活でもある。
「ブラハ、遅くなってごめんね」
「ただいま」
今ではすっかりブラックハヤテ号もロイに懐いていた。
ロイに買ってもらった洋服などを片付け、リザは料理する。
ロイはブラックハヤテ号と遊んで待っている。
「ブラハ、土産買って来たぞ。
うっわ! こ、コラ…っ」
ロイに飛び乗るブラックハヤテ号。
「ブラハ、ダメよ。
危ないでしょう?」
「くぅ~ん…」
「ロイもきちんと叱ってください。
あまり甘やかしてはダメです」
「だが、まだ子犬だぞ?」
「ダメです。
子犬の頃からきちんとしつけないと」
「わ、分かった。
気をつけるよ」
リザにロイは苦笑いする。
「料理中なのではなかったか?」
「あ…っ!!」
ハッとしてリザはキッチンに戻って行く。
「…自分が軍人だと忘れてしまいそうだよ。
なぁ、ブラハ」
ブラックハヤテ号を腕に抱き、優しく微笑んだ。
ブラックハヤテ号はまるでロイとリザの子供のようだ。
穏やかな休日は忙しい日々を忘れさせてくれる…。
些細なことが幸せだと想える‥‥。
-END-