傷口と甘いキス
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執務室―――…
大佐は万年筆を机に置くと、窓の外を見つめる。
ノックの音がして、窓の外からドアに視線を移す。
『おはようございます、大佐』
「…あぁ、おはよう」
セルシアは毎朝、大佐の執務室に挨拶に来てくれる。
『………。』
セルシアは微かな大佐の声色に違和感を感じて首を傾げる。
「どうした?」
『あ、いえ‥‥』
さすがに大佐に聞く訳にもいかない。
きっと余程の理由がない限り、怒らずに笑って話してくれるだろうが。
ふと視線が窓の外に移り、セルシアは気づいた。
今日は曇り空で大佐が天気を気にしていることを。
『大佐、雨は降りませんよ』
「…そうか」
セルシアは大佐の机にコーヒーの入ったカップを置きながら言う。
ピクリと大佐が反応し、微笑む。
『‥‥っ‥』
大佐の笑顔にセルシアはドキッとしてしまう。
『この曇り空は一時的なものですから』
微かに頬を赤らめながら平常心を装う。
大佐はそれに気づき、口元を緩めながらもあえて何も言わない。
いつものようにセルシアの手作りお弁当を大佐はセルシアと2人で食べる。
「セルシアの言った通りだな」
昼頃には太陽を隠していた雲はなくなり、空は晴れていた。
大佐は晴れて上機嫌だった。
その様子にセルシアは微笑んでいた。
「な~んだ、晴れちゃってるな」
「…大佐が居たら燃やされてるぞ」
「それよりも、中佐に吹き飛ばされるかと…」
「ははっ、それは言えてるな」
ハボックが窓の外を見て残念そうに言うと、ブレダとフュリーに突っ込まれる。
「中尉も雨が降っていた方がいいんじゃないっスか?
大佐がさぼらなくて…」
「雨が降ると機嫌悪くなるから困るわ。
最近はさぼらないし、どちらでも。
そうね、最近は天候よりも中佐が居ない方が困るわ」
機嫌悪くなると言っても不機嫌そうに顔に出す訳ではない。
中尉の言葉に苦笑いを浮かべる。
マイナス面は目の前でイチャつかれてしまうくらいだろう。
執務室が甘い雰囲気になり、被害が出てはいるが。
どちらも上官なので文句は言えず。
今日はたいした事件も事故もなく、予定通り定時に帰れる。
手を繋いで大佐の家に2人で帰る。
毎日ではないが、セルシアは大佐の家で過ごすことが多い。
段々と大佐の家にセルシアの私物も増えてゆく。
家に帰り、互いに軍服から私服に着替えた。
『ロイさん。
夕食作りますけど、何か食べたいものはありますか?』
「野菜スープが食べたいな」
『分かりました』
「あとはセルシアに任せるよ」
『はい』
嬉しそうにセルシアは微笑み、キッチンに向かう。
手を洗い、愛用のエプロンを着た。
野菜の皮を剥いて切ってゆく。
「可愛いよ」
エプロン姿のセルシアを褒めるロイ。
セルシアは真っ赤になり、動揺してしまう。
『痛ッ…ι』
「セルシアっ!
切ったのか?」
手元が狂い、指を切ってしまう。
傷口はそんなに深くはないが、出血していた。
ロイはセルシアの腕を掴むと出血してる指を舐める。
『あ‥‥』
ロイの行動に恥ずかしくてセルシアは真っ赤になる。
「あっ、すまん…
つい‥‥
手当てが必要だな」
ロイも慌ててしまったらしく、少なからず動揺していた。
『あ、の…っ
大丈夫…です』
動揺しまくりで恥ずかしくてうまく喋れずにいた。
その様子を見てロイも照れてしまう。
「あ~、いや、ほら、なんだ…
手当てしないと!」
ロイまでもうまく喋れなくなってしまう始末だ。
『「………。」』
沈黙が続く中、ロイに手当てされていた。
「本当にすまなかった」
『大丈夫です』
「だが…」
クイッとロイの服を軽く引っ張る。
『‥‥キス』
「えっ…」
『キス、してくれたら…許します///』
頬を赤らめたまま、セルシアが上目遣いで見つめる。
「…君には敵わないな。
本当に可愛い」
『ん…っ』
抱き寄せられ、キスを交わす。
『ふっ、ァ…っ』
深まるキスにセルシアの口から甘い吐息が漏れる。
些細な甘い日常…。
恥ずかしくも幸せな時間‥‥。
-END-
2010.5.13
大佐は万年筆を机に置くと、窓の外を見つめる。
ノックの音がして、窓の外からドアに視線を移す。
『おはようございます、大佐』
「…あぁ、おはよう」
セルシアは毎朝、大佐の執務室に挨拶に来てくれる。
『………。』
セルシアは微かな大佐の声色に違和感を感じて首を傾げる。
「どうした?」
『あ、いえ‥‥』
さすがに大佐に聞く訳にもいかない。
きっと余程の理由がない限り、怒らずに笑って話してくれるだろうが。
ふと視線が窓の外に移り、セルシアは気づいた。
今日は曇り空で大佐が天気を気にしていることを。
『大佐、雨は降りませんよ』
「…そうか」
セルシアは大佐の机にコーヒーの入ったカップを置きながら言う。
ピクリと大佐が反応し、微笑む。
『‥‥っ‥』
大佐の笑顔にセルシアはドキッとしてしまう。
『この曇り空は一時的なものですから』
微かに頬を赤らめながら平常心を装う。
大佐はそれに気づき、口元を緩めながらもあえて何も言わない。
いつものようにセルシアの手作りお弁当を大佐はセルシアと2人で食べる。
「セルシアの言った通りだな」
昼頃には太陽を隠していた雲はなくなり、空は晴れていた。
大佐は晴れて上機嫌だった。
その様子にセルシアは微笑んでいた。
「な~んだ、晴れちゃってるな」
「…大佐が居たら燃やされてるぞ」
「それよりも、中佐に吹き飛ばされるかと…」
「ははっ、それは言えてるな」
ハボックが窓の外を見て残念そうに言うと、ブレダとフュリーに突っ込まれる。
「中尉も雨が降っていた方がいいんじゃないっスか?
大佐がさぼらなくて…」
「雨が降ると機嫌悪くなるから困るわ。
最近はさぼらないし、どちらでも。
そうね、最近は天候よりも中佐が居ない方が困るわ」
機嫌悪くなると言っても不機嫌そうに顔に出す訳ではない。
中尉の言葉に苦笑いを浮かべる。
マイナス面は目の前でイチャつかれてしまうくらいだろう。
執務室が甘い雰囲気になり、被害が出てはいるが。
どちらも上官なので文句は言えず。
今日はたいした事件も事故もなく、予定通り定時に帰れる。
手を繋いで大佐の家に2人で帰る。
毎日ではないが、セルシアは大佐の家で過ごすことが多い。
段々と大佐の家にセルシアの私物も増えてゆく。
家に帰り、互いに軍服から私服に着替えた。
『ロイさん。
夕食作りますけど、何か食べたいものはありますか?』
「野菜スープが食べたいな」
『分かりました』
「あとはセルシアに任せるよ」
『はい』
嬉しそうにセルシアは微笑み、キッチンに向かう。
手を洗い、愛用のエプロンを着た。
野菜の皮を剥いて切ってゆく。
「可愛いよ」
エプロン姿のセルシアを褒めるロイ。
セルシアは真っ赤になり、動揺してしまう。
『痛ッ…ι』
「セルシアっ!
切ったのか?」
手元が狂い、指を切ってしまう。
傷口はそんなに深くはないが、出血していた。
ロイはセルシアの腕を掴むと出血してる指を舐める。
『あ‥‥』
ロイの行動に恥ずかしくてセルシアは真っ赤になる。
「あっ、すまん…
つい‥‥
手当てが必要だな」
ロイも慌ててしまったらしく、少なからず動揺していた。
『あ、の…っ
大丈夫…です』
動揺しまくりで恥ずかしくてうまく喋れずにいた。
その様子を見てロイも照れてしまう。
「あ~、いや、ほら、なんだ…
手当てしないと!」
ロイまでもうまく喋れなくなってしまう始末だ。
『「………。」』
沈黙が続く中、ロイに手当てされていた。
「本当にすまなかった」
『大丈夫です』
「だが…」
クイッとロイの服を軽く引っ張る。
『‥‥キス』
「えっ…」
『キス、してくれたら…許します///』
頬を赤らめたまま、セルシアが上目遣いで見つめる。
「…君には敵わないな。
本当に可愛い」
『ん…っ』
抱き寄せられ、キスを交わす。
『ふっ、ァ…っ』
深まるキスにセルシアの口から甘い吐息が漏れる。
些細な甘い日常…。
恥ずかしくも幸せな時間‥‥。
-END-
2010.5.13