第⑥話
夢小説設定
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昼時なので軍の食堂は込んでいた。
それでもロイが食堂に来ると喋り声が止み、全員が立ち上がって敬礼する。
(慣れないな。
別に友達感覚になれとは言わないが…)
仕方ないことなのは分かってるが、ため息が漏れる。
「おまえが一緒だと席を探さなくて済むよな~」
「…ヒューズ」
わざと茶化してくるヒューズにロイは苦笑いする。
「悪い気がするな。
私が来ると気軽に喋らなくなるし」
「そこまで気にしてやる必要もないだろ。
おまえはいつもみたいに堂々としてりゃ、いいんだよ」
「…いつも堂々となんかしてない」
不満そうにヒューズを見ながらロイはヒューズの皿に野菜を移動させる。
「またか!!?」
「それ、嫌いなんだ」
子供みたいだとヒューズは笑う。
「そういや、鎧の錬金術師は活躍してるようだな。
巷でも噂らしいぞ。
見た目は少年の国家錬金術師ってな」
「…そうか」
ヒューズの言葉に口元を緩めた。
ロイから命じられ、鎧の錬金術師として私服に着替えてアルは町に事件の偵察に行くことがある。
もちろん補佐官とは内緒で事件を片付けてゆき、巷で鎧の錬金術師は鋼の錬金術師同様に有名になっていた。
「アルは知識もあって年齢のわりに冷静だし、司令官向きかもしれんな」
「寂しいんじゃねぇのか?」
「…いつかは手放さなければならない。
アルは錬金術もあるし、現場の活躍が期待されてる」
「まるで父親だな」
「うるさい」
不満そうにロイがヒューズを軽く睨む。
「大総統、お食事中にすみません。
大総統室に行ったら、こちらと言われたので。
頼まれていた書類を作成して持って来たのですが…」
「あぁ‥‥」
若い軍人から書類を受け取る。
ヒューズは階級を見ると下官で緊張してるのも納得だと頷く。
ロイの見ている書類を奪う。
「おい、ヒューズ」
「先に食事を済ませろ」
「…おまえは私の親か?」
「放っておいたら、いつまでも食事しないだろ。
…リザちゃんに士官学校でのことを話してもいいのか?」
「あとで取りに来てくれ」
「は、はい…」
微かに顔を歪め、ロイは食事を口にする。
世話好きのヒューズはロイのことが色々と心配らしく、お節介するのは毎度のこと。
その姿は保護者もしくは心配性な兄のようだと一部で噂になっている。
昼食が済むとヒューズを連れて司令部を歩き回る。
「おい、今度はどこに行くんだよ」
「資料室だ」
「…大総統室にいつになったら戻るんだ」
「補佐官だとこんなに行けないからな」
「まぁ、2人はおまえに関しては心配性だからな」
「知ってる。
だから、今見て回ってるんだろ」
(…俺を振り回してか?ι)
ヒューズはため息をつき、歩く度に書類が増えてゆく。
受け取った書類をロイがヒューズに手渡す結果が今の状態だ。
「…っと。
一旦戻るか」
「やっと戻る気になったか」
互いに振り回す意味ではロイとヒューズは似た者同士かもしれない。
長年の想いが故にすれ違う…。
強すぎる想いはまだ言葉にしない‥‥。
護衛役なので大総統室に送り届けても離れる訳にはいかない。
大総統室なので厳重な管理で護衛も扉前に立っているが、確実に安全とも言えない。
「ヒューズ、5枚目のやつを取ってくれ」
「はいはい。
俺はおまえを執事じゃねぇぞ」
「執事よりもメイドがいいな、私は」
「俺に女装しろってか?」
「ぶっ!!
気持ち悪いことを言うな!」
「うん、女装姿を想像したら自分でも気持ち悪かった」
「‥‥自分で想像をするなι」
言い合うようなやりとりをしながらもロイの視線は書類に向いている。
「これもダメか。
まったく、本当に使えない」
「また再提出か?」
「もちろん」
ロイが口元を緩め、ヒューズも微かに笑みを浮かべる。
上層部の歪んだ顔が脳裏に浮かぶ。
「若い軍人の方がまだ使え…」
「どうした?」
「ほぉ、若いのにしっかりした考えだ。
更に先を見ている。
この意見書、いいとは思わないか?
採用だな」
「どれどれ。
青臭い考えだが、悪くないな」
「…青臭い考えくらいが丁度いいんだろう?」
「青臭い考えがどの程度まで通用するかね。
おまえさんのようになるか、上層部に潰されるか」
「私が健在のうちは芽を潰させはしない」
書類を見て自然と笑みが溢れる。
それでもロイが食堂に来ると喋り声が止み、全員が立ち上がって敬礼する。
(慣れないな。
別に友達感覚になれとは言わないが…)
仕方ないことなのは分かってるが、ため息が漏れる。
「おまえが一緒だと席を探さなくて済むよな~」
「…ヒューズ」
わざと茶化してくるヒューズにロイは苦笑いする。
「悪い気がするな。
私が来ると気軽に喋らなくなるし」
「そこまで気にしてやる必要もないだろ。
おまえはいつもみたいに堂々としてりゃ、いいんだよ」
「…いつも堂々となんかしてない」
不満そうにヒューズを見ながらロイはヒューズの皿に野菜を移動させる。
「またか!!?」
「それ、嫌いなんだ」
子供みたいだとヒューズは笑う。
「そういや、鎧の錬金術師は活躍してるようだな。
巷でも噂らしいぞ。
見た目は少年の国家錬金術師ってな」
「…そうか」
ヒューズの言葉に口元を緩めた。
ロイから命じられ、鎧の錬金術師として私服に着替えてアルは町に事件の偵察に行くことがある。
もちろん補佐官とは内緒で事件を片付けてゆき、巷で鎧の錬金術師は鋼の錬金術師同様に有名になっていた。
「アルは知識もあって年齢のわりに冷静だし、司令官向きかもしれんな」
「寂しいんじゃねぇのか?」
「…いつかは手放さなければならない。
アルは錬金術もあるし、現場の活躍が期待されてる」
「まるで父親だな」
「うるさい」
不満そうにロイがヒューズを軽く睨む。
「大総統、お食事中にすみません。
大総統室に行ったら、こちらと言われたので。
頼まれていた書類を作成して持って来たのですが…」
「あぁ‥‥」
若い軍人から書類を受け取る。
ヒューズは階級を見ると下官で緊張してるのも納得だと頷く。
ロイの見ている書類を奪う。
「おい、ヒューズ」
「先に食事を済ませろ」
「…おまえは私の親か?」
「放っておいたら、いつまでも食事しないだろ。
…リザちゃんに士官学校でのことを話してもいいのか?」
「あとで取りに来てくれ」
「は、はい…」
微かに顔を歪め、ロイは食事を口にする。
世話好きのヒューズはロイのことが色々と心配らしく、お節介するのは毎度のこと。
その姿は保護者もしくは心配性な兄のようだと一部で噂になっている。
昼食が済むとヒューズを連れて司令部を歩き回る。
「おい、今度はどこに行くんだよ」
「資料室だ」
「…大総統室にいつになったら戻るんだ」
「補佐官だとこんなに行けないからな」
「まぁ、2人はおまえに関しては心配性だからな」
「知ってる。
だから、今見て回ってるんだろ」
(…俺を振り回してか?ι)
ヒューズはため息をつき、歩く度に書類が増えてゆく。
受け取った書類をロイがヒューズに手渡す結果が今の状態だ。
「…っと。
一旦戻るか」
「やっと戻る気になったか」
互いに振り回す意味ではロイとヒューズは似た者同士かもしれない。
長年の想いが故にすれ違う…。
強すぎる想いはまだ言葉にしない‥‥。
護衛役なので大総統室に送り届けても離れる訳にはいかない。
大総統室なので厳重な管理で護衛も扉前に立っているが、確実に安全とも言えない。
「ヒューズ、5枚目のやつを取ってくれ」
「はいはい。
俺はおまえを執事じゃねぇぞ」
「執事よりもメイドがいいな、私は」
「俺に女装しろってか?」
「ぶっ!!
気持ち悪いことを言うな!」
「うん、女装姿を想像したら自分でも気持ち悪かった」
「‥‥自分で想像をするなι」
言い合うようなやりとりをしながらもロイの視線は書類に向いている。
「これもダメか。
まったく、本当に使えない」
「また再提出か?」
「もちろん」
ロイが口元を緩め、ヒューズも微かに笑みを浮かべる。
上層部の歪んだ顔が脳裏に浮かぶ。
「若い軍人の方がまだ使え…」
「どうした?」
「ほぉ、若いのにしっかりした考えだ。
更に先を見ている。
この意見書、いいとは思わないか?
採用だな」
「どれどれ。
青臭い考えだが、悪くないな」
「…青臭い考えくらいが丁度いいんだろう?」
「青臭い考えがどの程度まで通用するかね。
おまえさんのようになるか、上層部に潰されるか」
「私が健在のうちは芽を潰させはしない」
書類を見て自然と笑みが溢れる。