第⑥話
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ロイはコーヒーで汚れた机を拭きながら口元を緩めた。
「ホークアイ」
「…はい」
「結婚しようか」
「何を馬鹿なことを。
貴方なら、もっと素晴らしい女性が沢山いるでしょう?」
「上辺だけの付き合いだ。
誰も本当の意味では私を見ていないよ。
それは私もだが…」
ロイは視線を遠くに移した。
「…大総統?」
「私が幸せになるなんてありえんだろう?
そんなことが許されるはずがない」
「………。」
リザは黙ってロイを見つめていた。
「そうそう、上層部から見合い写真を手渡されたんだが」
「はぁ!!?」
「…断らなかったんですか?」
「断る隙もなく渡されてなぁ。
必要ないだろうが、俺が持っててもゴミになるだけだし。
一応置いておくからさ」
見合い写真は束になって机にドサッと置かれた。
「…何を持っているかと思えば。
私もゴミ同然、それ以下なんだがな」
ため息をつき、ロイは見る様子もない。
書類に目を通して確認するとロイはサインをしてヒューズに手渡した。
見合い写真の束を手にすると、そのままゴミ箱に捨てた。
パチンッと指を鳴らし、ゴミ箱内で燃えていた。
「おいおい‥‥」
「大総統、いいのですか?」
「…君は私にこんなくだらない見合いをしろと言うのか?」
「あ、いえ、そんなつもりでは…」
「君は私が見合いしても何とも思わないのか?」
「私はただの補佐官です」
「‥‥ッ‥」
リザの言葉にロイは唇を噛み締めた。
「‥‥君はいつもそうやって。
肝心な時に逃げて私の欲しい言葉はくれないんだな」
「………。」
(いっつも私だけが本気で…
怒りさえ感じるよ。
自分に対して‥‥)
ロイは荒々しく立ち上がる。
「どちらに行かれるんですか?」
「…頭冷やして来るだけだ」
「‥‥そうですか。
危ないので護衛を」
「アルでいい」
言葉を聞かずにロイはアルの腕を掴んで大総統室から出て行く。
ヒューズは軽くため息をつく。
「リザちゃん、あいつも悪くないとは言えないけどさ、もう少し素直になったらどうだ?」
「…私は本当のことを言ったまでです」
「俺にはそうは見えないけどな。
あいつも限界なんじゃないか?
あいつの気持ちを分かってるなら、ハッキリ言えばいい。
ハッキリ言わないのはリザちゃんも同じ気持ちだからだろう?」
「違います!」
「まだあいつの言葉を受け入れない気か?
」
「………。」
(まったく、リザちゃんも頑固だね。
まぁ、考える時間を与えるか。
アルではさすがに役不足だろう)
ヒューズは大総統室から出て行く。
「やっぱり、ここにいたか」
「あ‥‥」
資料室の前でアルがウロウロしてると苦笑いしたヒューズの姿。
「あいつに1人にしてくれと言われたんだろう?
大丈夫、あとは任せな」
「…はい」
ヒューズは資料室のドアを開け、奥に入って行く。
「…ヒューズか」
「あんな風に言うくらいなら自分の気持ちを伝えればいいだろ」
「受け入れてくれないのに?
…私を憎んでいるんだろうか」
「そんな訳ないだろ?」
「‥‥私が彼女を巻き込んだんだ。
こんな想い、捨ててしまえばいい。
私はもう彼女のぬくもりさえ、望んではいけないんだ」
「ロイ‥‥」
その肩は微かに震えていた。
誰よりも大切な女性で隣にいて欲しいのに、そのすべてを拒否する。
受け入れられないのならば、その想いと共に望みも封じて心から捨てよう。
「ヒューズ、悪かったな」
「ロイっ!」
その瞳はとても悲しみが溢れていた。
アルと目が合うとヒューズは首を振った。
「アル、何かあれば俺のところに。
気まずいだろうが、頼んだ」
「…はい」
小声でアルに話しかけた。
「アル、戻ろうか。
仕事あるし」
「…はい」
アルは気まずいと言うよりも心配だった。
(どんなに愛しても彼女は私を受け入れてはくれない‥‥)
自分が腹立たしくて、そして、何よりもリザにとって自分はたいした存在ではないんだと悲しかった。
すれ違う想いがあり、大切すぎる存在が互いを傷つけ合う。
小さな嫉妬とすれ違いから、言いたくない言葉も言って傷つけてしまう。
「…あんなことを言うつもりではなかったのにな。
私は子供か。
言い訳している時点でそうなんだろう。
謝る隙も与えてはもらえないか」
「‥‥大総統」
「格好悪いところを見せてしまったな」
「そんなことありません。
人間は完璧ではありませんから、どんな大人だって嫉妬するのではないでしょうか。
それが愛する人なら尚更だと思います」
「そう、かも…しれんな。
子供の君に諭されるとは本当に情けない。
でも、ありがとう」
「…はい」
微かにロイは笑みを浮かべた。
「恋人でもないのに、私は何を言わせるつもりだったんだろうな。
想いを伝える前に、言ってもらおうなど馬鹿だ」
「振られてもいいじゃないですか」
「えっ…」
「振ったとしてもそれは補佐官として。
リザさんは大総統を…、いえ、マスタングさんを愛していると僕は思います。
貴方を見る瞳、リザさんは優しいです。
振られても諦めずに口説けばいい。
それでもダメなら卑怯かもしれませんが、大総統の権力を使えばいいんです。
作戦として権力を使うのもありではないでしょうか」
アルの言葉にロイは唖然とした。
アルからこんな言葉を言われるとは思ってもみなかった。
「僕は嘘を言いませんし、マスタングさんが悪いなら責めます。
でも、どちらが悪くても恋愛に関してなら本人達以外に口出しをするべきではないと思います」
「ははっ、随分と大人な考えだ」
「ヒューズさんが言っていました。
僕は当たり前ですけど恋らしい恋をしたことがありません。
でも、それでも本人達にしか分からないことがあると思います。
それは恋愛だけではなくて、家族や兄弟に仲間もそうです。
口に出さなければ分からないこともあるんですよ」
「そうだな、伝えなくてはならない。
アル、協力してくれるか?」
「仲直りしてくれるなら喜んで!」
ロイもリザもアルにとって、どちらも大切な家族みたいな存在だ。
「ホークアイ」
「…はい」
「結婚しようか」
「何を馬鹿なことを。
貴方なら、もっと素晴らしい女性が沢山いるでしょう?」
「上辺だけの付き合いだ。
誰も本当の意味では私を見ていないよ。
それは私もだが…」
ロイは視線を遠くに移した。
「…大総統?」
「私が幸せになるなんてありえんだろう?
そんなことが許されるはずがない」
「………。」
リザは黙ってロイを見つめていた。
「そうそう、上層部から見合い写真を手渡されたんだが」
「はぁ!!?」
「…断らなかったんですか?」
「断る隙もなく渡されてなぁ。
必要ないだろうが、俺が持っててもゴミになるだけだし。
一応置いておくからさ」
見合い写真は束になって机にドサッと置かれた。
「…何を持っているかと思えば。
私もゴミ同然、それ以下なんだがな」
ため息をつき、ロイは見る様子もない。
書類に目を通して確認するとロイはサインをしてヒューズに手渡した。
見合い写真の束を手にすると、そのままゴミ箱に捨てた。
パチンッと指を鳴らし、ゴミ箱内で燃えていた。
「おいおい‥‥」
「大総統、いいのですか?」
「…君は私にこんなくだらない見合いをしろと言うのか?」
「あ、いえ、そんなつもりでは…」
「君は私が見合いしても何とも思わないのか?」
「私はただの補佐官です」
「‥‥ッ‥」
リザの言葉にロイは唇を噛み締めた。
「‥‥君はいつもそうやって。
肝心な時に逃げて私の欲しい言葉はくれないんだな」
「………。」
(いっつも私だけが本気で…
怒りさえ感じるよ。
自分に対して‥‥)
ロイは荒々しく立ち上がる。
「どちらに行かれるんですか?」
「…頭冷やして来るだけだ」
「‥‥そうですか。
危ないので護衛を」
「アルでいい」
言葉を聞かずにロイはアルの腕を掴んで大総統室から出て行く。
ヒューズは軽くため息をつく。
「リザちゃん、あいつも悪くないとは言えないけどさ、もう少し素直になったらどうだ?」
「…私は本当のことを言ったまでです」
「俺にはそうは見えないけどな。
あいつも限界なんじゃないか?
あいつの気持ちを分かってるなら、ハッキリ言えばいい。
ハッキリ言わないのはリザちゃんも同じ気持ちだからだろう?」
「違います!」
「まだあいつの言葉を受け入れない気か?
」
「………。」
(まったく、リザちゃんも頑固だね。
まぁ、考える時間を与えるか。
アルではさすがに役不足だろう)
ヒューズは大総統室から出て行く。
「やっぱり、ここにいたか」
「あ‥‥」
資料室の前でアルがウロウロしてると苦笑いしたヒューズの姿。
「あいつに1人にしてくれと言われたんだろう?
大丈夫、あとは任せな」
「…はい」
ヒューズは資料室のドアを開け、奥に入って行く。
「…ヒューズか」
「あんな風に言うくらいなら自分の気持ちを伝えればいいだろ」
「受け入れてくれないのに?
…私を憎んでいるんだろうか」
「そんな訳ないだろ?」
「‥‥私が彼女を巻き込んだんだ。
こんな想い、捨ててしまえばいい。
私はもう彼女のぬくもりさえ、望んではいけないんだ」
「ロイ‥‥」
その肩は微かに震えていた。
誰よりも大切な女性で隣にいて欲しいのに、そのすべてを拒否する。
受け入れられないのならば、その想いと共に望みも封じて心から捨てよう。
「ヒューズ、悪かったな」
「ロイっ!」
その瞳はとても悲しみが溢れていた。
アルと目が合うとヒューズは首を振った。
「アル、何かあれば俺のところに。
気まずいだろうが、頼んだ」
「…はい」
小声でアルに話しかけた。
「アル、戻ろうか。
仕事あるし」
「…はい」
アルは気まずいと言うよりも心配だった。
(どんなに愛しても彼女は私を受け入れてはくれない‥‥)
自分が腹立たしくて、そして、何よりもリザにとって自分はたいした存在ではないんだと悲しかった。
すれ違う想いがあり、大切すぎる存在が互いを傷つけ合う。
小さな嫉妬とすれ違いから、言いたくない言葉も言って傷つけてしまう。
「…あんなことを言うつもりではなかったのにな。
私は子供か。
言い訳している時点でそうなんだろう。
謝る隙も与えてはもらえないか」
「‥‥大総統」
「格好悪いところを見せてしまったな」
「そんなことありません。
人間は完璧ではありませんから、どんな大人だって嫉妬するのではないでしょうか。
それが愛する人なら尚更だと思います」
「そう、かも…しれんな。
子供の君に諭されるとは本当に情けない。
でも、ありがとう」
「…はい」
微かにロイは笑みを浮かべた。
「恋人でもないのに、私は何を言わせるつもりだったんだろうな。
想いを伝える前に、言ってもらおうなど馬鹿だ」
「振られてもいいじゃないですか」
「えっ…」
「振ったとしてもそれは補佐官として。
リザさんは大総統を…、いえ、マスタングさんを愛していると僕は思います。
貴方を見る瞳、リザさんは優しいです。
振られても諦めずに口説けばいい。
それでもダメなら卑怯かもしれませんが、大総統の権力を使えばいいんです。
作戦として権力を使うのもありではないでしょうか」
アルの言葉にロイは唖然とした。
アルからこんな言葉を言われるとは思ってもみなかった。
「僕は嘘を言いませんし、マスタングさんが悪いなら責めます。
でも、どちらが悪くても恋愛に関してなら本人達以外に口出しをするべきではないと思います」
「ははっ、随分と大人な考えだ」
「ヒューズさんが言っていました。
僕は当たり前ですけど恋らしい恋をしたことがありません。
でも、それでも本人達にしか分からないことがあると思います。
それは恋愛だけではなくて、家族や兄弟に仲間もそうです。
口に出さなければ分からないこともあるんですよ」
「そうだな、伝えなくてはならない。
アル、協力してくれるか?」
「仲直りしてくれるなら喜んで!」
ロイもリザもアルにとって、どちらも大切な家族みたいな存在だ。