第④話
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リザは帰り道に遭遇した。
「リーザ!
偶然ね、休みだったんでしょう?」
「…休みにさせられたんだけどね」
「どっちでもいいじゃない。
買い物したの?」
「…そうよ」
東方時代の友人のレベッカと遭遇した。
「ねぇ、お茶しない?」
「いいわよ」
カフェに入ってお喋りする。
「それ、宝石店の…。
そういうことね」
「な、何よ?」
「大総統に貰ったんでしょう?」
「…最初は断ったんだけど」
「いいじゃない。
それにしても、大総統は真面目なのか不真面目なのか分からないわね」
「不真面目なのは偽りの姿ね。
あの人、元々は真面目なのよ」
「そうなの?」
「変わる必要があったのよ。
真面目なだけでは上には行けないから。
サボリ魔も偽りの姿よ。
1人では疑われるし、私も付き合っていたけど」
「…私も騙されてたって訳ね」
リザは苦笑いを浮かべた。
リザとヒューズ以外はロイの素顔に気づいてはいなかっただろう。
否、グラマン将軍は気づいてはいたかもしれない。
グラマン将軍も似たような者だから。
ロイは料理を作りながら考え込んでいた。
(こんなにゆっくり出来るのは今日だけかもしれないな。
また忙しい日々が続くだろう。
東方時代が懐かしく感じると同時に今もまた忙しくも充実を感じる。
自分の一言で国が動き、プレッシャーも大きいが…
やっと叶ったこの地位で国を変えてやる。
たとえ、この命を失うことになっても‥‥)
自分が亡くなれば悲しんでくれる人々が少なからずいるのは分かってるが、前々からこれは覚悟していた。
(リザ‥‥君をまた独りにしてしまうかもしれない。
ヒューズ、友の死を悲しんでくれるか?
それを分かっても私は決意するなんて酷い男かもしれんな。
アル‥‥君だけが心配だ。
君は優しすぎるから。
いや、特に心配だ。
リザもヒューズも、みんなが私にとっては大切な人々だから…)
決意が揺れそうになってしまう。
(生きたい、今はそう思ってる。
まだ大丈夫だ。
生きることを諦めた訳じゃない。
まだ死ぬ訳じゃない。
後悔しないように、今という時間を過ごそうじゃないか。
国を変えてやる、絶対に!!)
ロイの瞳に宿る炎は再び火力が増した。
ハッとしてロイは思考を停止した。
「…っと。
危ない、焦がすところだった」
苦笑いして火を止めた。
玄関のドアが開く音と共に足音が聞こえて来た。
(こういうのはいいな。
人の気配や温もりを感じられる生活。
どうやら、帰って来たようだな)
微かに口元が緩み、まるで父親みたいだと自分でも思った。
「ただいま帰りました、大総…じゃない。
マスタングさん」
「お帰り、アル」
「僕も手伝います」
「ありがとう。
まずは着替えておいで」
「はい」
「手洗いとうがいも忘れずにな」
「クスッ…お父さんみたいですね」
「…それを言うな」
クスクスと笑いながらアルが自室に戻って行く。
軍服から私服に着替え、手洗いとうがいも済ませてキッチンに向かう。
「マスタングさん、お手伝いします。
何を作っているんですか?」
「シチューだよ。
アル、好きだろう?
肉もあるし」
「美味しそう」
「野菜も食べないとな」
「はい。
…この野菜も?」
「嫌いか?」
「嫌いではありませんけど、苦いから」
「それを嫌いと言うんだろう」
「苦いから食べれない、飲めないって子供っぽいから」
「大人になれば好きになれるさ」
不満そうなアルに苦笑いしてロイは頭をなでる。
いつものように夕食を一緒に作り、一緒に夕食を食べる。
その時間が何よりも楽しい。
「う~、やっぱり苦いです…」
「無理しなくてもいいさ。
そのうち、食べれるようになる」
「はい」
「君がお酒を飲める年齢になったら、きっと食べれるさ」
「コーヒーもまだ飲めないんですけど」
「苦いのが嫌いな人もいるし、別に無理しなくてもいいんだよ。
無理に大人にならなくてもな」
「…はい」
食事をしながら他愛ない会話をする。
「言い忘れてたが、昨日掃除をしてくれてたんだな。
ありがとう、疲れてて言い忘れてた」
「あ、いえ、たいしたことでは…」
「綺麗だと帰って来た時に気分がいい。
ありがとう」
「はい」
嬉しそうにアルは笑顔を浮かべた。
夕食が済むと洗い物をして飲み物と共に今日はケーキがある。
「昨日のお礼。
アルが好きなケーキを買って来た」
「わぁ…!
いいんですか!!?」
「もちろん」
「ありがとうございます」
嬉しそうに笑い、アルはロイの隣にちょこんと座る。
今まで食べられなかった分、ロイはアルにいろんなお菓子などを食べさせてくれる。
「…1人で買い物に行ったんですか?」
「いや、ホークアイが来て付き合ってもらったんだ」
「そうなんですか」
「久々のショッピングもして、楽しかったよ」
「今日は天気もよかったですし、お出掛けにはピッタリですね」
「あぁ、そうだな。
食べなさい」
「はい」
美味しそうに食べるアルにロイは優しく微笑む。
「ショッピングって、洋服でも買ったんですか?」
「洋服もそうだし、香水とか色々。
アルも香水つけてみるか?」
「嫌です、生意気と言われるだけです」
「まぁな。
もう少し大人になってからにするか。
ピアスとかは付けないのか?」
「ウィンリィは付けてますけど、僕はちょっと。
痛そうなんで」
「ピアス以外は?」
「嫌いではないですけど、特に気に入ったものもないですし。
それにお金使う年齢でもないので」
まだファッションにそこまで興味がある訳ではないらしい。
この命を賭けて守るべき人々を守ろう…。
過労の後は久々の穏やかな時間‥‥。
-END-
「リーザ!
偶然ね、休みだったんでしょう?」
「…休みにさせられたんだけどね」
「どっちでもいいじゃない。
買い物したの?」
「…そうよ」
東方時代の友人のレベッカと遭遇した。
「ねぇ、お茶しない?」
「いいわよ」
カフェに入ってお喋りする。
「それ、宝石店の…。
そういうことね」
「な、何よ?」
「大総統に貰ったんでしょう?」
「…最初は断ったんだけど」
「いいじゃない。
それにしても、大総統は真面目なのか不真面目なのか分からないわね」
「不真面目なのは偽りの姿ね。
あの人、元々は真面目なのよ」
「そうなの?」
「変わる必要があったのよ。
真面目なだけでは上には行けないから。
サボリ魔も偽りの姿よ。
1人では疑われるし、私も付き合っていたけど」
「…私も騙されてたって訳ね」
リザは苦笑いを浮かべた。
リザとヒューズ以外はロイの素顔に気づいてはいなかっただろう。
否、グラマン将軍は気づいてはいたかもしれない。
グラマン将軍も似たような者だから。
ロイは料理を作りながら考え込んでいた。
(こんなにゆっくり出来るのは今日だけかもしれないな。
また忙しい日々が続くだろう。
東方時代が懐かしく感じると同時に今もまた忙しくも充実を感じる。
自分の一言で国が動き、プレッシャーも大きいが…
やっと叶ったこの地位で国を変えてやる。
たとえ、この命を失うことになっても‥‥)
自分が亡くなれば悲しんでくれる人々が少なからずいるのは分かってるが、前々からこれは覚悟していた。
(リザ‥‥君をまた独りにしてしまうかもしれない。
ヒューズ、友の死を悲しんでくれるか?
それを分かっても私は決意するなんて酷い男かもしれんな。
アル‥‥君だけが心配だ。
君は優しすぎるから。
いや、特に心配だ。
リザもヒューズも、みんなが私にとっては大切な人々だから…)
決意が揺れそうになってしまう。
(生きたい、今はそう思ってる。
まだ大丈夫だ。
生きることを諦めた訳じゃない。
まだ死ぬ訳じゃない。
後悔しないように、今という時間を過ごそうじゃないか。
国を変えてやる、絶対に!!)
ロイの瞳に宿る炎は再び火力が増した。
ハッとしてロイは思考を停止した。
「…っと。
危ない、焦がすところだった」
苦笑いして火を止めた。
玄関のドアが開く音と共に足音が聞こえて来た。
(こういうのはいいな。
人の気配や温もりを感じられる生活。
どうやら、帰って来たようだな)
微かに口元が緩み、まるで父親みたいだと自分でも思った。
「ただいま帰りました、大総…じゃない。
マスタングさん」
「お帰り、アル」
「僕も手伝います」
「ありがとう。
まずは着替えておいで」
「はい」
「手洗いとうがいも忘れずにな」
「クスッ…お父さんみたいですね」
「…それを言うな」
クスクスと笑いながらアルが自室に戻って行く。
軍服から私服に着替え、手洗いとうがいも済ませてキッチンに向かう。
「マスタングさん、お手伝いします。
何を作っているんですか?」
「シチューだよ。
アル、好きだろう?
肉もあるし」
「美味しそう」
「野菜も食べないとな」
「はい。
…この野菜も?」
「嫌いか?」
「嫌いではありませんけど、苦いから」
「それを嫌いと言うんだろう」
「苦いから食べれない、飲めないって子供っぽいから」
「大人になれば好きになれるさ」
不満そうなアルに苦笑いしてロイは頭をなでる。
いつものように夕食を一緒に作り、一緒に夕食を食べる。
その時間が何よりも楽しい。
「う~、やっぱり苦いです…」
「無理しなくてもいいさ。
そのうち、食べれるようになる」
「はい」
「君がお酒を飲める年齢になったら、きっと食べれるさ」
「コーヒーもまだ飲めないんですけど」
「苦いのが嫌いな人もいるし、別に無理しなくてもいいんだよ。
無理に大人にならなくてもな」
「…はい」
食事をしながら他愛ない会話をする。
「言い忘れてたが、昨日掃除をしてくれてたんだな。
ありがとう、疲れてて言い忘れてた」
「あ、いえ、たいしたことでは…」
「綺麗だと帰って来た時に気分がいい。
ありがとう」
「はい」
嬉しそうにアルは笑顔を浮かべた。
夕食が済むと洗い物をして飲み物と共に今日はケーキがある。
「昨日のお礼。
アルが好きなケーキを買って来た」
「わぁ…!
いいんですか!!?」
「もちろん」
「ありがとうございます」
嬉しそうに笑い、アルはロイの隣にちょこんと座る。
今まで食べられなかった分、ロイはアルにいろんなお菓子などを食べさせてくれる。
「…1人で買い物に行ったんですか?」
「いや、ホークアイが来て付き合ってもらったんだ」
「そうなんですか」
「久々のショッピングもして、楽しかったよ」
「今日は天気もよかったですし、お出掛けにはピッタリですね」
「あぁ、そうだな。
食べなさい」
「はい」
美味しそうに食べるアルにロイは優しく微笑む。
「ショッピングって、洋服でも買ったんですか?」
「洋服もそうだし、香水とか色々。
アルも香水つけてみるか?」
「嫌です、生意気と言われるだけです」
「まぁな。
もう少し大人になってからにするか。
ピアスとかは付けないのか?」
「ウィンリィは付けてますけど、僕はちょっと。
痛そうなんで」
「ピアス以外は?」
「嫌いではないですけど、特に気に入ったものもないですし。
それにお金使う年齢でもないので」
まだファッションにそこまで興味がある訳ではないらしい。
この命を賭けて守るべき人々を守ろう…。
過労の後は久々の穏やかな時間‥‥。
-END-