第③話
夢小説設定
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ロイは窓の外をチラッと見た。
「この国はとても広いのですね。
初めて来たのでこの広さには驚きました。
話には聞いていたんですが…」
「よく言われるよ。
広いが故の問題はあるがな」
「この広さを把握するのも大変そうですね。
私には無理です」
「君の国も広いと聞いたが?」
「そんなことはありませんよ。
狭くないだけですし、田舎の方には戦争の影響で何もありませんから」
「自然豊かでそれもいいと思うが…
戦争は酷かったと聞いたよ。
まぁ、酷くない戦争はないだろうが」
「…入隊したばかりの時に私も国家錬金術師として駆り出されました」
「‥‥そうか」
ロイの脳裏には今でもあの戦争が焼きついている。
忘れてはならない暗闇の過去。
「君の両親は?」
「…私が幼少期の時に亡くなりました。
父方の祖母が養母として私を育ててくれました。
養母には未だに敵いません」
「そうだったのか」
両親のことが資料に載っていなかったので聞いたのだろう。
「すまない…」
「いえ、大丈夫ですよ」
ロイは微かに笑みを浮かべた。
まだ確実に信頼できる訳ではないので、素顔を見せたりはしない。
8ヶ国の首相達が経済的などの課題を話し合う。
ロイはほとんど発言することなく、ただ聞いているだけ。
ハボックに至っては寝そうになり、ブレダ達に脇腹を突かれたりしてた。
(まぁ、大総統に就任する前の会議はいつもこんな感じだったから慣れてるし。
認められるまでは発言なんて無理か。
今は会話などで交流を深めるだけだな。
年齢が年齢だし、覚悟はしてたけど。
ハボックの奴、眠そうだな。
その気持ちは分からなくないけど)
真面目な表情で耳を傾けつつも、ロイは内心ではそんなことを考えていた。
「マスタング大総統はどう思う?」
「私、ですか?」
「そんな若造な意見など…」
「そうですよ」
「いや、若いからこその意見が必要だ」
(やばい、普通に聞き流していたι)
冷や汗が流れ、どう誤魔化すべきか考え、痛いくらいの視線がロイに注がれる。
「素直に君の意見を言えばいいよ。
それを受け入れるか別問題だが、意見くらい聞いても問題はないだろうからね」
「は、はい…」
「大総統、右手の2枚目の資料です。
記憶力がよくても資料は見てください」
ロイはリザのフォローに安堵する。
ロイの手元はリザから見えるはずがないのにさすがだ。
何とか誤魔化し、バレないように小さな安堵の息を吐いた。
(油断をするなと言うことか。
発言のチャンスを逃すとこだった。
発言した言葉は嘘ではないし)
チラッとリザに視線で謝る。
このやりとりが出来るのはロイとリザだからだろう。
(まったく、仕方ない人ね…)
微かにリザは笑みを浮かべた。
リザが言った記憶力も嘘ではない。
「記憶力がいいとは、うまい誤魔化しですな」
「記憶力がいいと資料は読まないと?」
「会議前に目は通しましたが…」
「だったら、この資料なくても言えると仰るんですか?」
「主要国首相会議法、第一条‥‥」
細かい決まり事があり、資料に書いてあった文のままに次々とロイは記憶を辿って言葉にする。
資料を一切見ずに、首相達はそれを目で追っていた。
「な…ッ」
「マスタング大総統、もういいですよ。
貴方達もこれで彼の能力が分かったでしょう?
若くしてトップに立つのは我々より苦労が多く、味方だって少ないだろう。
それにも関わらず、トップに上がるのは彼の強い決意とその能力が少なくともあるということだ」
大統領に言われて何も言えずに頷くだけだった。
ロイは微かにため息をついた。
「それにしても、凄い記憶力ですね。
いつ覚えたんですか?」
「はい?
先程も言ったように会議前に目を通しただけですが…」
不思議そうに首を傾げるロイに対し、唖然とする首相達。
「えっ…
私は何かまずいことを言いましたか?」
「あ、いや‥‥」
「マスタング大総統は悪くはないんですがね…」
大統領は苦笑いを浮かべる。
「ホークアイ、私は何か言っただろうか」
「大総統‥‥いつも言ってるじゃないですか。
貴方は半端ない記憶力があるんです」
「半端ないって…」
「貴方が本気を出せば辞書以上の記憶力なんですから」
「どんな記憶力だ、それは…」
「とにかく、半端ないのは確かです。
挑発に乗らないでください。
その記憶力に自覚を持ってくださいよ」
リザの注意にロイは不満そうだ。
リザもだが、ロイもまた天然だ。
士官学校時代にロイは自覚ないが、ヒューズを振り回していた。
自分が人よりも記憶力がいいことを理解しておらず、ロイの記憶力の良さは錬金術の本を読み漁っていつの間にか記憶力がよくなっていたらしい。
それについてはアルも同様だが、エドは錬金術以外の記憶力が異なる。
「この国はとても広いのですね。
初めて来たのでこの広さには驚きました。
話には聞いていたんですが…」
「よく言われるよ。
広いが故の問題はあるがな」
「この広さを把握するのも大変そうですね。
私には無理です」
「君の国も広いと聞いたが?」
「そんなことはありませんよ。
狭くないだけですし、田舎の方には戦争の影響で何もありませんから」
「自然豊かでそれもいいと思うが…
戦争は酷かったと聞いたよ。
まぁ、酷くない戦争はないだろうが」
「…入隊したばかりの時に私も国家錬金術師として駆り出されました」
「‥‥そうか」
ロイの脳裏には今でもあの戦争が焼きついている。
忘れてはならない暗闇の過去。
「君の両親は?」
「…私が幼少期の時に亡くなりました。
父方の祖母が養母として私を育ててくれました。
養母には未だに敵いません」
「そうだったのか」
両親のことが資料に載っていなかったので聞いたのだろう。
「すまない…」
「いえ、大丈夫ですよ」
ロイは微かに笑みを浮かべた。
まだ確実に信頼できる訳ではないので、素顔を見せたりはしない。
8ヶ国の首相達が経済的などの課題を話し合う。
ロイはほとんど発言することなく、ただ聞いているだけ。
ハボックに至っては寝そうになり、ブレダ達に脇腹を突かれたりしてた。
(まぁ、大総統に就任する前の会議はいつもこんな感じだったから慣れてるし。
認められるまでは発言なんて無理か。
今は会話などで交流を深めるだけだな。
年齢が年齢だし、覚悟はしてたけど。
ハボックの奴、眠そうだな。
その気持ちは分からなくないけど)
真面目な表情で耳を傾けつつも、ロイは内心ではそんなことを考えていた。
「マスタング大総統はどう思う?」
「私、ですか?」
「そんな若造な意見など…」
「そうですよ」
「いや、若いからこその意見が必要だ」
(やばい、普通に聞き流していたι)
冷や汗が流れ、どう誤魔化すべきか考え、痛いくらいの視線がロイに注がれる。
「素直に君の意見を言えばいいよ。
それを受け入れるか別問題だが、意見くらい聞いても問題はないだろうからね」
「は、はい…」
「大総統、右手の2枚目の資料です。
記憶力がよくても資料は見てください」
ロイはリザのフォローに安堵する。
ロイの手元はリザから見えるはずがないのにさすがだ。
何とか誤魔化し、バレないように小さな安堵の息を吐いた。
(油断をするなと言うことか。
発言のチャンスを逃すとこだった。
発言した言葉は嘘ではないし)
チラッとリザに視線で謝る。
このやりとりが出来るのはロイとリザだからだろう。
(まったく、仕方ない人ね…)
微かにリザは笑みを浮かべた。
リザが言った記憶力も嘘ではない。
「記憶力がいいとは、うまい誤魔化しですな」
「記憶力がいいと資料は読まないと?」
「会議前に目は通しましたが…」
「だったら、この資料なくても言えると仰るんですか?」
「主要国首相会議法、第一条‥‥」
細かい決まり事があり、資料に書いてあった文のままに次々とロイは記憶を辿って言葉にする。
資料を一切見ずに、首相達はそれを目で追っていた。
「な…ッ」
「マスタング大総統、もういいですよ。
貴方達もこれで彼の能力が分かったでしょう?
若くしてトップに立つのは我々より苦労が多く、味方だって少ないだろう。
それにも関わらず、トップに上がるのは彼の強い決意とその能力が少なくともあるということだ」
大統領に言われて何も言えずに頷くだけだった。
ロイは微かにため息をついた。
「それにしても、凄い記憶力ですね。
いつ覚えたんですか?」
「はい?
先程も言ったように会議前に目を通しただけですが…」
不思議そうに首を傾げるロイに対し、唖然とする首相達。
「えっ…
私は何かまずいことを言いましたか?」
「あ、いや‥‥」
「マスタング大総統は悪くはないんですがね…」
大統領は苦笑いを浮かべる。
「ホークアイ、私は何か言っただろうか」
「大総統‥‥いつも言ってるじゃないですか。
貴方は半端ない記憶力があるんです」
「半端ないって…」
「貴方が本気を出せば辞書以上の記憶力なんですから」
「どんな記憶力だ、それは…」
「とにかく、半端ないのは確かです。
挑発に乗らないでください。
その記憶力に自覚を持ってくださいよ」
リザの注意にロイは不満そうだ。
リザもだが、ロイもまた天然だ。
士官学校時代にロイは自覚ないが、ヒューズを振り回していた。
自分が人よりも記憶力がいいことを理解しておらず、ロイの記憶力の良さは錬金術の本を読み漁っていつの間にか記憶力がよくなっていたらしい。
それについてはアルも同様だが、エドは錬金術以外の記憶力が異なる。