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セントラルシティ…
街では正式な発表はまだだが、新たな大総統の噂を聞く。
名前も分からないので、別名“若き黒髪”と呼ばれている。
その彼は早い出世で遂には大総統となり、噂ではかなりの美貌らしい。
マスタング隊により、人造人間は滅びた。
エルリック兄弟の父親であるホーエンハイムの行方は分からないまま。
ロイ達も行方を探したが、見つからない。
もちろん殺す為に探した訳ではない。
エルリック兄弟も元の身体に戻り、それぞれの道を歩み始めた。
それから2年が経ち、今日から新たな生活。
国家錬金術師の試験の名簿を見て、1人の名前を見つけて口元が緩んだ。
「どうかしましたか?」
「――1人は合格確定だな」
首を傾げる補佐官に名簿の1人の名前を指差して見せる。
“アルフォンス・エルリック”
その名を見て納得したように頷いた。
「やはり、来ると思っていたよ。
これから忙しくなりそうだ」
「…そうですね」
それでもその顔は希望に満ちていた。
最終試験の錬金術で合否が判断され、合格者には銀時計と共に二つ名が授けられる。
「ほかの者の判断が難しいな。
どう思う?」
「悪くはないと思います」
「これから鍛えれば育ちます」
「そう深く考えなくとも1年後には査定がありますから。
その後に考えてもいいのでは?」
「うむ、そうだな。
しかし…国家錬金術師の数は相変わらず少ないな」
「仕方ありませんよ。
才能がなくては出来ませんから。
以前に比べたら増えましたし」
「…そうだな」
合格者の名簿を見て、ため息をつく。
合格者数人が1人ずつ大総統と対面し、二つ名を授かる。
「大佐…!
あ、もう大佐ではありませんよね‥‥」
「気にしなくていい。
元気だったかい?」
「はい」
苦笑いしながらもその瞳は優しい。
「それはよかった。
会ったのは2年前だったか?」
「そうですね」
「座りなさい。
さてと、君の二つ名だが‥‥」
「はい」
アルが座ったのを確認し、書類を見ながら考え込む。
顔を上げ、銀時計に触れた。
「アルフォンス・エルリック」
「はい!」
「君の二つ名は‥‥“鎧”だ」
「…鎧、ですか?」
予想外だったのか、戸惑いがあった。
2年前までの自分の姿を思い出した。
「君だからこそ、必要な名だよ」
「…それは」
「誤解しないでくれ、責めている訳ではない。
君は鎧だったろう?
それは忘れてはいけない真実だ。
それを乗り越える為に犠牲になった沢山の命がある」
「は、い‥‥」
アルは下を向いて拳を握り締めた。
「アルフォンス・エルリック、下を向くな。
前を向いて歩け」
凛とした口調にアルが顔を上げると、そこには予想外に優しい瞳があった。
「今までの試練と困難、犠牲になった人達のことを忘れないように」
ポンポンと頭を叩かれ、銀時計を手渡された。
「はいっ!!」
涙目になりながらも敬礼した。
アルフォンス・エルリック、16歳の春。
街では正式な発表はまだだが、新たな大総統の噂を聞く。
名前も分からないので、別名“若き黒髪”と呼ばれている。
その彼は早い出世で遂には大総統となり、噂ではかなりの美貌らしい。
マスタング隊により、人造人間は滅びた。
エルリック兄弟の父親であるホーエンハイムの行方は分からないまま。
ロイ達も行方を探したが、見つからない。
もちろん殺す為に探した訳ではない。
エルリック兄弟も元の身体に戻り、それぞれの道を歩み始めた。
それから2年が経ち、今日から新たな生活。
国家錬金術師の試験の名簿を見て、1人の名前を見つけて口元が緩んだ。
「どうかしましたか?」
「――1人は合格確定だな」
首を傾げる補佐官に名簿の1人の名前を指差して見せる。
“アルフォンス・エルリック”
その名を見て納得したように頷いた。
「やはり、来ると思っていたよ。
これから忙しくなりそうだ」
「…そうですね」
それでもその顔は希望に満ちていた。
最終試験の錬金術で合否が判断され、合格者には銀時計と共に二つ名が授けられる。
「ほかの者の判断が難しいな。
どう思う?」
「悪くはないと思います」
「これから鍛えれば育ちます」
「そう深く考えなくとも1年後には査定がありますから。
その後に考えてもいいのでは?」
「うむ、そうだな。
しかし…国家錬金術師の数は相変わらず少ないな」
「仕方ありませんよ。
才能がなくては出来ませんから。
以前に比べたら増えましたし」
「…そうだな」
合格者の名簿を見て、ため息をつく。
合格者数人が1人ずつ大総統と対面し、二つ名を授かる。
「大佐…!
あ、もう大佐ではありませんよね‥‥」
「気にしなくていい。
元気だったかい?」
「はい」
苦笑いしながらもその瞳は優しい。
「それはよかった。
会ったのは2年前だったか?」
「そうですね」
「座りなさい。
さてと、君の二つ名だが‥‥」
「はい」
アルが座ったのを確認し、書類を見ながら考え込む。
顔を上げ、銀時計に触れた。
「アルフォンス・エルリック」
「はい!」
「君の二つ名は‥‥“鎧”だ」
「…鎧、ですか?」
予想外だったのか、戸惑いがあった。
2年前までの自分の姿を思い出した。
「君だからこそ、必要な名だよ」
「…それは」
「誤解しないでくれ、責めている訳ではない。
君は鎧だったろう?
それは忘れてはいけない真実だ。
それを乗り越える為に犠牲になった沢山の命がある」
「は、い‥‥」
アルは下を向いて拳を握り締めた。
「アルフォンス・エルリック、下を向くな。
前を向いて歩け」
凛とした口調にアルが顔を上げると、そこには予想外に優しい瞳があった。
「今までの試練と困難、犠牲になった人達のことを忘れないように」
ポンポンと頭を叩かれ、銀時計を手渡された。
「はいっ!!」
涙目になりながらも敬礼した。
アルフォンス・エルリック、16歳の春。