第③話

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誰に聞かれていても平然とロイ達は話していた。


「アル、君も私について来るか?」
「もちろん。
あなた以外に誰について行けと?
あなたがいるから僕は国家錬金術師になって軍に入ったんです。
あなた以外について行くなら旅に出た方がマシですよ」
「…ありがとう」


満足そうにアルは笑顔を見せた。


「さすが補佐官になっただけはあるな。
随分な忠誠心じゃねぇか、ロイ」
「当たり前だ、私の補佐官なんだから」


ヒューズがロイの肩を抱き、当然のようにロイは笑う。


「凄い自信だな。
…もう大丈夫か?」
「あぁ、心配ない」


ヒューズは何かとロイを心配し、お節介過ぎるくらいだ。


「アル、免許を取るのか?」
「あ、はい…」
「免許あった方が軍の車も運転できて便利ですからね」
「それなりにお金かかりますけど…」
「大総統が全額負担してやるからと」
「やるぅ~♪」
「いいなぁ…」
「随分と可愛がられてるよな、大将とは大違いで(笑)」
「おまえら、煩いぞ。
私がどう使おうと勝手だろ」
「へいへい」


大総統になった今も変わらない関係。


執務室のドアが勢いよく開いた。


「ヒューズ将軍!!
探しましたよ。
やっぱり、ここでさぼってましたね!
大佐が探し…っ」


入って来たのはアームストロングの部下であるロス少佐。


ロイの姿を見ると一瞬固まる。


「大総統閣下!!
し、失礼しました!
何かお話中でしたか!!?」
「いや‥‥たいした話ではない」


ロイに恩があるロスは無罪放免となった今でもある意味、ロイには忠実だったりする。


その様子にロイは微かに笑みを浮かべた。


「それよりさ~、聞いてくれよ」
「はい?」
「エリシアなんだけどな…」
「ま、またですか!!?ι」


思わず後退りをするロスに対し、ヒューズは親バカ炸裂。


「ヒューズ、おまえなぁ…」
「なに?
おまえも聞きたいって!!?」
「ひっつくな!!ι」


ロイは不快そうに顔を歪め、ヒューズを引き剥がす。


ヒューズの持っていた写真を1枚、ロイは燃やした。


「あ゛ぁっ!!?」
「それ以上、燃やされたくなければ行け」
「やれやれ、焔の錬金術師様は怖いねぇ~。
そんなんだと嫁さん貰えないぞ?」
「余計なお世話だっ!」
「さてと、仕事に戻りますか。
ロイも戻れよ~?」
「私はさぼりではない!!」


ヒューズがロスを連れて執務室から出て行った。


「まったく…
アル、寄り道して戻ろうか」
「寄り道?」
「想像よりも実際に体験した方が感覚が掴めるからな」


ロイもアルを連れて出て行く。


射撃練習場で銃の保管や銃弾があり、火薬の匂いもする。


「ここが射撃練習場。
とりあえず、私が教えるのは拳銃だ。
ライフル銃など様々な銃があるが、最初はこれにしようか。
基礎が出来ないとライフル銃なども難しいからな。
まずは持ってみなさい」
「は、はい…」


ロイに手渡されてアルは初めて銃を手にする。


「重っ…」
「あぁ、予想外に重かったか?」
「意外と重いんですね」


アルには重く感じる銃をロイは軽々と持つ。


練習していた軍人達の視線を感じながら、ロイは集中して銃を撃つ。


「まぁ、こんなものか。
まずはここを外して、それから狙って撃つ。
言葉よりも実戦。
体で覚えよう」
「はい」


アルを見てロイは士官学校時代を思い出した。


「これは命を奪う武器でもあり、救う武器でもある。
君自身を守り、仲間や国民を守る武器にして欲しい」
「はい」


アルは狙いを定めて撃つが、最初からうまくいくはずもない。


「…痺れる」
「慣れれば狙えるようになる。
随分と外れたな」
「すみません‥‥」
「最初なんだから仕方ないか。
アル、視線は的を見て集中して狙うんだ」


コクンと頷き、少し手の痺れを感じながら撃つ。


「まぁ、的に当たっただけいいとしよう。
最初なんだし、これくらいにするか。
手が痛いだろう?」
「手も耳も痛いです…」
「最初はみんなそうなんだよ」


苦笑いしてアルの頭をなでた。


「大総統、こちらにいたんですか」
「悪い、アルと銃の練習をしてた。
探したか?」
「大丈夫です」
「せっかくだ、見本を見せてやってくれないか?」
「分かりました」
「よく見ておいて損はないよ」


アルだけではなく、周りの軍人達の視線が集まる。
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