第③話
夢小説設定
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仕事中は話し声がいつも聞こえていたので、静かすぎるのはどうも苦手になってしまっていた。
リザもアルも真面目なので仕事とプライベートは分け、仕事中に必要以上のことを喋らない。
ロイが話しかければ仕事しながらも答えるだろうが、それは何か違った。
話し声を聞きながら仕事したいのだ。
(まぁ、どうしてもという訳ではないんだけど…)
自然にため息が漏れた。
「大総統、どうかしました?
疲れましたか?
少し休憩しましょうか」
「あ、いや‥‥」
大総統になってからロイはさぼることはしなかった。
サボリ魔を演じていただけなので、その必要がなくなったという方が正しい。
「あまり一気に詰め込むと疲れると言ったはずですよ?」
「錬金術に比べたら簡単さ。
そうじゃなくて…
なんか、静かすぎるなぁっと」
「…なるほど。
ハボック少尉を中心によく話し声が聞こえてましたから違和感があるんですね?
もう少尉ではないですけど」
「付き合いが長いからな」
「執務室で仕事をしますか?」
「ハボック達はいいとして、ほかの奴等が気遣うだろう?
しばらくすれば慣れるはずだ、多分…」
穏やかに会話しながら仕事するのも変な感じだとロイは苦笑いする。
平和とまでは言えなくとも、大きな事件や事故がないのはいいことだ。
だからこそ、穏やかに話が出来る。
「大総統、少しは休憩しないと疲れますよ?」
「…昔とは正反対だな。
こんな日が来るなんて不思議だ」
「未だに自覚ありませんか?」
「自覚はあるが、現実に思えない」
「私もですよ。
提出して来ますね」
「あぁ、頼むよ」
「あ、大総統。
大総統室から出るならアルフォンスくんを連れて行ってくださいね?」
「分かってるよ」
「では、行って来ます」
敬礼してリザが大総統室から出て行く。
ロイは万年筆を机に置いた。
「アル、ちょっと出掛けるから行こう」
「分かりました」
ロイの後をアルがついて行く。
「大総統、どちらに?」
「司令部の視察ってとこだ」
「行ってらっしゃいませ」
「あぁ…」
大総統室前の受付嬢と言葉を交わし、扉から出て行く。
ロイの目的地は決まっていた。
「あれっ、なくしたか?
なぁ、ライター持ってないか?」
「持ってるはずないだろ」
「「以下同文」」
「おまえ以外、煙草なんて吸わねぇんだからよ」
「この際だから煙草をやめたらどうですか?」
「無理を言うな」
煙草をくわえたままのハボックにブレダ達は苦笑いする。
パチンッと音と共にハボックの煙草に火が点いた。
「「大総統!」」
「よぉ、元気か?」
「仕事はいいんっスか?」
「ほとんど終わった。
いや~、おまえらの煩いくらいの話し声がないとつまらんな」
「煩いのはこいつだけでしょう?」
「おまえだって!」
ロイは微かに口元を緩めた。
空いてる席に勝手に座り、ハボック達と話すロイにほかの軍人達はジロジロと見ていて、廊下から執務室を見る者までいた。
さぼっている、もしくは暇なのかと思われているようだった。
気にしても仕方なく、1人ずつ誤解を解いて歩く訳にもいかないので放っておく。
「ロイ、こんなとこで何してんだ?」
「話をしている」
「それは見れば分かる。
仕事はいいのか?」
「ちゃんとしてる」
「もう1人の補佐官はどうした?」
「書類を提出」
「その間に抜けて来たのか?」
「さぼりではない。
アル、視察に行こうか」
「ダメです、僕も怒られます」
「つまんないなぁ…
上層部でもからかって来ようかな」
「やめてください」
もちろん本気ではなく、アルの反応を見て楽しんでるだけ。
「大総統になったのはいいが、マイナス面を考えてなかったな」
「マイナス面?」
「飲みに行けない、遊びに行けない、つまんない」
「行けなくはないとは思いますが…」
「護衛付きなんて余計にストレス溜まる。
嫌味がなくなったのはいいことだけどな。
陰口は言われてるだろうが…」
事実、陰口も聞いたことがあるのでアルは困惑した。
ヒューズはロイの肩を叩く。
「補佐官をなに困らせてんだよ。
おまえは愚痴りに来たのか?」
「あぁ、困らせたなら謝る。
悪かったな」
「…いえ」
「愚痴りに来た訳じゃない。
それが事実だろ。
どんなコネを使ったんだとかは相変わらずだけど。
妬みの陰口は酷いものだなぁ。
おまえらも聞いたんだろう?」
「まぁ、それなりにな」
「陰口は醜いな」
「らしくもなく参ってるんっスか?」
「まさか。
ただ陰口なら嫌味を言ってくれた方が楽だよ。
嫌な視線や陰口、それは私だけではない。
補佐官はもちろん、君達も何かしら言われてるんだろう?」
ロイが来た理由は自分達を心配して来たんだと理解した。
「それはあんたについて行くと決めた日から覚悟してましたよ」
「大佐の頃にあなたが言われていた嫌味に比べたら…」
「こんなことで負けませんから、これを言われないくらいにしましょうや」
「ロイ、ここは俺に任せろよ。
言い返すくらいはしてやるし、どうしてもダメならロイに言う。
最後まで俺はおまえを支えるさ」
「ヒューズ…
あぁ、よろしく頼むよ」
「任せておけ」
バシッとヒューズはロイの背中を叩く。
リザもアルも真面目なので仕事とプライベートは分け、仕事中に必要以上のことを喋らない。
ロイが話しかければ仕事しながらも答えるだろうが、それは何か違った。
話し声を聞きながら仕事したいのだ。
(まぁ、どうしてもという訳ではないんだけど…)
自然にため息が漏れた。
「大総統、どうかしました?
疲れましたか?
少し休憩しましょうか」
「あ、いや‥‥」
大総統になってからロイはさぼることはしなかった。
サボリ魔を演じていただけなので、その必要がなくなったという方が正しい。
「あまり一気に詰め込むと疲れると言ったはずですよ?」
「錬金術に比べたら簡単さ。
そうじゃなくて…
なんか、静かすぎるなぁっと」
「…なるほど。
ハボック少尉を中心によく話し声が聞こえてましたから違和感があるんですね?
もう少尉ではないですけど」
「付き合いが長いからな」
「執務室で仕事をしますか?」
「ハボック達はいいとして、ほかの奴等が気遣うだろう?
しばらくすれば慣れるはずだ、多分…」
穏やかに会話しながら仕事するのも変な感じだとロイは苦笑いする。
平和とまでは言えなくとも、大きな事件や事故がないのはいいことだ。
だからこそ、穏やかに話が出来る。
「大総統、少しは休憩しないと疲れますよ?」
「…昔とは正反対だな。
こんな日が来るなんて不思議だ」
「未だに自覚ありませんか?」
「自覚はあるが、現実に思えない」
「私もですよ。
提出して来ますね」
「あぁ、頼むよ」
「あ、大総統。
大総統室から出るならアルフォンスくんを連れて行ってくださいね?」
「分かってるよ」
「では、行って来ます」
敬礼してリザが大総統室から出て行く。
ロイは万年筆を机に置いた。
「アル、ちょっと出掛けるから行こう」
「分かりました」
ロイの後をアルがついて行く。
「大総統、どちらに?」
「司令部の視察ってとこだ」
「行ってらっしゃいませ」
「あぁ…」
大総統室前の受付嬢と言葉を交わし、扉から出て行く。
ロイの目的地は決まっていた。
「あれっ、なくしたか?
なぁ、ライター持ってないか?」
「持ってるはずないだろ」
「「以下同文」」
「おまえ以外、煙草なんて吸わねぇんだからよ」
「この際だから煙草をやめたらどうですか?」
「無理を言うな」
煙草をくわえたままのハボックにブレダ達は苦笑いする。
パチンッと音と共にハボックの煙草に火が点いた。
「「大総統!」」
「よぉ、元気か?」
「仕事はいいんっスか?」
「ほとんど終わった。
いや~、おまえらの煩いくらいの話し声がないとつまらんな」
「煩いのはこいつだけでしょう?」
「おまえだって!」
ロイは微かに口元を緩めた。
空いてる席に勝手に座り、ハボック達と話すロイにほかの軍人達はジロジロと見ていて、廊下から執務室を見る者までいた。
さぼっている、もしくは暇なのかと思われているようだった。
気にしても仕方なく、1人ずつ誤解を解いて歩く訳にもいかないので放っておく。
「ロイ、こんなとこで何してんだ?」
「話をしている」
「それは見れば分かる。
仕事はいいのか?」
「ちゃんとしてる」
「もう1人の補佐官はどうした?」
「書類を提出」
「その間に抜けて来たのか?」
「さぼりではない。
アル、視察に行こうか」
「ダメです、僕も怒られます」
「つまんないなぁ…
上層部でもからかって来ようかな」
「やめてください」
もちろん本気ではなく、アルの反応を見て楽しんでるだけ。
「大総統になったのはいいが、マイナス面を考えてなかったな」
「マイナス面?」
「飲みに行けない、遊びに行けない、つまんない」
「行けなくはないとは思いますが…」
「護衛付きなんて余計にストレス溜まる。
嫌味がなくなったのはいいことだけどな。
陰口は言われてるだろうが…」
事実、陰口も聞いたことがあるのでアルは困惑した。
ヒューズはロイの肩を叩く。
「補佐官をなに困らせてんだよ。
おまえは愚痴りに来たのか?」
「あぁ、困らせたなら謝る。
悪かったな」
「…いえ」
「愚痴りに来た訳じゃない。
それが事実だろ。
どんなコネを使ったんだとかは相変わらずだけど。
妬みの陰口は酷いものだなぁ。
おまえらも聞いたんだろう?」
「まぁ、それなりにな」
「陰口は醜いな」
「らしくもなく参ってるんっスか?」
「まさか。
ただ陰口なら嫌味を言ってくれた方が楽だよ。
嫌な視線や陰口、それは私だけではない。
補佐官はもちろん、君達も何かしら言われてるんだろう?」
ロイが来た理由は自分達を心配して来たんだと理解した。
「それはあんたについて行くと決めた日から覚悟してましたよ」
「大佐の頃にあなたが言われていた嫌味に比べたら…」
「こんなことで負けませんから、これを言われないくらいにしましょうや」
「ロイ、ここは俺に任せろよ。
言い返すくらいはしてやるし、どうしてもダメならロイに言う。
最後まで俺はおまえを支えるさ」
「ヒューズ…
あぁ、よろしく頼むよ」
「任せておけ」
バシッとヒューズはロイの背中を叩く。