第②話
夢小説設定
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その様子にロイは微かに笑みを浮かべた。
「あぁ、それは心強いよ。
苦情があるし、異動で戻ってもらうが…」
「異動‥‥」
「なに心配いらん。
戻ってもらうだけだから」
「戻るというと…」
「あぁ、そういうことだ。
必要な時が来たら力を貸してもらう。
いつか戻すが、今は上層部がな」
ロイの言葉を理解し、安堵した。
「まぁ、半壊したりと自業自得というのもあるが…
姉弟揃って中央にいたら、いつか破壊されるのではないかという心配もあるからな」
思わずロイは苦笑いを浮かべた。
「力が必要になったら、彼女もだが、君にも協力してもらうよ。
いいね?」
「はっ!
勿論であります!!」
敬礼するアームストロングを見て満足そうに笑う。
「それでは、我輩はこれで。
失礼しました」
「あぁ、頼りにしてるよ」
扉が閉まるとロイは書類を手にする。
「やはり、静かすぎるな。
集中は出来るが…」
「向こうに行きますか?」
「いや‥‥今日はこのままここでやるよ」
話し声も聞こえないので違和感があるのだろう。
大量の書類もロイが本気を出せば、すぐに片付くのだ。
今までの大総統の中でも最年少であるが、仕事も早い。
「このままなら、定時に帰れますね」
「…定時には帰らないとな」
「用事があるんですか?」
「いや‥‥大総統が残業してるのに帰れないという軍人も居そうだからな」
「そんなに気を遣わなくても…」
「それに、仕事が遅いなんて思われるのは嫌だ。
最年少の大総統だし、過去の大総統に比べられるのは分かっているからな」
「だからと言って最初から無理をしていたら身体を壊しますよ?
あまり無理をなさらないでくださいね」
「分かってるよ」
書類を確認しながらリザはロイをチラッと心配そうに見た。
(本当は真面目で優しい人だと知ってる。
自分の身より、ほかの人を心配して庇う人だから…
その為に無理をしないか心配になる)
昔の面影がある今のロイにリザは少し嬉しく、切なくなる。
兄弟のいないリザにとって、昔は頼りになる優しく真面目な兄のような存在だった。
今は誰よりも大切な守りたい人…。
不真面目になった訳ではなく、変わらなくてはならなくなったのだ。
本当の自分を隠す為に不真面目な仮面を被っていた。
だが、頂点に立った今はそれが必要なくなった。
だからと言って長年付けていた仮面をそう簡単に取れるはずもない。
「…これで終わりか?」
「はい、本日の書類はこれで終わりです。
ご苦労様でした。
私は提出して来ますので」
「あぁ、分かった」
ロイは背伸びをし、窓の外を見つめた。
机の上に飾ってある写真を見つめた。
兄弟が元の身体に戻り、お祝いに集まった時の写真だ。
ヒューズの家族にロイと親しい部下達、エルリック兄弟と幼馴染みのウィンリィ。
「何を見ているんですか?」
「あぁ、これだよ」
「…あの時の」
「あれから君と手紙でやりとりするようになって、今は軍人となった。
不思議なものだな」
「そんなに経っている訳ではないのに、懐かしいですね」
「あぁ、そうだな」
「…色々ありましたね。
沢山の方が亡くなったのもまた事実なんですよね」
アルは俯いて目を伏せた。
脳裏に助けられなかった人々の最期が浮かんだ。
「アル、おいで」
「泣くつもりなんてなっ…」
「‥‥分かってるよ。
君はホークアイと同じでそういう感情表現が不器用だな。
泣きたい時は泣いていいんだ」
ロイはアルを抱き寄せ、優しく頭をなでてあげた。
「…僕が未熟だったから助けてられなかった命もある。
そう思ってしまうんです。
僕達が巻き込んでしまったから!!」
「‥‥最期まで諦めてはいなかった。
あの人達は後悔なんてしてないし、巻き込まれたなんて思ってないよ。
アルに出来ることは後悔や謝罪じゃない。
その人々の分まで生きることだ」
「生きる…」
「亡くなった人々の分まで、長生きすることだよ」
「は、い…っ」
今はまだ迷いもあるが、いつか自分で答えを見つける時が来るだろう。
「あぁ、それは心強いよ。
苦情があるし、異動で戻ってもらうが…」
「異動‥‥」
「なに心配いらん。
戻ってもらうだけだから」
「戻るというと…」
「あぁ、そういうことだ。
必要な時が来たら力を貸してもらう。
いつか戻すが、今は上層部がな」
ロイの言葉を理解し、安堵した。
「まぁ、半壊したりと自業自得というのもあるが…
姉弟揃って中央にいたら、いつか破壊されるのではないかという心配もあるからな」
思わずロイは苦笑いを浮かべた。
「力が必要になったら、彼女もだが、君にも協力してもらうよ。
いいね?」
「はっ!
勿論であります!!」
敬礼するアームストロングを見て満足そうに笑う。
「それでは、我輩はこれで。
失礼しました」
「あぁ、頼りにしてるよ」
扉が閉まるとロイは書類を手にする。
「やはり、静かすぎるな。
集中は出来るが…」
「向こうに行きますか?」
「いや‥‥今日はこのままここでやるよ」
話し声も聞こえないので違和感があるのだろう。
大量の書類もロイが本気を出せば、すぐに片付くのだ。
今までの大総統の中でも最年少であるが、仕事も早い。
「このままなら、定時に帰れますね」
「…定時には帰らないとな」
「用事があるんですか?」
「いや‥‥大総統が残業してるのに帰れないという軍人も居そうだからな」
「そんなに気を遣わなくても…」
「それに、仕事が遅いなんて思われるのは嫌だ。
最年少の大総統だし、過去の大総統に比べられるのは分かっているからな」
「だからと言って最初から無理をしていたら身体を壊しますよ?
あまり無理をなさらないでくださいね」
「分かってるよ」
書類を確認しながらリザはロイをチラッと心配そうに見た。
(本当は真面目で優しい人だと知ってる。
自分の身より、ほかの人を心配して庇う人だから…
その為に無理をしないか心配になる)
昔の面影がある今のロイにリザは少し嬉しく、切なくなる。
兄弟のいないリザにとって、昔は頼りになる優しく真面目な兄のような存在だった。
今は誰よりも大切な守りたい人…。
不真面目になった訳ではなく、変わらなくてはならなくなったのだ。
本当の自分を隠す為に不真面目な仮面を被っていた。
だが、頂点に立った今はそれが必要なくなった。
だからと言って長年付けていた仮面をそう簡単に取れるはずもない。
「…これで終わりか?」
「はい、本日の書類はこれで終わりです。
ご苦労様でした。
私は提出して来ますので」
「あぁ、分かった」
ロイは背伸びをし、窓の外を見つめた。
机の上に飾ってある写真を見つめた。
兄弟が元の身体に戻り、お祝いに集まった時の写真だ。
ヒューズの家族にロイと親しい部下達、エルリック兄弟と幼馴染みのウィンリィ。
「何を見ているんですか?」
「あぁ、これだよ」
「…あの時の」
「あれから君と手紙でやりとりするようになって、今は軍人となった。
不思議なものだな」
「そんなに経っている訳ではないのに、懐かしいですね」
「あぁ、そうだな」
「…色々ありましたね。
沢山の方が亡くなったのもまた事実なんですよね」
アルは俯いて目を伏せた。
脳裏に助けられなかった人々の最期が浮かんだ。
「アル、おいで」
「泣くつもりなんてなっ…」
「‥‥分かってるよ。
君はホークアイと同じでそういう感情表現が不器用だな。
泣きたい時は泣いていいんだ」
ロイはアルを抱き寄せ、優しく頭をなでてあげた。
「…僕が未熟だったから助けてられなかった命もある。
そう思ってしまうんです。
僕達が巻き込んでしまったから!!」
「‥‥最期まで諦めてはいなかった。
あの人達は後悔なんてしてないし、巻き込まれたなんて思ってないよ。
アルに出来ることは後悔や謝罪じゃない。
その人々の分まで生きることだ」
「生きる…」
「亡くなった人々の分まで、長生きすることだよ」
「は、い…っ」
今はまだ迷いもあるが、いつか自分で答えを見つける時が来るだろう。