第①話
夢小説設定
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何故、補佐官だけに食べさせるのだろうかと不思議に思う。
「大総統は食べないんですか?」
「私は甘いものはそんなに好きではない。
嫌いではないけど」
「そうなんですか」
「一口くらいなら食べたいとは思うくらいかな」
アルとリザが同時にロイの前にフォークを差し出す。
「「…あ゛」」
「ふははっ!!」
「す、すみません」
「つい…」
引っ込めようとした腕を掴み、両方のフォークからチーズケーキを食べる。
「うん、うまい。
ありがとう」
改めて優しいと実感し、嬉しそうにリザとアルが微笑んだ。
予想と違った大総統の様子にカフェにいる全員が唖然としてる。
「…なにを考えているんですか?」
「上層部のことだ。
使える奴なんて限られてるし、全員かなりの年上で口だけは達者なんだ。
首を切りたいが、それも色々と面倒だ」
「首を切る…」
「あぁ、殺すという意味ではない」
「簡単に言えば軍を辞めてもらうって意味よ」
納得したようにアルは頷いた。
ロイはため息をついた。
「やりたいことも、やらなきゃいけないこともあるのに、上層部の者達は自分のことしか考えておらん。
それが腹立たしい。
何が国民の為だ、国民の為に動いたこともない小心者の馬鹿者が。
…私を信用してる者など限られた者達だけだ。
隙あらばこの地位を奪おうとして、国民の為ではなく自分の為の地位を得ようとする。
腐った考えの軍人など私にはいらない」
怒りを押さえたような低い声。
「大総統、まだこれからです。
腐った駒は使い捨てにすればいいだけですよ。
あなたの実力が分かれば、ついて来る人は沢山いますよ」
「僕には難しい話はよく分からないですし、頼りにもならないと思います。
でも、少しでも支えになりたいと思っていますよ」
「…そうだな。
私には頼りになる補佐官がいることだし、これからが勝負だ。
歯向かうなら歯向かえばいい、私は国民を守る為なら手加減はしない」
ロイは不敵な笑みを浮かべる。
カフェにいる者達に聞かれてるなんてロイは気にしてはいなかった。
「…どうして大総統になろうと思ったんですか?」
「あぁ、君には話してなかったね」
「前までは兄さんが側にいたので…」
ロイは優しい瞳で見つめ、口元を緩めた。
「私の幼少時代は戦争中で、そこで両親を亡くした。
父方の祖母が私を引き取ってくれたんだ。
人々を守りたい一心で錬金術を学び、士官学校に入った。
卒業して軍人になり、国家錬金術師の私はあの戦争に駆り出され、罪のない沢山の人々の命をこの手で奪った…!!
あんな理不尽なことはしたくないのに、上官に逆らえなくてただ従うことしか…
あの当時の私には‥‥」
辛そうに話すロイを見ながらアルは真剣に耳を傾けていた。
「…そこでは私は無力だった。
ただ自分の隊の者を守るしか出来なかったんだ。
希望に満ちて入隊したはずなのに待っていたのは希望ではなく、絶望だった。
僅かでもいいから人々を守りたかった。
この国、全員を守るには‥‥大総統の地位が必要だと。
私がこの国も軍も変えてやると誓った。
この国を平和にする為にはどんなに汚いことでも上に登ってやると野望を抱いた」
ロイは拳を握り締め、それを見てる瞳には炎が宿っていた。
ロイは拳を開いて見つめた。
「…それでもこの手は見えない血で汚れてる罪人の手だ」
「僕はまだ子供でどんなに辛いものだったのか、すべてを理解することが出来ません。
それでも、この手は…大切な仲間を守り抜いた手です。
確かに血は流れたのは消えない事実です。
それでも、僕にはあなたは誇りです。
あなたは僕達に生きる希望を与えてくれたのも事実なんです」
「‥‥アル」
「あなたがいなければ、今の僕はいません。
本当に心から感謝してますし、僕の誇りで憧れなんです。
あなたは罪人と言うけれど‥‥僕にはあなたは道を照らしてくれる光です」
アルの言葉に泣きそうになり、ロイは上を向いた。
「過去の罪は消せないけれど、未来はこれから造っていけます」
「…あぁ。
こんなところで、立ち止まる訳にはいかない」
微かにロイの肩が震えていた。
優しさは強さであって儚い心…。
これからどんな未来の扉が開かれるのだろうか‥‥。
-END-
「大総統は食べないんですか?」
「私は甘いものはそんなに好きではない。
嫌いではないけど」
「そうなんですか」
「一口くらいなら食べたいとは思うくらいかな」
アルとリザが同時にロイの前にフォークを差し出す。
「「…あ゛」」
「ふははっ!!」
「す、すみません」
「つい…」
引っ込めようとした腕を掴み、両方のフォークからチーズケーキを食べる。
「うん、うまい。
ありがとう」
改めて優しいと実感し、嬉しそうにリザとアルが微笑んだ。
予想と違った大総統の様子にカフェにいる全員が唖然としてる。
「…なにを考えているんですか?」
「上層部のことだ。
使える奴なんて限られてるし、全員かなりの年上で口だけは達者なんだ。
首を切りたいが、それも色々と面倒だ」
「首を切る…」
「あぁ、殺すという意味ではない」
「簡単に言えば軍を辞めてもらうって意味よ」
納得したようにアルは頷いた。
ロイはため息をついた。
「やりたいことも、やらなきゃいけないこともあるのに、上層部の者達は自分のことしか考えておらん。
それが腹立たしい。
何が国民の為だ、国民の為に動いたこともない小心者の馬鹿者が。
…私を信用してる者など限られた者達だけだ。
隙あらばこの地位を奪おうとして、国民の為ではなく自分の為の地位を得ようとする。
腐った考えの軍人など私にはいらない」
怒りを押さえたような低い声。
「大総統、まだこれからです。
腐った駒は使い捨てにすればいいだけですよ。
あなたの実力が分かれば、ついて来る人は沢山いますよ」
「僕には難しい話はよく分からないですし、頼りにもならないと思います。
でも、少しでも支えになりたいと思っていますよ」
「…そうだな。
私には頼りになる補佐官がいることだし、これからが勝負だ。
歯向かうなら歯向かえばいい、私は国民を守る為なら手加減はしない」
ロイは不敵な笑みを浮かべる。
カフェにいる者達に聞かれてるなんてロイは気にしてはいなかった。
「…どうして大総統になろうと思ったんですか?」
「あぁ、君には話してなかったね」
「前までは兄さんが側にいたので…」
ロイは優しい瞳で見つめ、口元を緩めた。
「私の幼少時代は戦争中で、そこで両親を亡くした。
父方の祖母が私を引き取ってくれたんだ。
人々を守りたい一心で錬金術を学び、士官学校に入った。
卒業して軍人になり、国家錬金術師の私はあの戦争に駆り出され、罪のない沢山の人々の命をこの手で奪った…!!
あんな理不尽なことはしたくないのに、上官に逆らえなくてただ従うことしか…
あの当時の私には‥‥」
辛そうに話すロイを見ながらアルは真剣に耳を傾けていた。
「…そこでは私は無力だった。
ただ自分の隊の者を守るしか出来なかったんだ。
希望に満ちて入隊したはずなのに待っていたのは希望ではなく、絶望だった。
僅かでもいいから人々を守りたかった。
この国、全員を守るには‥‥大総統の地位が必要だと。
私がこの国も軍も変えてやると誓った。
この国を平和にする為にはどんなに汚いことでも上に登ってやると野望を抱いた」
ロイは拳を握り締め、それを見てる瞳には炎が宿っていた。
ロイは拳を開いて見つめた。
「…それでもこの手は見えない血で汚れてる罪人の手だ」
「僕はまだ子供でどんなに辛いものだったのか、すべてを理解することが出来ません。
それでも、この手は…大切な仲間を守り抜いた手です。
確かに血は流れたのは消えない事実です。
それでも、僕にはあなたは誇りです。
あなたは僕達に生きる希望を与えてくれたのも事実なんです」
「‥‥アル」
「あなたがいなければ、今の僕はいません。
本当に心から感謝してますし、僕の誇りで憧れなんです。
あなたは罪人と言うけれど‥‥僕にはあなたは道を照らしてくれる光です」
アルの言葉に泣きそうになり、ロイは上を向いた。
「過去の罪は消せないけれど、未来はこれから造っていけます」
「…あぁ。
こんなところで、立ち止まる訳にはいかない」
微かにロイの肩が震えていた。
優しさは強さであって儚い心…。
これからどんな未来の扉が開かれるのだろうか‥‥。
-END-