第①話
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本日は大総統の就任の式典。
就任式は祝日となるので、議事堂前には国民も集まり、大総統の挨拶が行われる。
「…どんな挨拶をすればいいんだろうな。
ずっと考えてはいるんだが。
いざ自分がなってみると難しいものだ」
「難しく考えないでください」
「あなたらしく、話せばいいんスよ!」
「そうですよ。
あなたの野望が叶ったんですから」
「胸に秘めていたことを話せばいいんだ。
頑張って来い!」
仲間達に背中を押され、微笑んだ。
「――時間です」
「あぁ、行こうか」
立ち上がり、補佐官と共に議事堂に出た。
国民のザワつきが聞こえた。
「ロイ・マスタング、32歳。
大総統に就任致しました。
知る方も多いかと思いますが、国家錬金術師で二つ名は“焔の錬金術師”です」
落ち着いた声色に国民も耳を傾ける。
胸に秘めた想いを口にするのは難しい。
「あの惨劇から数年が経ちますが、私は一度も忘れたことがない。
否、忘れてはならない。
上官の命令とはいえ、私は何人もの命をこの手で奪い‥‥殺しました。
どうしてあんなことをしなければならないのか、逃げたいのに逃げることを許さない現実。
戦いは戦いを生み、憎しみは憎しみしか残らない。
あの場所では私は無力でした。
人々を助けたい、そんな思いで士官学校に入学し、国家錬金術師になったのに。
その夢が崩れ、絶望が残った。
それでも私は理想を現実にしてみせると自分の胸に誓った!
どんな酷いことをしようとも、ここに立とうと!!
私1人の力ではなく、仲間達と共に戦い抜いた!
私はこの国を平和にしてみせる!!
あんな争いは二度と起こしてはならない!!」
様々な記憶が脳裏に浮かび、涙が滲んだ。
一筋の涙が頬に流れた。
「誰ひとり、苦しむことのない幸せな国にしたい!
全員が笑顔で暮らせるように。
そして‥‥イシュヴァールの民にも。
私の黒髪に眼の色は珍しいとは言えないが、この国では少ないだろう。
差別のない争いのない国に私はしたい。
イシュヴァールの戦争を歴史に残し、伝えてゆきたい。
偽りない真実を。
どんだけ酷く醜い軍だったか伝えていかなくてはならない!
それからは逃げてはいけない。
二度と戦争を起こさない為にも。
まだ戦争はあるが、守る為には私は戦場に向かうだろう。
それでも、出来ることなら誰にも傷ついては欲しくない。
綺麗事で甘い考えなのは承知だ。
どうか、信じて見守っていて欲しい」
袖で涙を拭い、頭を下げた。
批判の罵声を浴びせられる覚悟だったが、静まり返ったままだった。
次の瞬間、国民から拍手と歓声が響いた。
「「マスタング大総統、おめでとう!」」
「幸せな国になるようにしっかり働かないと承知しねぇぞ!!」
「アメストリスを任せたぞ!」
「大総統、今度飲みに来てくださいね!」
批判ではなく、歓迎の声だった。
今までの大総統との違いに戸惑いがあったのだろう。
「マスタング大総統、おめでとうございます。
第一歩を踏み出せましたね」
「おめでとうございます、大総統」
「…ありがとう。
ホークアイ、アル」
敬礼し、振り向くと仲間達も敬礼していて、その表情は嬉しそうだった。
「…大総統」
「あぁ、そうだな」
発火布を装着し、パチンッと指を鳴らす。
花火が上がり、歓声に包まれた。
(父さん、母さん…
師匠、見ていますか?
あなた達にも見て欲しかった‥‥)
花火が浮かんでいる空を見上げた。
就任式は祝日となるので、議事堂前には国民も集まり、大総統の挨拶が行われる。
「…どんな挨拶をすればいいんだろうな。
ずっと考えてはいるんだが。
いざ自分がなってみると難しいものだ」
「難しく考えないでください」
「あなたらしく、話せばいいんスよ!」
「そうですよ。
あなたの野望が叶ったんですから」
「胸に秘めていたことを話せばいいんだ。
頑張って来い!」
仲間達に背中を押され、微笑んだ。
「――時間です」
「あぁ、行こうか」
立ち上がり、補佐官と共に議事堂に出た。
国民のザワつきが聞こえた。
「ロイ・マスタング、32歳。
大総統に就任致しました。
知る方も多いかと思いますが、国家錬金術師で二つ名は“焔の錬金術師”です」
落ち着いた声色に国民も耳を傾ける。
胸に秘めた想いを口にするのは難しい。
「あの惨劇から数年が経ちますが、私は一度も忘れたことがない。
否、忘れてはならない。
上官の命令とはいえ、私は何人もの命をこの手で奪い‥‥殺しました。
どうしてあんなことをしなければならないのか、逃げたいのに逃げることを許さない現実。
戦いは戦いを生み、憎しみは憎しみしか残らない。
あの場所では私は無力でした。
人々を助けたい、そんな思いで士官学校に入学し、国家錬金術師になったのに。
その夢が崩れ、絶望が残った。
それでも私は理想を現実にしてみせると自分の胸に誓った!
どんな酷いことをしようとも、ここに立とうと!!
私1人の力ではなく、仲間達と共に戦い抜いた!
私はこの国を平和にしてみせる!!
あんな争いは二度と起こしてはならない!!」
様々な記憶が脳裏に浮かび、涙が滲んだ。
一筋の涙が頬に流れた。
「誰ひとり、苦しむことのない幸せな国にしたい!
全員が笑顔で暮らせるように。
そして‥‥イシュヴァールの民にも。
私の黒髪に眼の色は珍しいとは言えないが、この国では少ないだろう。
差別のない争いのない国に私はしたい。
イシュヴァールの戦争を歴史に残し、伝えてゆきたい。
偽りない真実を。
どんだけ酷く醜い軍だったか伝えていかなくてはならない!
それからは逃げてはいけない。
二度と戦争を起こさない為にも。
まだ戦争はあるが、守る為には私は戦場に向かうだろう。
それでも、出来ることなら誰にも傷ついては欲しくない。
綺麗事で甘い考えなのは承知だ。
どうか、信じて見守っていて欲しい」
袖で涙を拭い、頭を下げた。
批判の罵声を浴びせられる覚悟だったが、静まり返ったままだった。
次の瞬間、国民から拍手と歓声が響いた。
「「マスタング大総統、おめでとう!」」
「幸せな国になるようにしっかり働かないと承知しねぇぞ!!」
「アメストリスを任せたぞ!」
「大総統、今度飲みに来てくださいね!」
批判ではなく、歓迎の声だった。
今までの大総統との違いに戸惑いがあったのだろう。
「マスタング大総統、おめでとうございます。
第一歩を踏み出せましたね」
「おめでとうございます、大総統」
「…ありがとう。
ホークアイ、アル」
敬礼し、振り向くと仲間達も敬礼していて、その表情は嬉しそうだった。
「…大総統」
「あぁ、そうだな」
発火布を装着し、パチンッと指を鳴らす。
花火が上がり、歓声に包まれた。
(父さん、母さん…
師匠、見ていますか?
あなた達にも見て欲しかった‥‥)
花火が浮かんでいる空を見上げた。