第⑨話
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若い軍人が言葉を詰まらせる。
「大総統…」
「申し訳ありません!
大総統閣下、彼はまだ入隊したばかりで未熟者でして…」
「入隊したからと言って今の発言は許されるものではない。
国民に入隊時期などは無関係だ。
入隊だから未熟者も当然、そんな風に甘やかせば成長もしない。
…待機していろ」
「はっ?」
「助ける気がない者がいては邪魔なだけだ。
私の部下は君の倍、助けようという気持ちがあるからな」
「‥‥ッ‥」
「処分するつもりはない。
だが、今回だけだ」
「…はい」
若い軍人が出て行き、上官も戸惑いながら敬礼して去って行く。
(全員が助かるだなんて私だって思ってはいない。
だが、信じるくらいならいいだろう?
私の考えは確かに甘いかもしれんが…)
ロイは小さくため息をついた。
ロイは行方不明者の家族達に頭を下げる。
「不快な思いをさせてしまって申し訳ない。
必ず、家族は見つけ出させます」
ロイが頭を下げると後ろで控えていたリザも頭を下げる。
「そんな‥‥」
「大総統…」
「頭を上げてください」
戸惑いながらも誰もロイを責めたりしなかった。
ロイが若い軍人を責めていなければ、違っていたかもしれない。
「大総統!
一応、錬金術で防ぎました。
どこまで保つか分かりませんが…」
「ありがとう」
「雨が弱まれば、もう少し出来たんですけど…」
「いや、ないよりはいいだろう。
これで捜索や作業がはかどればいいのだが…」
ロイが外の様子を見つめる。
「大総統、自分も行くなどと馬鹿な発言はしないでくださいね?
貴方なら言い出しそうですから」
「やっぱり、ダメか?」
「当たり前です!
何を馬鹿なことを言っているんですか!!
襲われたらどうするのですか!
危険を自ら晒すおつもりですか!!?」
リザの剣幕にロイは苦笑いする。
「まぁまぁ、落ち着きなさい。
分かった、行かないから」
柔らかな口調でリザを宥める。
「あ‥‥。
失礼致しました!」
「いや、構わない」
可笑しそうに笑うロイにリザは微かに頬を赤らめた。
ロイの身体が揺れ、リザは気づいて支える。
「…っと。
すまない、大丈夫だ」
「無理をなさらないでください。
あなたが倒れてしまっては」
「まだ大丈夫だ」
「せめて少しでいいですから休んでください。
何かあったら起こしますからお願いします」
「‥‥5分だけ休む。
肩を貸してくれ」
「はい」
ロイを床に座らせ、リザも隣に座るとロイは目を閉じてリザの肩に寄りかかる。
小さな寝息が聞こえ、リザは少し安堵する。
(せめて、雨が弱まってくれるといいんだけど…)
行方不明者が1人でも多く、助かるようにと願う。
家族の為はもちろん、ロイが自分を責めない為にも助かって欲しいと思う。
5分が経った頃、ロイが目を覚ます。
((…ピッタリ5分))
(たった5分では仮眠にもならないのでは‥‥)
ロイを少なからず、心配になるが、口は出せない。
ロイは前髪を掻き上げ、外を心配そうに見つめた。
「徐々に雨が弱まっているようだが、このまま雨が弱まってくれるといいな」
「…そうですね」
まだ雨は強いが、先程に比べて徐々にではあるが、弱まって来ている。
「「大総統!!」」
「どうした?」
「行方不明者、1名を発見しました!
まだ息があります!!」
ロイは反応し、駆け寄って行く。
一瞬静まり返り、行方不明者の家族達から泣き声や歓声が聞こえる。
「最後まで諦めずに探し出してくれ」
「「はっ!」」
家族に囲まれている行方不明者に近づく。
「よくご無事で。
ありがとうございます」
「大総統…手が汚れてしまいます」
「そんなものは構わない。
この手は家族を支え、頑張っていた手なのですから。
あなたが助かったことは希望の光ですよ」
泥だらけの手を握り、ロイは微笑んだ。
「大総統…」
「申し訳ありません!
大総統閣下、彼はまだ入隊したばかりで未熟者でして…」
「入隊したからと言って今の発言は許されるものではない。
国民に入隊時期などは無関係だ。
入隊だから未熟者も当然、そんな風に甘やかせば成長もしない。
…待機していろ」
「はっ?」
「助ける気がない者がいては邪魔なだけだ。
私の部下は君の倍、助けようという気持ちがあるからな」
「‥‥ッ‥」
「処分するつもりはない。
だが、今回だけだ」
「…はい」
若い軍人が出て行き、上官も戸惑いながら敬礼して去って行く。
(全員が助かるだなんて私だって思ってはいない。
だが、信じるくらいならいいだろう?
私の考えは確かに甘いかもしれんが…)
ロイは小さくため息をついた。
ロイは行方不明者の家族達に頭を下げる。
「不快な思いをさせてしまって申し訳ない。
必ず、家族は見つけ出させます」
ロイが頭を下げると後ろで控えていたリザも頭を下げる。
「そんな‥‥」
「大総統…」
「頭を上げてください」
戸惑いながらも誰もロイを責めたりしなかった。
ロイが若い軍人を責めていなければ、違っていたかもしれない。
「大総統!
一応、錬金術で防ぎました。
どこまで保つか分かりませんが…」
「ありがとう」
「雨が弱まれば、もう少し出来たんですけど…」
「いや、ないよりはいいだろう。
これで捜索や作業がはかどればいいのだが…」
ロイが外の様子を見つめる。
「大総統、自分も行くなどと馬鹿な発言はしないでくださいね?
貴方なら言い出しそうですから」
「やっぱり、ダメか?」
「当たり前です!
何を馬鹿なことを言っているんですか!!
襲われたらどうするのですか!
危険を自ら晒すおつもりですか!!?」
リザの剣幕にロイは苦笑いする。
「まぁまぁ、落ち着きなさい。
分かった、行かないから」
柔らかな口調でリザを宥める。
「あ‥‥。
失礼致しました!」
「いや、構わない」
可笑しそうに笑うロイにリザは微かに頬を赤らめた。
ロイの身体が揺れ、リザは気づいて支える。
「…っと。
すまない、大丈夫だ」
「無理をなさらないでください。
あなたが倒れてしまっては」
「まだ大丈夫だ」
「せめて少しでいいですから休んでください。
何かあったら起こしますからお願いします」
「‥‥5分だけ休む。
肩を貸してくれ」
「はい」
ロイを床に座らせ、リザも隣に座るとロイは目を閉じてリザの肩に寄りかかる。
小さな寝息が聞こえ、リザは少し安堵する。
(せめて、雨が弱まってくれるといいんだけど…)
行方不明者が1人でも多く、助かるようにと願う。
家族の為はもちろん、ロイが自分を責めない為にも助かって欲しいと思う。
5分が経った頃、ロイが目を覚ます。
((…ピッタリ5分))
(たった5分では仮眠にもならないのでは‥‥)
ロイを少なからず、心配になるが、口は出せない。
ロイは前髪を掻き上げ、外を心配そうに見つめた。
「徐々に雨が弱まっているようだが、このまま雨が弱まってくれるといいな」
「…そうですね」
まだ雨は強いが、先程に比べて徐々にではあるが、弱まって来ている。
「「大総統!!」」
「どうした?」
「行方不明者、1名を発見しました!
まだ息があります!!」
ロイは反応し、駆け寄って行く。
一瞬静まり返り、行方不明者の家族達から泣き声や歓声が聞こえる。
「最後まで諦めずに探し出してくれ」
「「はっ!」」
家族に囲まれている行方不明者に近づく。
「よくご無事で。
ありがとうございます」
「大総統…手が汚れてしまいます」
「そんなものは構わない。
この手は家族を支え、頑張っていた手なのですから。
あなたが助かったことは希望の光ですよ」
泥だらけの手を握り、ロイは微笑んだ。