料理男子
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両親と買い物に来たのは入学準備以来だった。
いつもはジェームズの家族やアルファードと来ていたから不思議な感覚だった。
「とりあえず、先に新しい制服にしましょうか」
「まだ大丈夫だと思うけど」
「少し裾が短くなっているでしょう?」
「その間に私達は教科書と材料を揃えて来よう」
「…分かった」
好奇な視線に晒されているが、特にシリウスは気にしない。
パーティーと比較すれば、悪意がないだけ良いだろう。
新学期の買い物が済んでも両親とカフェやアンティーク店など見て回って楽しんだ。
シリウスが願ったものはどんな些細なものでも両親は叶えてくれた。
「シリウス。
おはようございます。
朝ですよ」
そのひとつが朝は弱いから母に起こしてもらうこと。
幼少期に願っていたことだと理解しているから両親も叶えてくれるのだろう。
「ん…っ、母上…」
「どうしました?」
「頭、痛い…」
「えっ?
少し顔色が悪いわね。
熱があるみたい。
休んでなさい。
傍に居るわ」
開けたカーテンを再び、閉めると母はシリウスの手を握る。
(…そこまで子供じゃないんだけどな)
幼少期のように甘やかしてくれて苦笑いしながらもウトウトと眠たくなる。
「うぅ、ん…」
「起こしてしまいましたか?」
「母…っ」
咳き込むシリウスの背を母が優しくさすった。
「落ち着きましたか?
はい、お水を飲んで」
「…ん」
「寒くはない?
熱は下がったようね」
「寒くはないけど。
そんなに寝てた?」
「よく眠っていたから起こさないでおいたのよ。
お腹空いたでしょう?」
「あ…、うん」
そう言われると空腹感を感じるから不思議だ。
(変な感じだな。
体調を崩したのも久々だったけれど)
無意識にずっと気を張っていたのかもしれない。
見守られながらリゾットを口にしてシリウスは苦笑いする。
「シリウス。
君の格好も気にはなるんだが、君の家族は何がどうしたんだい?
何もなかったのか?」
「…現実なのかと未だにふわふわしてる」
「大丈夫かい?」
「とりあえず、行こうか」
レギュラスだけではなくて自分まで見送られるの日が来るとは思わなかった。
期待している視線にシリウスは軽く手を振り、苦笑いして列車に乗り込んだ。
「シリウス。
あれは…、本当に両親か?」
「正真正銘の僕の両親だ」
「それでは何があった?」
「和解…、なのかな。
完全に許した訳じゃない」
「信じられるのか?
信じて良いのか?」
「また傷つくかもしれない。
でも、信じてみたいんだ」
「また傷つくだけだろ。
まったく、君は…」
呆れたようにジェームズはため息をつき、シリウスの肩をポンポンと叩く。
「嬉しそうにしちゃって」
「まぁ、今まで手紙一通も来なかったからね」
両親からの手紙や小包にシリウスは嬉しそうに微笑んでいた。
「やっぱり、家族だよね」
「これで良かったのかな」
「今は良いんじゃないの。
信じてみてもさ」
不満そうなジェームズをリーマスが宥め、ピーターは苦笑いしていた。
「シリウス、ここに居たのね。
味見してくれる?」
「リリー!
味見なら僕が!」
「ジェームズは無理だよね」
「たとえ、丸焦げでも美味しいと言うもんね」
「そのくせに紅茶のクッキーは変な味なんて言ったのよ」
「あれはリリーが作ったと思わなくて!」
必死に弁解するジェームズを冷ややかな眼で見るリリー。
談話室では見慣れた景色で誰も気にしてない。
「アップルジンジャー?」
「シリウス。
貴方って味覚も優れてるのね」
「まぁ、小さな頃から色々と食べさせられてたし。
僕はもっと甘さ控えめでもいいと思うけど。
香ばしさが足らない」
「リリーの手料理に!」
「あんたは黙ってなさい」
「アップルの食感は良いな。
ジンジャーはもっと入れてもいいと思う。
隠し味にブランデー入れても」
「大人過ぎない?」
「そうか?」
「貴方の家と違うのよ」
「リリー。
多分、シリウスは一般家庭を分からないと思うよ」
「赤ワインならいいのか?」
「そういうことじゃないわよ」
マイペースなのはお坊ちゃんだなと苦笑いする。
「嬉しそうだね」
「シリウスから手紙と小包をくれたのよ。
手作りお菓子」
「それは楽しみだな」
たまに気分で送ってくれる小包は両親の楽しみだったりする。
-END-
2024.11.10
いつもはジェームズの家族やアルファードと来ていたから不思議な感覚だった。
「とりあえず、先に新しい制服にしましょうか」
「まだ大丈夫だと思うけど」
「少し裾が短くなっているでしょう?」
「その間に私達は教科書と材料を揃えて来よう」
「…分かった」
好奇な視線に晒されているが、特にシリウスは気にしない。
パーティーと比較すれば、悪意がないだけ良いだろう。
新学期の買い物が済んでも両親とカフェやアンティーク店など見て回って楽しんだ。
シリウスが願ったものはどんな些細なものでも両親は叶えてくれた。
「シリウス。
おはようございます。
朝ですよ」
そのひとつが朝は弱いから母に起こしてもらうこと。
幼少期に願っていたことだと理解しているから両親も叶えてくれるのだろう。
「ん…っ、母上…」
「どうしました?」
「頭、痛い…」
「えっ?
少し顔色が悪いわね。
熱があるみたい。
休んでなさい。
傍に居るわ」
開けたカーテンを再び、閉めると母はシリウスの手を握る。
(…そこまで子供じゃないんだけどな)
幼少期のように甘やかしてくれて苦笑いしながらもウトウトと眠たくなる。
「うぅ、ん…」
「起こしてしまいましたか?」
「母…っ」
咳き込むシリウスの背を母が優しくさすった。
「落ち着きましたか?
はい、お水を飲んで」
「…ん」
「寒くはない?
熱は下がったようね」
「寒くはないけど。
そんなに寝てた?」
「よく眠っていたから起こさないでおいたのよ。
お腹空いたでしょう?」
「あ…、うん」
そう言われると空腹感を感じるから不思議だ。
(変な感じだな。
体調を崩したのも久々だったけれど)
無意識にずっと気を張っていたのかもしれない。
見守られながらリゾットを口にしてシリウスは苦笑いする。
「シリウス。
君の格好も気にはなるんだが、君の家族は何がどうしたんだい?
何もなかったのか?」
「…現実なのかと未だにふわふわしてる」
「大丈夫かい?」
「とりあえず、行こうか」
レギュラスだけではなくて自分まで見送られるの日が来るとは思わなかった。
期待している視線にシリウスは軽く手を振り、苦笑いして列車に乗り込んだ。
「シリウス。
あれは…、本当に両親か?」
「正真正銘の僕の両親だ」
「それでは何があった?」
「和解…、なのかな。
完全に許した訳じゃない」
「信じられるのか?
信じて良いのか?」
「また傷つくかもしれない。
でも、信じてみたいんだ」
「また傷つくだけだろ。
まったく、君は…」
呆れたようにジェームズはため息をつき、シリウスの肩をポンポンと叩く。
「嬉しそうにしちゃって」
「まぁ、今まで手紙一通も来なかったからね」
両親からの手紙や小包にシリウスは嬉しそうに微笑んでいた。
「やっぱり、家族だよね」
「これで良かったのかな」
「今は良いんじゃないの。
信じてみてもさ」
不満そうなジェームズをリーマスが宥め、ピーターは苦笑いしていた。
「シリウス、ここに居たのね。
味見してくれる?」
「リリー!
味見なら僕が!」
「ジェームズは無理だよね」
「たとえ、丸焦げでも美味しいと言うもんね」
「そのくせに紅茶のクッキーは変な味なんて言ったのよ」
「あれはリリーが作ったと思わなくて!」
必死に弁解するジェームズを冷ややかな眼で見るリリー。
談話室では見慣れた景色で誰も気にしてない。
「アップルジンジャー?」
「シリウス。
貴方って味覚も優れてるのね」
「まぁ、小さな頃から色々と食べさせられてたし。
僕はもっと甘さ控えめでもいいと思うけど。
香ばしさが足らない」
「リリーの手料理に!」
「あんたは黙ってなさい」
「アップルの食感は良いな。
ジンジャーはもっと入れてもいいと思う。
隠し味にブランデー入れても」
「大人過ぎない?」
「そうか?」
「貴方の家と違うのよ」
「リリー。
多分、シリウスは一般家庭を分からないと思うよ」
「赤ワインならいいのか?」
「そういうことじゃないわよ」
マイペースなのはお坊ちゃんだなと苦笑いする。
「嬉しそうだね」
「シリウスから手紙と小包をくれたのよ。
手作りお菓子」
「それは楽しみだな」
たまに気分で送ってくれる小包は両親の楽しみだったりする。
-END-
2024.11.10