料理男子
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少しだけ家族の距離が近くなったようでシリウスは嬉しかった。
「レグ、口開けて」
「ん…」
「味見」
「美味しい」
「冷やしたアップルパイも美味しいけど。
出来立てのが俺は好きだな」
「はい、とても美味しいです。
すぐに食べましょう」
(あんなに表情に出る奴じゃなかったはずだけど)
レギュラスが両親を呼びに行き、急かされてシリウスは微笑みながら出て行く。
「シリウス。
いつもの紅茶で良いかしら」
「アップルパイに合うスッキリとした茶葉。
母上が選んでくれますか?」
「え、えぇ…勿論よ」
一瞬驚きながらも母は嬉しそうに微かに笑みを浮べた。
(こんな風に歩み寄られたら、僕も歩み寄らないと。
まだ完全には許せないけど。
今のこの時間だけは家族として過ごしてもいいよな)
穏やかな雰囲気が流れていて、誰も言葉にしなくても伝わる。
「シリウス」
「なに?」
「誕生日には何が欲しい?」
ホグワーツの入学以来、グリフィンドールを選んでから一切聞かれなかったことなのでシリウスは瞬きして見つめる。
「誕生日、11月…だけど」
「知ってるさ。
今年を含めて5年分だ。
沢山のプレゼントを贈ろう」
「何でもいいの?」
「構わないさ。
君も成長したし、別荘でも贈ろうか?」
「それはまだ使い道が少ないからやめておく」
「では、君が好きそうな物件を探しておこうか」
(数年後に別荘が贈られるのは決定なのか)
母に視線を送り、頷かれたのでしばらくは止めてくれるだろう。
「洋服やネックレスくらいで。
そこまで欲しい物は…」
「料理道具は?」
「最新のを贈ろうか」
「家でしか料理しないんだけど!?」
結局は特注の洋服と宝石のネックレスで夏休暇中に職人を呼ばれてしまい、シリウスはため息をついた。
「何でも構わないから。
欲しいものが出来たら言いなさい」
「…本当に何でも?」
「勿論だとも」
「か、カード…がいい」
「カード?」
「メッセージカード。
誕生日、当日に。
普段もたまにで、いいから」
言っていて恥ずかしくなってシリウスは俯く。
「メッセージカードも必ず、贈ります。
今までごめんなさい。
貴方が生まれてくれて、本当に嬉しかったわ。
手紙も毎日だって送るわ」
「シリウス。
それは当然の権利だよ。
今まで本当にすまなかった。
何も言わずに、歩み寄ってくれてありがとう。
すぐに許さなくていいから。
手紙もいつだって送るよ。
沢山、傷つけたね」
両親に抱擁されて初めて謝罪され、シリウスは嗚咽が溢れた。
見ないようにしていただけで本当はずっと羨ましかった。
「本当は…、ずっと。
ずっと欲しかった!
諦めきれなくて。
毎年、心のどこかで期待して。
くれる訳ないって。
分かっていても!」
「…シリウス」
「期待して傷つくのが、怖かった。
今もまた…嫌われたら」
「嫌うなんてない!
絶対に送るわ。
信じられないのならば、契約したって構わないわ!」
「…母上。
うん、信じてる。
契約はしなくて大丈夫」
ふわりと笑ってシリウスは両親に甘えるように抱きついた。
こんな風に泣いたのも甘えたのも幼少期以来だった。
「えっ?
レグ、新学期の買い物に一緒に行かないのか?」
「身長も変わらないので新しい制服も必要ないですし、教科書と魔法薬の材料くらいですから。
買って来てもらいます。
だから、両親を独り占めして来てください」
「…レグ」
「来年は一緒に行きましょう。
約束ですからね」
「ん…、分かった」
昨日の見られたんだなと理解してシリウスは苦笑いする。
家族揃っての久々の買い物に残念がっているシリウスにレギュラスは約束してくれた。
(…これではどちらが兄か分からないな)
シリウスが楽しそうに笑っているならいいだろうと両親は微笑んだ。
「レグ、口開けて」
「ん…」
「味見」
「美味しい」
「冷やしたアップルパイも美味しいけど。
出来立てのが俺は好きだな」
「はい、とても美味しいです。
すぐに食べましょう」
(あんなに表情に出る奴じゃなかったはずだけど)
レギュラスが両親を呼びに行き、急かされてシリウスは微笑みながら出て行く。
「シリウス。
いつもの紅茶で良いかしら」
「アップルパイに合うスッキリとした茶葉。
母上が選んでくれますか?」
「え、えぇ…勿論よ」
一瞬驚きながらも母は嬉しそうに微かに笑みを浮べた。
(こんな風に歩み寄られたら、僕も歩み寄らないと。
まだ完全には許せないけど。
今のこの時間だけは家族として過ごしてもいいよな)
穏やかな雰囲気が流れていて、誰も言葉にしなくても伝わる。
「シリウス」
「なに?」
「誕生日には何が欲しい?」
ホグワーツの入学以来、グリフィンドールを選んでから一切聞かれなかったことなのでシリウスは瞬きして見つめる。
「誕生日、11月…だけど」
「知ってるさ。
今年を含めて5年分だ。
沢山のプレゼントを贈ろう」
「何でもいいの?」
「構わないさ。
君も成長したし、別荘でも贈ろうか?」
「それはまだ使い道が少ないからやめておく」
「では、君が好きそうな物件を探しておこうか」
(数年後に別荘が贈られるのは決定なのか)
母に視線を送り、頷かれたのでしばらくは止めてくれるだろう。
「洋服やネックレスくらいで。
そこまで欲しい物は…」
「料理道具は?」
「最新のを贈ろうか」
「家でしか料理しないんだけど!?」
結局は特注の洋服と宝石のネックレスで夏休暇中に職人を呼ばれてしまい、シリウスはため息をついた。
「何でも構わないから。
欲しいものが出来たら言いなさい」
「…本当に何でも?」
「勿論だとも」
「か、カード…がいい」
「カード?」
「メッセージカード。
誕生日、当日に。
普段もたまにで、いいから」
言っていて恥ずかしくなってシリウスは俯く。
「メッセージカードも必ず、贈ります。
今までごめんなさい。
貴方が生まれてくれて、本当に嬉しかったわ。
手紙も毎日だって送るわ」
「シリウス。
それは当然の権利だよ。
今まで本当にすまなかった。
何も言わずに、歩み寄ってくれてありがとう。
すぐに許さなくていいから。
手紙もいつだって送るよ。
沢山、傷つけたね」
両親に抱擁されて初めて謝罪され、シリウスは嗚咽が溢れた。
見ないようにしていただけで本当はずっと羨ましかった。
「本当は…、ずっと。
ずっと欲しかった!
諦めきれなくて。
毎年、心のどこかで期待して。
くれる訳ないって。
分かっていても!」
「…シリウス」
「期待して傷つくのが、怖かった。
今もまた…嫌われたら」
「嫌うなんてない!
絶対に送るわ。
信じられないのならば、契約したって構わないわ!」
「…母上。
うん、信じてる。
契約はしなくて大丈夫」
ふわりと笑ってシリウスは両親に甘えるように抱きついた。
こんな風に泣いたのも甘えたのも幼少期以来だった。
「えっ?
レグ、新学期の買い物に一緒に行かないのか?」
「身長も変わらないので新しい制服も必要ないですし、教科書と魔法薬の材料くらいですから。
買って来てもらいます。
だから、両親を独り占めして来てください」
「…レグ」
「来年は一緒に行きましょう。
約束ですからね」
「ん…、分かった」
昨日の見られたんだなと理解してシリウスは苦笑いする。
家族揃っての久々の買い物に残念がっているシリウスにレギュラスは約束してくれた。
(…これではどちらが兄か分からないな)
シリウスが楽しそうに笑っているならいいだろうと両親は微笑んだ。