気絶するように眠ったシリウスをベットに寝かせ、マクゴナガル教授達にダンブルドアは叱られたのだった。


ダンブルドアは医務室に出禁にされて追い出された。


「父上…母上…っ」
「…シリウス」


予想とは反して両親が来たことにシリウスは驚きを隠せない。


だが、自分を心配したのではなくて世間的な問題だろう。


「どうして貴方は…、いつもそうなのですか！
こんなに痩せてるなんて。
体調を崩してるなんて。
知らなかったわ！」
「は、母上…？」


怒鳴られるとは思ったが、予想外の言葉にシリウスは瞬きする。


「…シリウス。
あの環境が君には苦痛なのは知っている。
部屋でもそこまで食べてなかったのは知らなかった。
いや、関わろうとせずに。
それは我々の責任だ。
こんなことは望んでないんだよ、シリウス」
「貴方は親不孝の馬鹿息子よ。
こんなに心配掛けて！」
「心配…して、くれるの？」
「息子を心配しない親がどこにいるんですか！」
「…息子」


オリオンに抱き締められ、その勢いのままに母にも抱擁された。


「…っズ。
だ、だっ…て」
「分かっているよ。
君のせいじゃない」


嗚咽が溢れ、呼吸が荒くなるシリウスの背をオリオンがさする。


「すぅ…すぅ…」


やっと悪夢で起きることもなく、安心して眠っているシリウスに教授達は安堵しつつ、少しだけ寂しい気持ちになった。


「……っ…」


よく眠れたようで頭はスッキリしているが、体調がすぐにそれで戻る訳ではない。


ぼんやりとしながらも昨夜の出来事に悶絶して枕に顔を埋めた。


小さな頃でもあんなにしがみついて号泣したことはなかった。


(ふわふわ。
これ、医務室の布団じゃない)


ぼんやりとしたシリウスは起き上がり、瞬きする。


「シリウス。
目が覚めましたか。
まだ顔色は良くないですね」
「そんなすぐには体調は良くならないだろう」
「あんな硬いマットに薄い布団ではよく眠れないでしょう？」


両親の仕業だと理解してシリウスは顔を引き攣らせる。


半ば強引に交換させたが、それもシリウスの為に。


「君の部屋のベットも交換したから安心しなさい」
(…騒ぎになってるだろうな)


それは安心が出来ないとシリウスは頭を抱えた。


妙なとこでズレてるんだったと今更ながら思い出した。


「シリウス、おはよう。
今回は少し長かったね」
「…ジェームズ」
「嫌なら聞かないさ。
それよりも、あのベットの件は知りたいんだけど」
「君のベットだけ豪華な大きなベットになったんだよね」
「…両親の仕業だ」
「シリウス。
大量の梟が来るけど」
「うわ…っ」


シリウス目掛けて勢いよく飛んで来る梟達。


「シリウス、大丈夫？」
「女の子達からのプレゼントかい？」
「いや、これは…。
ブラック家の家紋だな」
「ご両親？」


沢山の小包にはシリウスの好きな御菓子や紅茶の茶葉などがあった。


「兄様。
貴方は何をしたんですか」
「…俺も知りたい」
「えっ？
貴方の仕業では？」
「体調は崩していた。
悪化して教授達に両親が呼ばれたんだよ。
あぁ、今は問題ない。
流石に心配してくれたらしい」
「…そこまで酷かったんですか？」
「食べ物が受け付けられなかったからな。
かなり痩せたし、酷かったぞ」


何事もなく笑いながら話すシリウスにレギュラスは半信半疑。


「シリウスが体調を崩してたのは本当だよ。
授業を免除される程だから」
「…そうですか。
手紙に兄様と仲良くするように言われたんですが」
「両極端だな」
「僕は喧嘩しないならそれで構いませんよ。
次期当主は貴方だと記載がありましたが」
「…っぶ！
ゲホッ…ゲホッ…
はあぁ！？」


飲み物で咳き込んだシリウスを苦笑いしながらリーマスは背をさする。