古代魔法と屋敷
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2週間以上も体調の波が激しかったが、体調もやっと安定して少しなら寝室からも出れた。
流石に疲れてまだ体調も崩すからと寒いので庭に出ることは禁じられていたが。
「…っくしゅ!」
「ほら、そんな薄着でいるからよ」
「ふぁい」
母に大判のストールを肩に掛けられてぐるぐる巻きにされた。
(…僕は何歳なんだよ)
こんな風に甘やかされるのは幼少期にもなくて、気恥ずかしかった。
「ちゃんとよくなるまでは話は聞かせられないよ」
「わ、分かってるよ」
「まだ頭もきちんと動かないのだろう?」
「…否定はしない」
「まだ時間はあるんだ。
ゆっくりと焦らずに。
時間が解決することもある」
(やはり、動かしてくれていたんだろうな。
関係を絶っていても間柄を変えることは出来ない。
親だからこそ、会えないこともあったのだろう)
自分の力ではなくて支えられていたのもあるが、何よりも出て行って裏切ったはずなのにずっと自分を守ってくれていた。
それは成人した現在も変わらず、申し訳なくて涙が溢れる。
「ごめっ、なさ…ッ」
「謝らなくていいんだ。
泣かせるつもりじゃない」
「貴方が悪いんじゃないの。
私達の歩みが足らなかった。
遅いなんてことはないわ。
私達も貴方も生きているんだから」
「けれど…っ」
「レギュラスのことは残念だけれど。
あの子なりに懸命に生きて戦ったのよ」
「何も知らなかった。
気づかなくて、知ろうとも…しなかったんだ」
「それは私達も同じだ」
「レギュラスの分も生きてなんで言わないわ。
シリウス、幸せになって」
「え…?」
「貴方には幸せになって欲しいのよ。
幸せになっていいの」
「だっ、て。
守れ…なか…ッ」
「貴方は懸命に守ろうとしたのよ。
自分を苦しめないで。
そういうことをして喜ぶ?
違うでしょう?」
母に頬を撫でられ、涙を拭われて初めて見る優しい表情。
シリウスは母の服を掴んでズルズルと座り込み、嗚咽が溢れて初めて声を上げて泣いた。
両親は抱擁して背をさすって、シリウスが落ち着くまで同じく床に座り込んで支えながら何時間も居てくれた。
「…ごめんなさい」
「大丈夫だよ。
とりあえず、ソファに座ろう」
「ハーブティーよ。
身体も暖まるし、落ち着くわ」
「…ん」
オリオンに支えられてソファに座り、シリウスはマグカップを受け取って飲んだ。
「…僕はここに居ていいの?」
「当たり前だろう。
君の住む家なんだから」
「私達はすれ違っていただけで家族なのだから」
泣き笑いするシリウスに両親は優しく頭を撫でてくれた。
「…頭痛い」
「寝室に戻りましょう。
風邪引いたかしら。
熱はないわね」
「泣き過ぎた、だけ。
寝てれば良くなるから」
自分でもこんなに涙脆いとは思わなかった。
ずっと幼少期から我慢していて、それを抑える必要がなくなったのだろう。
(…レグ。
おまえがいれば、どんな表情を見せてくれたんだろうな。
今になってとても寂しいよ、レギュラス)
会えないと分かりながらも会いたいと願ってしまう。
アズカバンの後遺症もあって何週間もふわふわとした感覚。
「…綺麗だな」
数ヶ月ぶりに出た外は季節が変わり、久々に空を見上げた。
「生きていたのか!?」
「おまえ、そんなに大声が出せたのか」
「…自分でも驚いた」
「何だ、そりゃ」
呆れながらもシリウスは懐かしい気持ちになる。
「体調は大丈夫なのか?」
「ん〜…万全と言えないが」
「シリウスとスネイプ教授って…」
「同級生だ」
「親しくはなかったが」
スネイプにも助けられたこともあり、雑談はするようになったらしい。
「君の両親は亡くなっていたと思っておったんじゃが…」
「私もです、ダンブルドア。
古代魔法の一種ではあるようですが」
「シリウス・ブラック。
元気そうで何よりです」
「マクゴナガル教授。
ありがとうございます」
ホグワーツの理事の特権を利用してシリウスはハリーに会いに来た。
「継ぐのか?」
「私以外に継ぐ人は居ないし。
ゆっくり覚えていくさ」
「ねぇ、僕に会いに来たんじゃないの?」
「ははっ!
すまないな、ハリー」
不満そうなハリーにシリウスは笑って頭を撫でた。
-END-
2024.10.25
流石に疲れてまだ体調も崩すからと寒いので庭に出ることは禁じられていたが。
「…っくしゅ!」
「ほら、そんな薄着でいるからよ」
「ふぁい」
母に大判のストールを肩に掛けられてぐるぐる巻きにされた。
(…僕は何歳なんだよ)
こんな風に甘やかされるのは幼少期にもなくて、気恥ずかしかった。
「ちゃんとよくなるまでは話は聞かせられないよ」
「わ、分かってるよ」
「まだ頭もきちんと動かないのだろう?」
「…否定はしない」
「まだ時間はあるんだ。
ゆっくりと焦らずに。
時間が解決することもある」
(やはり、動かしてくれていたんだろうな。
関係を絶っていても間柄を変えることは出来ない。
親だからこそ、会えないこともあったのだろう)
自分の力ではなくて支えられていたのもあるが、何よりも出て行って裏切ったはずなのにずっと自分を守ってくれていた。
それは成人した現在も変わらず、申し訳なくて涙が溢れる。
「ごめっ、なさ…ッ」
「謝らなくていいんだ。
泣かせるつもりじゃない」
「貴方が悪いんじゃないの。
私達の歩みが足らなかった。
遅いなんてことはないわ。
私達も貴方も生きているんだから」
「けれど…っ」
「レギュラスのことは残念だけれど。
あの子なりに懸命に生きて戦ったのよ」
「何も知らなかった。
気づかなくて、知ろうとも…しなかったんだ」
「それは私達も同じだ」
「レギュラスの分も生きてなんで言わないわ。
シリウス、幸せになって」
「え…?」
「貴方には幸せになって欲しいのよ。
幸せになっていいの」
「だっ、て。
守れ…なか…ッ」
「貴方は懸命に守ろうとしたのよ。
自分を苦しめないで。
そういうことをして喜ぶ?
違うでしょう?」
母に頬を撫でられ、涙を拭われて初めて見る優しい表情。
シリウスは母の服を掴んでズルズルと座り込み、嗚咽が溢れて初めて声を上げて泣いた。
両親は抱擁して背をさすって、シリウスが落ち着くまで同じく床に座り込んで支えながら何時間も居てくれた。
「…ごめんなさい」
「大丈夫だよ。
とりあえず、ソファに座ろう」
「ハーブティーよ。
身体も暖まるし、落ち着くわ」
「…ん」
オリオンに支えられてソファに座り、シリウスはマグカップを受け取って飲んだ。
「…僕はここに居ていいの?」
「当たり前だろう。
君の住む家なんだから」
「私達はすれ違っていただけで家族なのだから」
泣き笑いするシリウスに両親は優しく頭を撫でてくれた。
「…頭痛い」
「寝室に戻りましょう。
風邪引いたかしら。
熱はないわね」
「泣き過ぎた、だけ。
寝てれば良くなるから」
自分でもこんなに涙脆いとは思わなかった。
ずっと幼少期から我慢していて、それを抑える必要がなくなったのだろう。
(…レグ。
おまえがいれば、どんな表情を見せてくれたんだろうな。
今になってとても寂しいよ、レギュラス)
会えないと分かりながらも会いたいと願ってしまう。
アズカバンの後遺症もあって何週間もふわふわとした感覚。
「…綺麗だな」
数ヶ月ぶりに出た外は季節が変わり、久々に空を見上げた。
「生きていたのか!?」
「おまえ、そんなに大声が出せたのか」
「…自分でも驚いた」
「何だ、そりゃ」
呆れながらもシリウスは懐かしい気持ちになる。
「体調は大丈夫なのか?」
「ん〜…万全と言えないが」
「シリウスとスネイプ教授って…」
「同級生だ」
「親しくはなかったが」
スネイプにも助けられたこともあり、雑談はするようになったらしい。
「君の両親は亡くなっていたと思っておったんじゃが…」
「私もです、ダンブルドア。
古代魔法の一種ではあるようですが」
「シリウス・ブラック。
元気そうで何よりです」
「マクゴナガル教授。
ありがとうございます」
ホグワーツの理事の特権を利用してシリウスはハリーに会いに来た。
「継ぐのか?」
「私以外に継ぐ人は居ないし。
ゆっくり覚えていくさ」
「ねぇ、僕に会いに来たんじゃないの?」
「ははっ!
すまないな、ハリー」
不満そうなハリーにシリウスは笑って頭を撫でた。
-END-
2024.10.25