古代魔法と屋敷
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失神したシリウスをオリオンが抱えてゲストルームに運ぶ。
「こんなに痩せて、私に運べる程に軽くなってしまって」
「…シリウス」
学生時代にあれ程までサラサラな髪だったシリウスは髪はパサついて身体も細くなっていた。
高熱でうなされて涙を流すシリウスに手を握ってあげることしか出来なかった。
「気がつきましたか?」
「かは…っ」
「大丈夫よ。
ゆっくり息をして」
「何か食べた方がいい。
食べたいものはあるか?」
マグルの食べ物を望んでも嫌な顔をせずに出してくれた。
半信半疑のまま、シリウスは料理を口にする。
(…毒は混入してないんだな)
何も話すことはないので黙って食べていた。
「君の部屋は当時のままだ」
「え…?」
「今の君には刺激が強いだろうからゲストルームに運んだんだ。
写真を見る度に悲しんで後悔して、憎しむだろう?」
自分を心配しての配慮だと思ってなかったシリウスは驚いたように見つめる。
「今すぐに信じるなんて無理な話だろう」
「…風呂入りたい」
「1人で大丈夫かい?」
足に力が入らず、不本意ではあったが、オリオンに抱えられて補助されるしかなかった。
魔法でも綺麗にされていたようだが、湯槽に浸かりたかった。
(この年齢で父に風呂に入れてもらうとは。
いや、風呂に入りたいと我儘を言ったんだけど)
困ったように苦笑いはしていたが、嫌な顔はしてなかったなとぼんやり思う。
身体は当然ながら本調子ではなくて思考も頭が回らない。
「シリウス、大丈夫かい?」
「…ん」
「流石に眠られたら運ぶの大変だから寝ないように」
「分かってるよ」
「今は今後について考えなくて良いから。
焦らずにゆっくり、時間を掛けて構わないから」
「…嫌じゃないの?」
「何が?」
「だから、その。
僕が…ここに…住むのが」
「嫌だったら世話してないさ。
安心しない。
私達は君の味方だ。
今すぐに信じられないだろうけれど」
無意識にシリウスは“僕”と言っていて、それは自分でも気づかない心の傷なのだろう。
恥ずかしさよりも疲れてオリオンにしがみつくしか出来ず、苦笑いしてオリオンが寝室に運ぶのだった。
「まったく。
だから、言ったのに」
失神するように寝室に着いた途端に眠るシリウスに母は苦笑いし、撫でる手も声も優しかった。
「どうかしたんですか?」
「シリウスが…、自分を“僕”と言っていたんだ」
「え…?
あの子が僕なんて言ってたのなんて入学前よ」
「そうなる程に傷ついているのだろう。
記憶が混乱しているだけならいい が」
「アズカバンの後遺症?」
「…ないとは言えない。
あのような酷い環境で何年も過ごしていたのだから」
「そう、ですね」
どんなに辛かったのだろうかと罪悪感と共に悲しくて涙が出そうになる。
「気持ち…、悪い」
「シリウス?」
「吐、く…」
「ここに。
我慢しなくていいから」
「うっ、ぇ…ッ」
「よしよし。
大丈夫ですよ」
「ゲホッ…ゴホン…っ」
ベットで嘔吐しているシリウスの背を撫でる。
1日のほとんどをベットの上で過ごし、食べれる日もあれば、何も受け付けずに嘔吐してしまう日もあって体調の波が激しい。
「少し落ち着いたかい?」
「えぇ、今眠ったとこよ。
これでは痩せてしまうわ」
「仕方ないさ。
私達まで焦っては。
良い日も悪い日もあるさ」
オリオンは起こさないようにシリウスの額に触れ、少し熱があるようだった。
「食べれそう?」
「…美味しい」
「よかったわ、食べれて」
嘔吐してしまう日でも優しい味のオニオンスープだけは飲めた。
コトコトと煮込んで薄味で、シリウスが幼少期から寝込んだ時に母が作ってくれる唯一作れる手料理だ。
「こんなに痩せて、私に運べる程に軽くなってしまって」
「…シリウス」
学生時代にあれ程までサラサラな髪だったシリウスは髪はパサついて身体も細くなっていた。
高熱でうなされて涙を流すシリウスに手を握ってあげることしか出来なかった。
「気がつきましたか?」
「かは…っ」
「大丈夫よ。
ゆっくり息をして」
「何か食べた方がいい。
食べたいものはあるか?」
マグルの食べ物を望んでも嫌な顔をせずに出してくれた。
半信半疑のまま、シリウスは料理を口にする。
(…毒は混入してないんだな)
何も話すことはないので黙って食べていた。
「君の部屋は当時のままだ」
「え…?」
「今の君には刺激が強いだろうからゲストルームに運んだんだ。
写真を見る度に悲しんで後悔して、憎しむだろう?」
自分を心配しての配慮だと思ってなかったシリウスは驚いたように見つめる。
「今すぐに信じるなんて無理な話だろう」
「…風呂入りたい」
「1人で大丈夫かい?」
足に力が入らず、不本意ではあったが、オリオンに抱えられて補助されるしかなかった。
魔法でも綺麗にされていたようだが、湯槽に浸かりたかった。
(この年齢で父に風呂に入れてもらうとは。
いや、風呂に入りたいと我儘を言ったんだけど)
困ったように苦笑いはしていたが、嫌な顔はしてなかったなとぼんやり思う。
身体は当然ながら本調子ではなくて思考も頭が回らない。
「シリウス、大丈夫かい?」
「…ん」
「流石に眠られたら運ぶの大変だから寝ないように」
「分かってるよ」
「今は今後について考えなくて良いから。
焦らずにゆっくり、時間を掛けて構わないから」
「…嫌じゃないの?」
「何が?」
「だから、その。
僕が…ここに…住むのが」
「嫌だったら世話してないさ。
安心しない。
私達は君の味方だ。
今すぐに信じられないだろうけれど」
無意識にシリウスは“僕”と言っていて、それは自分でも気づかない心の傷なのだろう。
恥ずかしさよりも疲れてオリオンにしがみつくしか出来ず、苦笑いしてオリオンが寝室に運ぶのだった。
「まったく。
だから、言ったのに」
失神するように寝室に着いた途端に眠るシリウスに母は苦笑いし、撫でる手も声も優しかった。
「どうかしたんですか?」
「シリウスが…、自分を“僕”と言っていたんだ」
「え…?
あの子が僕なんて言ってたのなんて入学前よ」
「そうなる程に傷ついているのだろう。
記憶が混乱しているだけならいい が」
「アズカバンの後遺症?」
「…ないとは言えない。
あのような酷い環境で何年も過ごしていたのだから」
「そう、ですね」
どんなに辛かったのだろうかと罪悪感と共に悲しくて涙が出そうになる。
「気持ち…、悪い」
「シリウス?」
「吐、く…」
「ここに。
我慢しなくていいから」
「うっ、ぇ…ッ」
「よしよし。
大丈夫ですよ」
「ゲホッ…ゴホン…っ」
ベットで嘔吐しているシリウスの背を撫でる。
1日のほとんどをベットの上で過ごし、食べれる日もあれば、何も受け付けずに嘔吐してしまう日もあって体調の波が激しい。
「少し落ち着いたかい?」
「えぇ、今眠ったとこよ。
これでは痩せてしまうわ」
「仕方ないさ。
私達まで焦っては。
良い日も悪い日もあるさ」
オリオンは起こさないようにシリウスの額に触れ、少し熱があるようだった。
「食べれそう?」
「…美味しい」
「よかったわ、食べれて」
嘔吐してしまう日でも優しい味のオニオンスープだけは飲めた。
コトコトと煮込んで薄味で、シリウスが幼少期から寝込んだ時に母が作ってくれる唯一作れる手料理だ。